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元気な幼馴染み
振られた翌日。
登校して道を歩いていると後ろから聞きなれた元気な声がする。
「おっはーよう。コウ。元気ー」
歩いていると後ろから背中を叩かれた。
いってぇなー。菫の力は女子みたいな力じゃなくて強いんだよな。いつものように背中を叩く菫。
「おはよう。元気なわけねーじゃねーか。原因はお前だろ」
優しく挨拶を返し、つい強い口調になった俺だ。
横に並んできた菫の顔を見る。
「それは...今日、雨降るって天気予報で見たけど傘持ってきた」
「いいんや。持ってきてないけど」
「そうなんだ...」
それだけ言い、切ない顔になり、
「先に行くね」
と彼女は言い残し走っていく。
あのスキンシップはおかしいだろ。脈ありにするものだろと毒づきながら菫の後ろ姿に目をやる。
教室に入ると菫は友達と話していた。
席に着くとクラスメートから
「珍しいな、菫と一緒じゃないなんて」
「まあーね」
と短く答えた。
教科書などを机に入れて、鞄からカバーをつけた本を取り出し読み始める。
チャイムがなり、担任が入ってきて出席確認して出ていく。
つまらない一日が始まった。