弄られる涼更
期末テストが終わった、ある日。
ある休み時間、俺は席に座り騒がしい教室に嫌気がさしていた。
俺の顔は歪んでいたと思う。
そうしていると、俺の前に一人の女子が来て、驚きの一言を放つ。
「付き合って」
誘う割には、声が低かった。地声なのだろうが、ちょっとと思った。
付き合うという言葉の意味が分からなかった。
「今なんて」
俺も低い声だった。
彼女は聞き返されたことが癇に触ったようで、先程よりも声が低い。
「付き合って」
彼女は、俺の手を握り廊下に連れていく。
その際、教室にいたクラスメート達が俺と彼女に釘付けになって、ざわついた。
廊下で向かい合う、俺と彼女。
「ごめん」
「何が...とは聞かないけど。それに付き合うってどういう」
「す...すき、という...」
小さくて聞こえなかった。
「な、何て」
「だからぁ、好きなの。一緒にデートをしたいのっ」
恥ずかしそうに、そして響き渡る声で言い放つ。
ううぅ、と恥ずかしそうに俯く彼女。
「そう言ってくれるのは嬉しいけど、貴方のこと知らないけど」
「いいじゃん、私が涼更君のことが好きなんだからっ」
廊下にいた奴ら、教室で見ていた奴らが拍手したり、ヒューヒューと口笛を吹いたりしてきた。
「えっーと。そこまで言うなら、付き合おうか」
頬を小さく掻く。
「えっ。本当に。嬉しいよ、涼更く~んっ」
抱きついてくる彼女。
先程とはうってかわり、可愛い声になる彼女。
「ああっと、恥ずかしいからそろそろ」
「ごめんね、つい」
彼女は毛先を弄り、謝る。
「貴方は誰なの」
「星峰香です。涼更君と同じ一年、胸は──」
「わ、わわ分かったから、それ以上はっ」
男子どもが彼女の胸に目を向ける。
「昼休みに屋上で、星峰さん」
彼女に近づき、耳元で囁く。
「ああぁ、涼更君がぁ。ううぅ、はぁいぃ」
俺は、彼女と別れ教室に入る。男子から弄られまくった。話さない女子からも弄られた。