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番外編─*辛辣な意見に傷付く

隣で歩く柳川がぶつぶつと愚痴を吐いている。

「あんなのとは関わんない方がいいよ、菫っ。菫には彼氏がいるんだし、忘れよっ。ねーっ、菫ぇっ!」

「ええ......っとぉ、それは、どう......なのかなぁ、って思う、よぅ」

「凹むのは菫の自由だしいいんだけどさぁ、過去は過去なんだよ、所詮......ってさぁ、他の奴は言うだろうなぁ~悩みすぎるのもやばいってことだよ。なっ、菫っ!」

「そう、だよね......過去、なんだよね。すがり付いているのは」

過去、過去......なんて割り切れないから、惨めったらしく、ウジウジと悩み続けているなんて理解している。嫌なほどに理解しているよ......だけどさぁ、柳川みたいにはできてないんだよぅぉぉ、私はさぁぁぁっっ!


今日も今日とて縮まることのない、埋まることのない──涼更との距離に嫌気が刺すほどの弱い私が嫌いなんだ。


彼の顔を見ると彼に抱き締められたくなるし、頭を撫でられたい。流した涙を拭ってほしいし、背中をさすってほしいの。

困っている人がいたら、助けようと足を踏み出すような優しい幼馴染みの彼。

あの頃みたいに、あの頃の笑顔を浮かべるのは、私じゃなくて、他の女子を前にしたときだけなのが悲しい......寂しいんだ。


困らせたり、悲しませたりばかりしてきた私がおこがましいだろうけど、彼の温もりに包まれたいんだ。柳川には解らないだろうけど。


友達も恋人もいる彼には、私はいらない存在だろうけど、彼の温もり──触れる肌は、男らしいほどのかたさはないけれど、ほどほどな筋肉がついた春のこもれびのような温もりを感じたいの。


文化祭の二日目である今日も進展は期待できないけれど、彼──涼更鴻汰に何とか会話を交わせるような勇気を──なんて思う。


「──最初はどこに行く?ねぇ、菫」

「えっ?そうだね......最初はね──」


──いつになれば、距離が縮まるのかな......それとも──





彼女からしたら辛辣という感じ方です。

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