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番外編─記念日

紆余曲折を経て、星峰さんとは付き合って一年が経った。

本日が付き合って一年記念日。

時刻は8時30分、星峰家のリビング。

「香~楽しんできてね。涼更君もね、くれぐれも険悪な雰囲気にならないように~」

柚羽さんが送り出してくれた。

「わかってるよ。行ってきます」

「お邪魔しました」

俺と星峰さんは、リビングを出て、玄関で靴を履き、外に出る。

まわりは真っ暗に包まれていた。夜空を見上げると、星々が小さく輝いていた。

「何で今見るの、鴻汰」

立ち止まっていた俺に、振り返り少しきつい言い方だった。

「ごめん、香。そんな怒んなくても」

「怒ってないよ。私もきつく言ったのは謝るよ、ごめん」

「行こう、香。明日も学校だから」

「そうだね。手を繋ぎましょう、鴻汰」

手を触れてきた彼女の手を握り、歩き出す。

吹いている夜風は気持ちいい。


一時間後、目的地に到着した。

丘に仰向けになり、手を繋ぎながら、夜空に散りばっている小さく輝く星々を眺めた。

「久しぶりだね、ここに来るの。ねぇ、鴻汰」

「そうだね。今まで色々あったね、香」

「うん、鴻汰が浮気をしたり、私の──」

「それは、違うだろ。香はまだ根にもってんの?」

「もってないよ、鴻汰が想い出に浸っている感じを醸し出していたから。だよ」

「なら、いいけど。俺を愛してくれてありがとう、香」

「こちらこそ、ありがとうね。面倒臭い私を今まで愛してくれて」

「香より、あいつの方が面倒臭いよ。いや、素敵な彼女だよ、香は。この世で一番の女性だよ。香以外愛せない」

「ふふふっ、恥ずかしげもなくそんなこと言うなんて。嬉しいよ、鴻汰」

彼女の控えめな笑い声が隣から聞こえ、高鳴る胸。

「明日からも末長くいてくれる、香」

「もちろん、鴻汰以外に靡くつもりないよ。これからも星峰香をよろしくお願いします!」

「俺の方こそ、香を一人にしない。ずっと一緒に愛を育んでいこう。涼更鴻汰をよろしくお願いします」

二人は、見つめ愛ながら愛を確かめあった。


夜空に散りばっている星々が俺達を歓迎しているように明るく輝いていた。


こうして、涼更鴻汰と星峰香の素敵な記念日はキスで幕をとじた。


翌日からは愛し合う二人の日常が始まる。




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