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番外編—気がかり、憧れる存在と親の主張

私には、将来なりたいモノがある。


しかし、両親には反対されている。きっかけは両親がつくったようなものなのに……


両親に連れられ、観にいったドーム公演のLIVEがきっかけで将来はああなりたいと志すようになった。

ステージに立ち、歌声やダンスで観客を魅了し、虜にさせ、歌声やダンスだけで覚悟や生き様をひしひしと感じさせるfull throttle 4に憧れを抱いた。

幼いながらもfull throttle4というグループの存在感は瞳に焼き付き、忘れようにも忘れられない歌声だった。

容姿は近付き難いモノでありながらも二人の歌声は透き通り柔らかいながらも芯の通った力強さも併せ持っていて、一瞬で魅了された。

パフォーマーの二人もキレキレでしなやかなダンスを見せ付ける。

私が憧れるfull throttle 4が見ている景色がどういうものかを知りたくて、近付きたくて——full throttle 4が活躍する世界に足を踏み入れたいと思っている。


それほどまでに別格な存在がfull throttle 4というグループだ。


両親に似て、歌声は素敵だと言われる。YUIさんとRIOさんの歌声には到底及ばないけれど……


なりたい、なりたいのに……



※※※


高校に入学して、二ヶ月が経ったある日の休日——部活を終え、帰宅すると父がリビングのソファーで寝息をたてながら寝ていた。

母が用意してくれていた昼食を温めている間、ダイニングチェアに腰を下ろしていた。

すると、父がうなされ、ぅぅぅと苦しそうにし始めた。

ときどき、カノと呼んだ後に行くなとかぼそい声で発する父。

「ぅぅぅ……カノ、カノぉ行くなぁぁ……ぅぅぅっ——」

あぶら汗をかき始め、見てられなくなった私は父を揺すり、起こそうとした。父は、三分もたたずして、目を覚ました。

「お父さん、うなされてたけど……大丈夫?」

「ああぁ、そうか……心配してくれてありがとう、紅莉。おかえりなさい」

「うん……カノってなんのこと?」

「学生の頃のゆうじ——なんでもないよ、紅莉……昼食冷めそうだよ、はやく食べないと」

「う、うん……そうだった」


結局、父ははぐらかし教えてはくれなかったが一年後に知ることとなった。


悲惨な出来事を。


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