番外編—【前編】サニー・ガールズパーティー
夏休みのある日の昼下がり——姫瀬家で女子会を楽しんでいた。
エアコンの冷房が効いた姫瀬美蕾の自室で寛ぐ女子三人組。
私、姫瀬美蕾、柊風香は仲良し三人組だ。
風香は姫瀬のベッドにうつ伏せで漫画を読んでいる。私と姫瀬はテレビの前に座り、テレビゲームに夢中で、コントローラーを操作して敵のモンスターをなぎ倒してる最中だ。
「うりゃあ」、「おりゃあ」などと叫ぶ私たちに、風香はジト目を向けて呆れたようなため息を漏らす。
彼女のジト目やため息に構うことなく、操作するキャラを囲むモンスターをバッサバサと切り掛かり倒し続ける私と姫瀬だった。
風香はゲームが苦手で、私らがゲームで遊ぶとなれば断ってしまうぐらいなのだ。
室内はエアコンの稼働音、テレビゲームのBGMや効果音、二人の叫び声で騒々しくなっていた。
一時間後——最終ステージのボスを屠り、ひと息つく私らを横目に、風香が退屈そうなトーンで、「ひと汗かきに行かん?」と誘ってきた。
「嫌やぁ〜遊び盛りの小学生か、風香はっ!」
「私も嫌だよぅー。こんな暑い日に動けないってぇ〜」
姫瀬が断り、彼女に続いて私も断る。
「えぇ〜二人して断るぅー普通。じゃあ、何だったら良いんだよ〜?」
「ホラー映画、観たりぃ?」
「嫌ぁっ!絶対嫌っ!無理無理ぃっ!」
姫瀬の提案に両手を身体の前に出して、左右に振り、断固拒否をした私。
「冗談だってぇ〜紅莉ぃ。冗談だからっ!そうだっ、恋バナっ!恋バナなんてどう?」
「恋、バナ……」
「そう、恋バナ。紅莉は、気になる男子っている?」
「いない、かな……今は」
私の返答に、二人は困惑した表情を浮かべたまま、黙り込んでしまう。
風香が言わんとすること——浮かべた表情は何となくわかるが、姫瀬が何でその表情で見据えてくるの?