お願いだから買ってくれ
『一生のお願い』とは、人生において一度きりの大切なお願い事と言う意味だ。子供の頃何度も使う人がいたようないなかったような...
その一度きりのお願いを神様が必ず叶えてくれるとしたら、皆はなにを叶えてもらうだろうか。
好きな人と結ばれること、お金持ちになること、夢を叶えること.....様々あるだろう。
そんな一生のお願いを無駄遣いした少年「黒粕」の青春ラブコメ(?)
その時間は俺が4歳の時にやってきた。12月の初めの頃、俺はサンタさんに手紙を書いた。
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さんたさんえ
おめんらいだあのべるとくださり
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訳すと、サンタさんへ オメンライダーのベルトくださいってことだ。
当時うちはとても貧乏でとても贅沢ができるような家庭ではなかったそうだ。父は俺が産まれてくる前に他界、その頃俺は母と80歳を過ぎた祖母と暮らしていた。といっても母はあれやこれやと仕事を掛け持ちしてまともに家にいたことはなかったようだが。
だから、まぁ今思えばあのクリスマスの日にはベルトが貰えなかったのも今になっては納得できる。
この言い方だと貰えたのかって?
あぁ、貰えたさ。そう、あの瞬間にな
その時のことについて少し話そう。
12月の25日の朝、4歳の俺の枕元には段ボール箱が置かれていた。4歳の俺は、ベルトが届いたと思って大喜び。だけど、中身はお菓子だった。今思えばとても有難かっただろうが、当時の俺からしたら嬉しくなかった。後から聞いた話だと、その日俺は落ち込みすぎて無気力状態だったらしい。
次の日、母が家にいたので聞いてみた。「なんでサンタさんこなかったのー?」って。母はこう言った「サンタさんね、ベルト作れなかったからお菓子持ってきたって言ってたよ」
でも、諦めがつかないのが子供だよな。そこで俺はこう言った。
『じゃあお母さんベルト買ってよ!』
母はこう返した
「もうちょっとお金貯まったらね」
ここで素直に、はい と言えればよかったのだが、そうはいかないのが子供。
『お願いだよ!今すぐ欲しい!一生のお願い』と言った。
すると、その直後にピンポーンと音がした。
母は慌てて玄関へ走った。
「宅配便でーす♪えーっと、カミサマからですね! はーいったしかに!」
そんな声が聞こえてきた。
母は大きな箱を持って玄関から戻ってきた、首をかしげながら。
「カミサマってだれだったかしらね、黒粕?知ってる?あなた宛に届いたんだけど?」
「んー?だあれ?しらなーい」
「なかになにはいってるのおー?」
と聞いてみた。
母はカッターを持ってきて箱を開けた。すると、中からはオメンライダーのベルトが出てきた。
母は驚いた様子でこう言った。
「だれ?!こんなに高価なもの送ってきたの、返さなきゃ。ほんとにあんた心当たりないの??」
すると、箱の底には1通の手紙が
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どうも神です。
『一生のお願い』を聞きつけたもので叶えさせていただきました。
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「全く理解できないわ、本当に誰かしら。返さなければ。」
母はパニックであちこちに電話をかけていたが、当時の僕はカミサマが贈ってきたと思った。だから見つかるはずもないと思っていた。
結局贈り主は不明。ベルトは僕のものとなった。
その後、何度か母に『一生のお願い』をしてみたが叶わなかった思い出がある。
美味しいお菓子や、新作のおもちゃいろいろ『お願い』したがどれもだめだった。
それから12年経った今、ベルトの一件の真相がようやくわかった。
贈り主は…本物の神様だ。
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