文化祭編─文化祭二日目のそれぞれの夜
「ねぇってばぁ、香ぃ。いつまでふてくされてんの、ほんと。私もあんなのが見れるなんて思いもしなかったけどさぁ──」
と、自宅のリビングのソファでテレビを見つめる不機嫌な私の両肩に手をおいて身体を揺すっている姉のことが鬱陶しいながらも無視を決め込んでいた。
視界も揺れているが、胸の内も動揺と......あとは、言いあらわせられない感情が混ざりあって複雑だった。
あのっ......軽音楽部のステージ中に先輩が彼に告白をっ、公開告白をするなんて光景が目に焼き付いて、胸の内がざわざわとざわめいていた。
彼は、勿論断るつもりだって言っていたが優しい人だし、迷っている可能性だってあるはずだ。
心変わりしたとしたら、私に別れを言い渡して、先輩に乗り換えるということだって、あるかもといった不安がじわじわと身体を侵食している感覚に襲われていた。
彼は、既に彼女の告白に返事をしているのだろうか......していたとして、断っていないとなると──そんなことばかりが脳内でぐるぐる、ぐるぐる、ぐるぐると回っていた。
連絡さえ、この精神ではまともに受け答えが出来ないだろうし、向こうが返す言葉が何であろうと精神に異常をきたしそうだ。
少しずつ視界がぼやけてきて、姉が発した言葉が遠くに聞こえるように感じて、不鮮明になっていく。
終いには意識が遠のいていき瞼が重く感じて抵抗すら叶わず、閉じていった。
星峰香が意識を失った頃、涼更鴻汰は彼女に連絡を取ろうと試みたものの一向に出ないことを不審に思いながらも柚羽に連絡を取ることなく、就寝してしまう。
彼が就寝中にみた夢の中で星峰香が現れ──。




