女子との昼食
三限目の古典で俺が佐野志桜里に当てられた。その際、「可愛い子と付き合い始めた涼更」と言われた。教室中が笑いに包まれる。こういうのが嫌なんだ。俺は言い返さず、教師に聞かれた質問に答える。四限目の授業でも同じように弄られた。
昼休みになり、すぐに屋上に向かう。最悪の展開だ。一言、星峰さんに言ってやりたいが勇気を振り絞り、告白してきたのだ。言うのはやめよう。
屋上の扉を開くと、星峰さんの姿があった。
星峰さんの隣に座る。
「待たせて、ごめん。星峰さん」
「いいよ。涼更君が居てくれるだけで」
「ああ。ありがとう。星峰さんは好きなのある?」
星峰さんは少し頭を傾げて、笑顔で答える。
「えっ。涼更君だよっ」
「そうじゃなくて、趣味だよ。星峰さん」
「ベタだけど、歌を聴いたり本を読んだりだよ」
「そうなんだ。歌は誰の聴くの」
「ハニワとか色々」
「へぇー、同じだね」
彼女は、つぶらな瞳をかがやかせ、顔を近づける。
「気があうね、私たち。今日、デートをしたいの。だめかなぁ」
可愛い声で誘う、彼女。
「きょ、今日か。だ、だめじゃ、ない......な」
しどろもどろになりながら、答える。
「良かった~。近くの喫茶店はだめぇ」
「それはいいけど、夕飯が近いけどいいのか」
「あっああ。それもそうだね、じゃあスタバはどう?」
「スタバに行こうか、放課後に」
「やった~涼更君と一緒」
彼女は笑顔で小さく、ガッツポーズをした。
彼女はずいぶん積極的だった。
彼女は勢いよく立ち上がり、俺の目線に合わせ、可愛く自分のカップ数を教える。
「Dカップだよ、私」
シャツの間から少し胸元が見えた。
視線をそらし、「聞きたくなかった......よ」とこぼす俺。
「私たち、もう恋人なんだから。それに私は涼更君になら触られても──」
「いくらなんでもっ」
「もう食べ終わったし、もどろっ。涼更君」
彼女は、座っていた俺の手をとり走り出す。