文化祭編─文化祭二日目7~不幸が降り注ぐのは何故なんだ
俺と星峰さんがわたあめを口に運びながら、廊下を歩いていた。
「私達って似ているね......色々とさぁ」
「まあ......ははぁっ、似ているのか?」
彼女が発した『似ている』に疑問を感じ、首肯出来ず、苦笑が漏れ聞き返す。
「姉に悩まされたり、他人に見えない傷が深く刻まれたりってこと。他にもあるけど......」
「ああ~そういうことね。似ているね、大変だよね......傷付いてばかりだしさ」
「ふぅ~ほんとだね。涼更君」
深く息を吐き出し、同意を示した彼女。
特別教室の前に一脚の机がぽつんと置かれ、その上に文芸部が発行した部誌を見かけたがそのまま通り過ぎた俺と彼女。
夏祭りの本格的な......ではない手作りの輪投げをやれる教室を目指し、廊下を歩き続ける。
教室に到着し、待ち時間もなくすんなりと輪投げをした。
俺と彼女は、輪投げを終え、教室を出て、歩きだす。
前方から先輩の宮地を見かけ、星峰さんの横顔にちらっと視線を向け、正面を向いた。
宮地が通り過ぎる際、耳もとで囁いてきた。
「必ず来てね」、と。
短いスカートが翻るのを振り返りざまに目に焼き付いた。
何故、スカートの丈を短くしたのか......意図は何だろう?
「先輩だよね?さっきの」
「うん。目付きを鋭くしないでほしい......お願い、します」
「ごめんね。隠しごとをしてるようにみえて」
「今以上に機嫌が──」
「良いから。お・し・え・て、涼更君」
表情は、笑顔ではあるが瞳に輝きがなく、声音も低い。
「うっ。あぁっと......実は──」
小さく呻いて、星峰さんに話し始める。




