第六十九話 「ドラゴンとの戦い(一)」
ドラゴンは背中こそ強固な鱗に覆われているが、腹部はそうではない。狙うなら腹だ。
スコットはマグナムの引き金を引き絞った。
反動で腕が揺れるが制御する。
弾丸は再び羽ばたこうとしていたドラゴンの腹部に命中した。
ドラゴンは小さく悲鳴を上げた。
「ここだな、今が好機だ!」
スコットはマグナムを連射した。
ドラゴンの腹に次々穴が開く。
「エレン援護してくれ」
「はいっ!」
弾薬を込める間は、エレンがライフルをフルオートにして牽制、援護した。
あいにくライフルの弾では敵に傷を付けるのは難しかった。
ドラゴンが腹を伏せ両手を着き猛進してきた。
三人も、兵士達もその突進を避けた。
ドラゴンの突進は城内へ続く回廊の入り口を粉砕した。
そしてユラリとこちらを振り返る。
「これでは腹が狙えないが?」
指揮官がそう言いスコットは舌打ちした。羽ばたいて空に居てくれた方がやりやすい。こう四つ足の体勢でいられるとその鱗が弾丸を阻むだろう。物は試しとスコットはマグナムを連発したが、やはり漆黒の鱗に弾かれてしまった。
するとドラゴンの口から炎の帯が覗き出した。
「皆、散れ!」
指揮官の声よりも早く誰もが一斉に周囲へ散らばった。
大口が開け放たれ紅蓮の炎が辺り一面へ広がった。
石の床が、壁が黒く燻っている。
「さて、この状況、どうすべきか」
「ピンポイントで目を狙いますか?」
エレンが尋ねて来た。
スコットは軽く思案したが、視界を失ったドラゴンがそこかしこ構わずに暴れ回ることを考え頭を振った。目はあった方がこちらも向こうも落ち着いていられるだろう。つまり狙いがつけやすい。
万策尽きたかに思われたが、そこで剣を手にしたネルソンが進み出た。
「一つ策がある」
彼は静かにそう言った。




