最近、ついてない......
店内の所々にクリスマスの飾り付けがみうけられ、星峰さんとの二人きりのクリスマスが待ち遠しくなる俺だった。
自宅では姉に、校内ではクラスメートにと休まる場所がない俺は一人になれる場所を求めている。
俺は他人が傷付き塞ぎ込んでいる姿に敏感に反応してしまう。
あの日から──そんな体質へと変えられた。
他人に関わりすぎた故の代償がでかかった。他人と関わり、親しい関係性を育んだ人間が痩せ我慢した後に恨み言のひとつも吐くことなく、目の前で倒れて、そのまま容態すら分からず姿を消されたら......もう無理じゃないか。
あんな言葉を残して、関係が絶たれるなんて......あんまりだろ。
「あらぁ~まあ、鴻汰くんじゃないのぅ。久しぶりねぇ、うちの娘が迷惑ばかり掛けてごめんなさいねぇ」
「お久しぶりですね。アハハ......まあ」
「以前に会ってた頃よりも痩せてるわねぇ、手のかかる娘を相手してくれてたからかしらぁ~」
「そうですかね?」
「あの娘ったら、鴻汰くんが来なくなった途端に塞ぎ込むことが多くなっちゃてたのよぅー。鴻汰くんが良ければなんだけど、また仲良くしてやってくれないかしら。私も話し相手が居なくて退屈なの──」
ジャラジャラと鎖が鳴り出し始めた。
那珂詩歌の母親に出くわすとは......ついてない。
胸がざわつき始め、息が浅くなりはじめて氷塊が浮かんだ海に沈められたような感覚に襲われ、意識が朦朧とした。
あぁっ、やぁヤバい......もう──




