番外編—【後編】サニー・ガールズパーティー
姫瀬家に一泊することは既に決まっており、両親らも承諾済みだ。
姫瀬の母親が階下から夕飯が出来たからおりてらっしゃーいと呼んだ。それに応じ、私らはリビングへと急いだ。
陽が沈むのが遅い夏で、未だ明るい。
四人で食卓を囲み、賑やかなリビングになる。
夕飯をよばれ、姫瀬美蕾の自室へと戻った。
足を伸ばし、寛いでいると姫瀬が何かしらを企んでいるような表情を向けてきた。
「紅莉ぃ〜ちょっと頼みたいんだけど、良い?」
「あっと……風香ちゃんに——」
断ろうとする私は、トイレに行っている風香になすりつけようとした。
言い終える前に風香が戻ってきてしまった。
「うちも遠慮するよ、アレ……」
渋い表情を浮かべる風香も断る。
「ダメッ!紅莉か風香、どっちかはやってもらわないと。さぁ〜どっち?」
姫瀬が顔を近づけ、迫ってきた。
私と風香は顔を見合わせ、顔を引き攣らせて、ため息を漏らした。
姫瀬美蕾の趣味のひとつで、制作したコスプレ衣装を私か風香に着させるというのがある。肌の露出度が高い衣装ばかりを着させられるので二人してゲンナリしている。
本日——姫瀬の趣味の餌食になったのは風香だった。一悶着あったが、割愛。
部屋の中央に立たされた風香は内股で今にもへたり込みそうだ。
毎度のように色々とポーズを要求し、一眼レフで恥ずかしがって耐えている風香を写真に収め続ける姫瀬。
何度も風香が睨んでくるが、睨む度に姫瀬に「優しい目付きだよー風香ぁ〜」と注意されていた。
姫瀬の背中越しに、両手を合わせ謝る私。
30分にも及ぶ撮影会が終わり、ベッドでぐったりと横たわる風香。姫瀬はご満悦な表情で先ほど撮影した画像を眺めている。
「はあぁ〜どれも良い〜!」
「どうにかなんないかなぁ……」
弱々しく呻いた風香は壁に向かい合ったまま横たわり、姫瀬に絡まれないようにしていた。
胸の内で、風香に向けて——「お疲れ様」と労う私だった。
その後も色々とあった。