文化祭編─久しぶりに会話をするカップル
一限目が始まる短い休憩時間にメールで星峰さんに呼び出された。
「ごめん、抱きついたりして。それに恥ずかしい思いさせて......その、可愛かったけど」
星峰さんに頭をさげ謝り、目に焼き付いて離れない、ドレス姿の感想を改めて口にした。
「いっいいから、もう謝らなくて。そそっその......ううっ、うれぇっしかった。久しぶりに涼更君に触れられて。でも、見られたくなかったよ、ドレスを着てるとこなんて。スタイルなんてよくないし、見せられるようなのじゃないし......ううぅぅ、はずかしいぃぃっ!」
彼女は、頬を紅潮させ、照れた表情を見せたあと、俯きながら、自虐的なことを言ってから、あのときの感情がよみがえったみたいで、可愛く唸って、しゃがみこむ。
「ほんと可愛かったよ、そんな自虐的になることないから。ねぇ泣かないでよ、星峰さん。星峰さんの全てに魅力が一杯つまってるから。泣くことないよ、星峰さん」
俺も、彼女の前にしゃがんで肩に手を置いて、泣き止むように声をかける。
「ほっほんと、涼更君?」
涙が頬を伝い続けるまま、うるうるした目をしながら聞いてきた。
「ほんとだよ。文化祭で観に行きたいほどだよ、いや観たいよ」
「そっそれはっいやだ」
彼女は、顔を逸らして、恥ずかしがった。
一限目の授業には、ぎりぎり間に合った。




