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第五十六話 「第八ステージへ」

 獣が鳴いた。

 高らかで清らかな一筋の音色だった。その両目がこちらをジッと凝視している。

「スコットさん?」

 エレンが疑念を抱いたように尋ねて来た。

 その通りだった。スコットは目の前の異形の猛獣の声を聴き、目を合わせた瞬間、引き金を引けなくなってしまったのだった。

「こいつは、何か悪さをしたのか?」

 スコットは自分でもそう口にする自身に驚いたように二人に尋ねた。

「それは、おそらくまだ悪いことはしていませんが……」

 エレンがそう答え、言葉を淀ませた。

 スコットは銃を構えたまま、迷っていた。

 今までの連中は人間に害をなしていた。だが、こいつはピーピー鳴きながら空を舞っていただけではないか。

 丸い瞳には可愛げな茶色の睫毛が伸びていた。

 見れば見るほど気高くて愛らしさのある生き物だった。

「……俺にはこいつを殺せねぇ。殺す理由が無い。いや、分かってる。理由ならあるんだろ。こいつがこの世界にいてはいけないイレギュラーな存在だってことがな」

 スコットは銃を下ろし獣に近付いて行った。

 獣は目をパチクリさせながらこちらを興味あり気に見詰め、また甲高い声で「ピー」と鳴いた。

「スコットさん!? 何をやってるんですか!? 離れて、離れて下さい!」

 エレンの声が聴こえるが遠い彼方から響いているように思えた。

 大丈夫だ。大丈夫。俺はコイツと……。

 スコットはこちらを見詰める獣の頭にソッと手を伸ばした。

 俺はコイツと友達になれる。

 その手が柔らかな毛並みに覆われた額に置かれた。

 獣は声を落として鳴いてスコットを見ていた。

 スコットはその額を撫でてやると、獣は心を許した様に首を預けて来た。

 何て愛らしいのだろうか。スコットは首を上下に撫でてやった。

「スコットさん、今すぐそのグリフォンから離れて下さい!」

 エレンが声が轟いた。

 ライフルの銃口が獣に、グリフォンに向けられていた。

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