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彼女の前で

リビングのダイニングテーブルに姉弟と星峰さんが向かい合い、お見合いのような緊張感が漂っている。

ハァハァ......と気持ち悪く、エロオヤジみたいになりだした姉の横腹に軽く肘を突き、正気に戻そうと試みた俺。

「うっ......はぁはぁ、何すんのっあんた!」

小さく呻いて、痛みに顔を歪ませ声を荒らげてきた姉だったが、無視して肩をすくめるにとどめた俺。

プッ、と小さく吹き出し笑いだした星峰さんに俺らは顔を見合わせ、アイコンタクトをして、星峰さんに「「お見苦しいところを......」」と謝った。

「──ふふっ、あぁ~っ。ごめん、なさい。つい、面白くて......似てるなぁって感じて」

「似てる?」

口元を片手で隠しながら笑っていた星峰さんの言葉に首を傾げ、訊ねる姉。

「私......私達にです。私にも姉がいて、涼更くんたち姉弟も一緒なんだなって」

「そう、なんだ......あは、あはは。香ちゃんはどうして容赦なくぼこすか殴ってくるようなのと付き合おうなんて──いったぁ~っ!言ったそばからすぐ殴らないでよっ!」

姉は作り笑いをあげ、交際のことを訊ねた。

頭上に拳骨をお見舞いされた姉が悲鳴をあげ、頭をさすりながら抗議してきた。

『容赦なくぼこすか殴ってくるような』と余計なことを加えたからだろうが!

「美羽姉が余計なことを言ったからだよっ!」

「余計なことって事実でしょ!毎日殴られてる被害者ですぅっ!殴ったじゃん、今さっきぃ~っ!」

「美羽姉が殴られるようなことをしでかすのが悪いだろっ!」

「何おぅ~っ!──」

「落ち着いてっ!落ち着いてくださいっ二人ともっ!」


激しさを増してきた姉弟喧嘩をやめさせようと星峰さんが仲裁を試みたが声も届かず、帰宅した母親に拳骨を落とされ、姉弟喧嘩が終わった。


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