可愛い彼女の悩み
放課後デート。
俺と星峰さんはショッピングモールに来ていた。
すれ違う人達の視線が気になってしょうがない。星峰さんは可愛らしいが俺はブサイクというほどでもないがイケメンでもない冴えない顔の男子だ。彼女と釣り合っていない。
彼女は何も気にならないようで、笑顔で俺の隣にいる。
スタバについて、店員に注文する。
「カプチーノを」
「キャラメルマキアートをお願いします」
星峰さんが財布を取り出すのをとめる。
「俺が払うからいいよ。星峰さん」
「ありがとう、涼更君」
会計を済ませ、出来上がるまで立って待つ俺達。
数分後、店員からカプチーノとキャラメルマキアートを受け取った俺達は丸テーブルの席に座る。向かい合ったところに椅子が置いてあり、星峰さんが椅子を横に置いて座った。
俺の脚と星峰さんの脚が触れあう。
星峰さんは気にせず、キャラメルマキアートを口に含む。
「おいしい~」
「あのさ。言いたくなかったら無理にとは言わないけど......中学の頃って、男子とああいうこと──」
俺のぼかした質問に彼女はぽかんとした表情で見つめてくる。
「涼更君、ああいうことって?」
「えっと、分からないならいいんだ。星峰さん」
「ああ、涼更君の言いたいことって男子が興味深々なあのこと?」
「まあ......星峰さんは可愛いし、積極的だから。気になって」
「一度もないよ、涼更君。周りの男子から気持ち悪い視線があるし、言われたこともある。女子からも。男子は怖いの、私。......でも涼更君は大丈夫なんだっ」
話していた時、少し身体がふるえていた。恐怖が染みついているのだろう。
「話してくれて、ありがとう。星峰さん」
俺達は、カップを口に近づけ、飲む。
「涼更くんっ。私の大好きな曲、一緒に聴こっ」
彼女は、そう言いスマホを取り出し、イヤホンの片方を俺の耳にいれてくれる。
スマホを操作して、すぐ曲が流れてくる。それは知っていて、好きなのだった。
俺達は目を瞑り、聴きいっていた。
聴き終わると、イヤホンの片方を返す。趣味を話し始める俺達。
20分経った頃に星峰さんのスマホから俺の好きな曲が流れる。
星峰さんは電話口で話し始めた。
「えっ、今。買い物してるとこだよ、早くきて?すぐしたら帰るから。じゃあね」
通話を終えた彼女は、キャラメルマキアートを飲み干す。
「涼更君、少しだけ買い物に付き合って」
「今の家族からじゃ......」
「たいしたのじゃないよ。お願い」
彼女から頼まれると断りにくい。
スタバを後にして、俺達は手を繋ぎながら、買い物をする。