貸し切りの喫茶店にて1
電車に揺られながら車窓の外の景色に視線をやっていた。
流れる景色はすっかり冬といった感じだ。秋は短いよな、と流れる景色を眺めていた俺。
まあ、明日から11月だからな、と今年一年を思い出していた。
電車を降り、改札へと歩きだし、目的地に急ぐ俺。
落ち着いた外観の喫茶店に到着し、扉を開け、俺を待ち構えていたのは──喫茶店の雰囲気を重んじる風貌をした年配の男性だった。
「いらっしゃい。いつものだね?涼更くん」
白髪でピシッと背筋が伸びた60歳後半だろう草加部さんが挨拶をして、訊いてきた。
「こんばんは。お邪魔かとは思ったんですけど......あはは。すみません」
いつもの二人掛けの席に促す彼に苦笑を浮かべ、謝る俺だった。
「事情は星峰くんから聞いてるよ。大変だね、星峰くんも涼更くんも......狭いとこだけど、ごゆっくりと」
二人水入らずに、と柔らかい笑みを浮かべ厨房へと消えていった彼。
「そうですよね......あはは。ありがとうございます、草加部さん」
彼と入れ替わって、星峰さんが姿を現した。
「どう......かな?これ......」
恥ずかしさのあまり俯き、着ている服の感想を訊いてきた彼女。
「どうって......にあ、似合って......るよ、星峰さん」
二人して、落ち着かない様子でぎこちない会話だった。
「そう......かな?似合って......るなら、うれ......しいよ」
魔女──のコスプレに身を包んだ彼女が紅潮した頬に掌を当てながら身体を捩らせる。
かかっ、可愛い!!!あまり乗り気ではなかった感を醸し出していた彼女が魔女のコスプレをっっ!!
写真に収めたら怒るかな、星峰さんは?
「座らない?星峰さん」
「あっ、うん......じゃあ」
正面の椅子に腰掛けるように促すと、気付いたようで椅子に腰掛ける彼女。
貸し切りとなる──ハロウィン仕様に飾り付けが施されたドリームビートは、普段と違い華やかさで多少の高揚感を感じた俺だった。
次話に続きます。
遅れたハロウィン回······
当時、こんなこと出来たらなぁ......
うらやましいかぎり、鴻汰と香っっ!




