カップル誕生
先輩に彼女を紹介すると言ってから、数日が経ったある日の放課後。
体育館前で待ち合わせとなっていた。待ち合わせ時刻は4時20分だったが先輩を待たせることは失礼なので、俺と菫は10分前に教室を出た。体育館に着いたら、先輩が既に待っていた。
「遅れてすいません。早いですね、先輩」
「早く会いたくて、4時前にきたんだ。その娘が?」
「三条、菫です。繋牝先輩が好きです。付き合ってください」
緊張している菫が手を差しだし、頭を下げる。
「ありがとう、三条さん。ストレートな言葉で嬉しいよ。こちらこそ、よろしく。三条さん」
先輩は笑顔を浮かべ、優しい声で了承し、菫が差し出した手を握る。
「あっ、ありがとうございます。繋牝先輩、これからよろしくお願いします!」
「よろしく、三条さん。早速だけど、どこか行かない、三条さん」
「いいんですか、繋牝先輩。近くの喫茶店に行きたいです」
笑顔の二人を見ているとなんだか気分が下がってきた。
もう帰ろう、俺。
俺は、菫と先輩がいるその場を離れる。
俺の目には、眩しいものだった。誰か可愛い子と付き合いたいなぁ。
その後の菫と先輩がどうなったかは知らない。知りたくもない。キスをしたのか、その後のことも。考えるだけで、叫びたくなる。