秘伝晶輪寺拳法入門 その8 〜『急鍛法』七星歩編〜
前回、七星歩による急鍛法を紹介すると書いておきながら、その前振りみたいな感じで終わってしまいました、申し分けございません。今回こそは、七星歩式急鍛法の実技を解説いたします。
無住心会式七星歩、真ん中に溜めた重心を右足に移して再び中央、左足から更に同様の順路を逆行して右足、最後にまた正中心に戻る、と言うやり方ですが--まあ、500gのダンベルを手に持って、これをやればいいと、これだけなんです。握りは小指で、基本型では1kgのときに小指でしたが、七星歩は500gで小指です。人にもよるかも知れませんが、小生は1kgで七星歩はやりません。
只ですな、前に紹介した、基本の急鍛法とは色々相違点がございます。
一つは、前回紹介した重心です。
基本は、まず勁力を強化する事が目的でした。ですので、思い切り後ろに引いた、つまり弓矢をつがえて構えたような状態だった。余談ですが、打撃とかそういう攻撃動作に関わらず、構えて相手と距離を取っている間は出来るだけ重心を後ろに、と教えられました。今度BABジャパンから出た本には体重を均等に、とまるで正反対の事が書かれてありますが、あれは柔術のとき、要するに距離を詰めて組み合う時の要領で、距離を置いている時は出来るだけ偏沈状態にして、相手を押し出すように構えます。それこそ、遠間から弓を引いている状態と、近間で刀を構えている状態に似ています。否、弓道は知りませんよ。弓術では後ろに弓を引いても脚は均等に構えるとかなのかもしれませんが、たとえとして、つまり自分の全身を弓と弦になぞらえて、後方に引っ張るわけです。元々、蓄勁発勁は弓矢を引き絞るようにと解説される事もあります。重心を後ろに寄せて、それを瞬間的に浮き舟状態にする。師匠が前に出版した『極意の解明』という本にも出てました、引進落空と同じ、と言うよりそれから派生した練習法です。
対するに、七星歩式の急鍛法の場合はまず、最初に両足の重量配分を均等に構える。
両足を均等にした上で七回振る訳です。
あまり、七星だとか七回しなけりゃとかはこだわらない方がいいかもしれません。要するに、中央に溜めていた重心を前の足に移して再び真ん中、左足--と、先に書いたからもう良いですね。
次に呼吸です。
基本型は最初は胸式で蓄勁、腹に押し込んで発勁でしたが、七星方式だと最初から下腹丹田に溜めておきます。寧ろ、軽く呼吸を丹田に溜めた感覚のまま、重心を移動する事を心がけます。
最後にダンベルの運動距離。
基本型は手元に引いた位置から打ったので普通にパンチの動作でしたが、七星歩だと手前に出した拳を最小の動作で最高速度に持っていく、寸勁とかの感じです。
基本は順突きと逆突きがありましたが、七星歩は順突きだけです。最初に、空手での突きを教わったときには順だけでした。ダンベルを手放した空突きの時は、裏拳打ちのように手の甲ではたくようにします。裏拳というと手首のスナップだとかなんだとか大げさに考える人もいるかもしれませんが、動作は真っ直ぐです。簡単に言えば、手の甲でストレートを打つのです。はたくような感じです。
喩えとしては、基本型の急鍛法が弓術ならば、七星歩は剣術のような感じかもしれません。
柔術は元々剣術の枝葉として発達したそうですから。柔術の改組とも言われる関口柔心先生も、陳元賓の弟子だったと言われております。