引き摺っているのか、君は
嘉納さんが放心状態になった翌日の昼休み、デザートを買いに購買部へと足を運ぶため廊下を歩いていた俺だった。正面から一組の男女が会話を交わしながら近づいてくるのが視界に入った。
二人の印象としては、会話が弾むような間柄だっけ?という感じでしかない......
声をかけて、彼女が会話に混ざるとなると厄介だ。
それは避けたい......声を掛けるか掛けないか、悩みどころだ。
「おうぅっ、コウ!何で声掛けねぇんだよぅ、ひでぇじゃねぇか!?」
擦れ違う寸前に篤生から呼ばれ、足を止めざるをえなくなり、立ち止まる俺。
「邪魔するのも悪いと思ったんだ、あっくんに。珍しいな、二人でいるのなんて......」
「二人で?あぁ~そういうことか。たまたま一緒だっただけだよ、勘繰ってるようなことはないって!」
「そうなんだ。随分と楽しそうだったけど......いつから仲良くなったんだよ?」
「仲良くなってないけど......デザート無くなるぞ、呼び止めておいてなんだけど。じゃあね~コウ」
「......あぁ、また」
篤生と那珂詩歌はその場を立ち去っていった。
そうか......やっぱり彼女はまだ引き摺ってるのか、篤生のことを。
無理もない......篤生とまともに話せず、中学校を卒業してしまった那珂詩歌だ。
好意を寄せているが故に緊張で受け答えすらままならないくらいの彼女だ。




