苦手だな...
フードコートの四人掛けの席についた俺ら三人は、各々で昼食を注文した。
「──なんだけど、キミってイケるくち?」
「無理です......GLならなんとか、です......」
BL漫画について語った蜜和味の連れである女子──衣浦秋帆に訊かれ、なんて質問してくるんだよと胸の内でツッコミながら、答えた俺だった。
「ソッチはイケるのかぁ~キミぃー......うぅ~ん、じゃあ貸してあげるから新しっ──ってぇ~っ!何すんのっさぁっ、ズサズサっちぃ~!」
彼女にBLの世界に浸らそうと勧誘されていた俺を救ってくれたのは蜜和味だった。
「涼更くんを巻き込むなよぅ、秋帆っ!そういうのはゆるるちゃんらとやってなよ、全くぅー。目を離せばすぐ暴走すんの、やめてよっ!」
衣浦の頭に拳骨を喰らわせ、ため息を漏らしてから椅子に腰をおろし、手を合わせ謝ってきた蜜和味。
「ごめんね、涼更くん......こんなんでも友人想いの良い奴だからさぁ。仲良くしてやってよ、クセは強いけどさ」
「はぁ......」
「巻き込んでなんかっ......引き込むくらい良いじゃん、慣れたら一緒に話せるんだし。てかっ、さっきから貶されてない!?ズサズサっちの親友ポジだよね?ねぇ~なんとか言ってよぅ~ッッ!」
醤油ラーメンの麺をズズッと啜り続ける蜜和味の肩に手を置き、身体を揺すり始めた衣浦。
昼食に夢中な衣浦の食べっぷりは凄まじい。トンカツ定食にハンバーガーセットにと、食らいつきまくって蜜和味のラーメンを一口に餃子までも食べている。
昼食を安上がりに済ませようと言っていた彼女はどこに言ったのだろう?
テンションが高い女子って苦手だなぁ......




