文化祭編─怒らす姉
「ただいま。いるんだろ、美羽姉」
リビングに入るとソファで気持ち良さそうに寝息をたてて、寝ている姉の姿が目にはいる。
露出が多い服でへそも見えている。
「おーい。起きろよ、今まで寝てたの?」
「いったぁー。乱暴しないでよ、って帰ってたの。もう食べたよ、だからい~らないっ」
そう言って、リビングを出ていき階段を上がっていく姉。
俺は、簡単なおかずで済ませ、食べ終わるとテレビを観始める。録画していたドラマを観ようとしたら、ドラマのタイトルがいくら探してもない。
「美羽姉ー、美羽姉下りてこいー」
階段を下りてきた姉の頬を引っ張る。
「いだだだだっ、呼んどいてこんなひどいことされる覚えはないって。何怒ってんの?」
「録画してたの消しただろ。美羽姉。素直に言えば怒らないから言って、私が消しましたって」
「既に怒ってん......やめ、わかったから。あれのこと?だってつまらないんだもん、つい手がって、こっち来ないでよ~」
危険を察知して、階段を上がっていく姉。
扉を閉めて、頑なに開けない姉。
「好きなもの買ってきてあげるから、ねぇ~でておいでぇ」
もので釣るがいっこうに出てこない。
「そう言って殴ってくるんでしょ。わかってるからねっ、絶対入れさせないからー」
「この前言ってたとこに、行ってあげようと思ったんだけどなぁ。この機会を逃すと一生行かないけど、それでもいいなら~」
「それは、ほんとー?今いったからね!」
扉を開け、瞳をうるうるさせ、言ってくる姉。
ちょろい、なんてちょろい姉なんだ。
「本当だから~謝ろうかぁ、美羽姉ぇ」
姉の頭を小突く。
「加減してよー、いたぁぁぁぁー」
家の中に響く姉の悲痛な叫び。
ひとしきり泣いた姉に約束をして、ベッドで寝る俺。




