謎がわずかに解消しだす発言
クリスマスパーティーの計画をたて始め、数日が経過したある日。
昼休みに担任から呼び出しを食らった俺は職員室に足を運んだ。
呼び出しの内容はなんてことのない些細なものだった。
教室を抜けられるように仕向けた担任に感謝しているくらいだ。
職員室を後にした俺は、昼食を終えておらず空腹で、教室に戻ることにした。
女子トイレが視界にはいり、あとわずかで女子トイレを通り過ぎれるというところで、トイレから出てきた女子とぶつかってしまった。
俺とぶつかられた相手の女子は、バランスを崩し、よろけて倒れそうになるが倒れる寸前に壁に手をつき、回避した。
「ごごっめんなさ──」
「俺こそごめ──」
同時にペコペコと頭を下げながら謝る二人は声に気付き、顔を上げて視線があって顔を逸らした。
「嘉納さん......ごめん、ぶつかって。痛かったよね?」
「ううん......余所見しちゃってて、ぶつかったの。私こそごめん......」
「そうなんだ。顔色がすぐれないけど、何かあった?」
「えっと......コウちゃん、歩きながらで良い?」
言い出しづらそうにトイレに視線を向けてから、小声で訊いてきた嘉納さん。
「え?うん......じゃあ」
俺は彼女と歩きだし、女子トイレの前から離れることにした。
「ある娘から見に覚えのないことで言い掛かりをつけられて......それでちょっと」
「言い掛かりってどんな?ああっと......訊いたらまずいよね、ごめんね夏乃さん」
「言い掛かりって言ったらあれに決まってるじゃんか......廊下で男子が物を落としたから拾って彼に渡したら会話が少し盛り上がって、それをたまたま狙ってた娘に見られて......って感じで」
「そうだったんだ......その彼女って、佐野みたいな......」
「まあ、ある意味そういう系かな......彼女は。あっううん......何でもないのっ!」
「......例の出来事に関係してた娘なの?言い掛かりをつけてきたって娘って......」
小さく頷き、肯定した彼女。
彼女と同じ中学校出身って知らない。
ちょっと待てよ......そう言えば、文化祭を一緒に回ってるときにふとした瞬間に彼女の様子が可笑しかった。
もしかして......
「もしかして......並志野、だったりする?」
並志野と口にした瞬間に彼女の表情が強張り始めて、肯定も否定もせず、足もとに視線を落とした。
並志野が纏っている雰囲気に違和感を感じずにはいられない根拠はこのことが関連していそうだ。
これ以上の追及は、無理だ。
これ以上踏み込めば──彼女も俺も奈落の底に落ちてしまう。




