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日々雑感  作者: 晶輪寺零
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嗚呼、栄冠は君に輝く__凄まじき野球漫画の世界   その1

梶原一騎、と言えば、言わずと知れたスポ根劇画の伝説的巨人として知られた漫画界の重鎮であります。

あしたのジョー、タイガーマスク、愛と誠に、バカ一代を始めとしたカラテ劇画シリーズ__しかし、やっぱり御国柄と申しましょうか、この日本においてもっとも知名度の高い代表作と言えば、野球を扱った『巨人の星』でありましょう。



正直、筆者はそれほどこの作品に思い入れはございませんで、余り好きな漫画ではありませんでした。というより、食わず嫌いというか、別に嫌いというほど拒否していた訳でもないのですが、どうも手が出なかったマンガでありました。一つには、自分の世代は、同じ梶原野球漫画でも『侍ジャイアンツ』の方が馴染があって、その前の『巨人の星』には食指が動かなかったのです。この背景には、テレビの力が大きい。というのも『侍ジャイアンツ』の方はやたらと再放送を繰り返していたのに対し『巨人の星』は全くと言っていいほど再放送がなかったのです。当時関西の小学生は、学校から帰ると『侍ジャイアンツ』に『さるとびエッちゃん』とか『悟空の大冒険』などを繰り返し繰り返し観ておりまして、ほとんど幼児体験でそれが染みついているのでございます。詳しい事情は存じませんが、おそらく放送期間の問題がネックとなったのではないでしょうか。侍ジャイアンツは一年以内の放送で終了しましたが、巨人の星は通算4年に渡って放送されたとの事、これでは確かに夕刻の、お手軽な再放送タイムには少し重すぎるかもしれませんねえ。

それから題材がね、野球なんて言う、正直ありきたりなスポーツですし、どうも格闘技系統のイメージが強い梶原作品の中では地味、と言うよりどこかチグハグなイメージでもあった訳です。加えて、この道に関してはそれこそ腐るほど野球漫画もありますし、秀作も多い。取り分け、連載開始以来、三十年以上経っても未だ『ドカベン』や『あぶさん』を描き続ける、水島新司御大などもおられることですし、わざわざ梶原さんの野球漫画でなくとも__という意識もあった訳です。


こういう話を読みました。

件の『巨人の星』の逸話ですが、甲子園出場の際、編集者が地方大会も入れようと進言したのに対し、梶原センセイは、これを拒否していきなり甲子園本戦での試合となったそうです。まあ、自分もそれほど野球に入れ込んでる訳ではないのですが、こういう話を読むと何となく興が殺がれる感じがするんですね。作者本人が取り扱ってるジャンル自体にそれほど愛着や拘りを感じていないのではないか、とね。やっぱり、梶原一騎にとって野球なんてのはそれほど重大でない、ただの仕事として割り切りながら書いてたんだな、とか色々思ったりするわけですよ。やっぱりアンタ、その道に造詣がないと、あまり面白いものは書けないのではないか、と言う訳で。


先に紹介した『ドカベン』ですが、明訓高校のライバルと言えば真っ先に思い浮かぶのはまず犬飼兄弟率いる高知の土佐丸高校(三男智三郎だけは室戸学習塾って学校から、徳川監督のテコ入れで出場したけれど)ですが、それに次ぐライバルと言うと、柔道時代からの宿敵である影丸、大阪の坂田三吉、それからやっぱり、土門と不知火。

自分としては、寧ろこの二人の方が土佐丸の連中より印象強いくらいで、てっきり甲子園で雌雄を決したんだと思い込んでたんですね。しかし、その後、土門、不知火は同じ神奈川地区の出身、つまり、地区大会でしのぎを削ってたんだと分かって意外な気がしたんです。

こういう辺り、自ら『野球狂の詩』などの多分に己のポリシーを表題化したような代表作がある水島先生の拘りなんですね。甲子園と言う、晴れの大舞台は勿論尊重するが、地区大会でほぼ必ず対決する宿敵に、強烈なパーソナリティを与える__野球と言う競技そのものを愛しているという思い入れというか、こだわりがにじみ出ている訳ですよ。


やっぱり、そのものジャンル自体を愛するというのは傑作を生み出すひとつの要因ではあります。


と、言うような理由から(明確に意識していた訳ではなく、多分その時の自分の気持ちを自己分析するとこうなるんじゃないかと言う意味で)あまり梶原一騎の野球漫画に対して興味は持てなかったのですね、はい。



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