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第五十三話 「村の戦い(二)」

 ならず者達が次々に現れ広がってゆく。

 不意にエレンの持つ神々の機器が電子音を上げて、矢印を明滅させた。

「イレギュラーな存在?」

「どういうことだ? こいつら現地の人間だろう?」

 今までの歪みは全てこの世界には存在しないものばかりだった。それが盗賊とはいえ、機器は人間に反応を示している。

 スコットが問うとエレンは頷き、そして驚いたように頭を振った。

「まさか、ホムンクルス?」

 すると盗賊団の中から一際大きな男が姿を現した。赤い肩当てをし、船の帆のような巨大な刃を持つ武器を手にしている。

「なるほど、お前達が奴の言っていた者達か」

 静かだが圧倒する声音がそう言った。この男がリレイガスに違いなかった。だが、その武器に見合う体格の強靭さを見てスコットは相手を過小評価していたことに気付いた。

 これが本当に人間かよ。村人じゃ無くたって怯えちまう。

「皆、構えよ! 女子供を逃がすのだ!」

 村長が盗賊王に負けじと声を張り上げた。

 村の男達が決死の表情で武器を構え進み出る。

 リレイガスはそれを見て不敵に、あるいは嬉しそうに口元を歪ませると言った。

「襲え!」

 盗賊達が殺到してくる。

「迎え撃てー!」

 村長が声を上げる。

 かくして戦いの火蓋は切って落とされた。

 スコットとエレンは並んで銃を撃った。

 人殺しは経験済みだ。相手が襲ってくるのなら何の躊躇も無かった。そうでなければ死ぬのは自分だということをスコットは分かっていた。

 だが、エレンはどうだろうか。

 女神はライフルの引き金を引き続け、着実に盗賊達を葬っている。躊躇いの無いことがスコットには意外だった。

「スコットさん、遠慮することはありません」

 こちらの心中を見透かしたかのようにエレンが口を開いた。

「彼らは人じゃありません。ホムンクルスという魔法の産物に人の魂を定着させたものです。それもかつての無法者達の魂を」

 エレンのライフルが積極的に火を噴いた。

「よくわからないが、イレギュラーで害悪な存在なのは分かった。俺も遠慮はしねぇぜ」

 しかし、早くも乱戦となり、銃の狙いをつけるのが難しくなった。

 スコットは家屋を見上げた。

「エレン肩車してやる。屋根に登れ。そこから狙うと良い」

「わかりました」

 スコットは言った通り彼女を肩に乗せる。エレンは軽かった。

 彼女が上ると、スコットはマグナムをしまい、ナイフを引き抜いた。

 盗賊達が向かってくる。スコットはナイフを振るって応戦した。流れる様に切り裂き、敵を着実に仕留めてゆく。そして戦いながら、エレンのライフルが的確に村人達を援護しているのを見て嬉しく思った。

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