文化祭編─文化祭二日目4~嫌悪感を剥き出しにしても変わらない
俺は、星峰さんと手を繋ぎながら文化祭を回っていると、後方から近付いてきた声がしてうんざりした。
佐野だった。嫌悪の対象である女子の一人、唯一といってもいいくらいの嫌悪する人間だ。
「おーい、涼更。相も変わらず、おあついことだね。ほんと羨ましいよ」
「おまえっ......懲りもせずよぅーっ。ほんと、ウゼぇよ。目の前から消えてくんなァい?醜い面ァをよ」
「やっと本性を見せてくれたね。あの時は苦労したよ、涼更の表情が崩れたことにあんし──」
「どこまで歪んでやがるぅっ、てめぇはぁ、よぉー!」
好意的な笑みではない歪んだ笑みを浮かべ、戯言を吐く彼女の胸もとに掴みかかった。
どう足掻いても──もがいたところで、決して交わることのない平行線である彼女を睨み付けた。
「ははっ。こわいね、そこまで乱暴だとは......アンタごとき──一人に嫌われたところで痛くも痒くもないんだよねぇ~!他人がど──」
笑顔──嘲笑を浮かべながら、乾いた笑い声を含ませ、続ける佐野。
歪んでやがる。狂ってやがる。
こいつの性格がここまで醜悪で、救いようのないものだとは。
「いっぺぇぇんぅ、死ん──」
「やめてっ、涼更君っ!お願いだからぁぁーっ!」
握り締めた拳が彼女の頬に触れる寸前に星峰さんの叫びに固まる俺だった。
怒りに委ね、殴る体勢だった俺を恋人の叫びで抑えられた。
「別に殴られてもいいんだけどね。アンタに殴られたところで痛みなんて感じないだろうね。まあ、いいかっ。最近、楽しませてくれるから。あのとき見れなかった表情見れたしね。ふふぅ~んふぅふ~ん」
上機嫌になった佐野は、何かを口ずさみながら駆け出した。
何なんだよ、ほんとあいつは。
一切関わりたくない奴だ。
佐野という奴には。
「涼更君、だいじょ──」
「もう、大丈夫だよ。ありがとう、星峰さん」




