文化祭編─文化祭三日目4~笑って許してくれる彼女に
「──だけど、だめ......かな?」
彼女の告白には断るということ、その他諸々を正直に彼女に伝えた。
返ってくる言葉がどういったものであろうと受け止めなければならないが......ものすごく怖い。罵られようと受け止めなければ──だ。
「ううん、だめじゃないよ......涼更くん。これですっきりしたよ。これまで通りなんだよね?涼更くん」
頭を横に振り、返答して改めて関係性を問う彼女。
「こんな奴だけど、改めて......付き合ってくれるなら、だけど。本当にこんな情けない俺なんかで良いの?」
「私は涼更くんと今まで通り付き合えるなら良いよ、良いんだよっ涼更くんでっ!──涼更くん以外となんて付き合えない、涼更くんだけが──なんだからっ!」
両手で胸を押さえながら、溢れ出す想いをぶつけてくれる彼女──星峰香に胸がきゅーっと締め付けられた。
星峰香──恋人である彼女に──彼女の口から飛び出した言葉は彼女から聞けたからこそ意味を持つ。意味を含んだその言葉は彼女だからこそのモノだ。
それほどの想いを──言葉を聴いたからこそ、受け取ったからこそ──俺は、こう答えなければならない。
「星峰さんを哀しませるようなことはしない。──だから付き合ってくださいっ!」
頭を下げながら片手を彼女へと差し出し、返事を待つ。
「はい。私の隣で笑ってくれるだけでも良いので、こちらこそ私をよろしくお願いします」
そう返事をしながら差し出された俺の手を握ってくれた彼女──星峰香。
頭を上げると曇りのない表情で陽だまりのような笑みを浮かべる彼女がいた。
彼女の笑顔にこたえるように俺も彼女に笑い返した。




