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第五十二話 「村の戦い(一)」

「盗賊王リレイガス。奴は突然現れました。そして手勢を連れてこの近辺を荒らし、脅して回り、金銭、食料を要求し逆らう者は、容赦なく斬り捨ててきました」

 村長は語った。

「我々の依頼を受けた官軍も、いや、規模は小さく軍とは言えませんが、それでも手練れの兵士達でした。討伐に向かったのですが、皆殺しにされました。そしてリレイガスの手下が我々の元に現れ、殺した官軍の兵士達の首を放り出し、次までに金品と食料を用意しなければ村中を焼き払い滅ぼすと言ってきたのです。その量が途方もないもので、我々に死を要求するも同じことです。ならばと、我々は立ち上がり、こうして臨戦態勢を整えているところにあなた方が訪れたわけです」

 スコット達は顔を見合わせた。エレンが頷き、ネルソンは表情を僅かに強張らせた。この戦いに参加する意思は固まった。そう示していた。

「たった三人だが、アンタ方に是非とも力を貸したい」

 スコットが言うと、村人達は難しい顔をしていたが、その目がチラリ、チラリとネルソンを見ていた。

 だが、村長は頭を振った。

「ありがたい申し出ですが、あなた方は今すぐにこの村を発った方がよろしい。手下どもは何とかなるかもしれませんが、頭目のリレイガスは比べ物にならないぐらいの強力な男です」

「うちのネルソンも並みの戦士とは比較にならないほどの武芸の持ち主だ。リレイガスとか言う奴にも勝てるかもしれない。そうじゃなければ、アンタ方はただ全滅して終わりだろう?」

 村長は難しい顔をすると言った。

「その通りでございます。……しかし、村として関係の無い部外者を悪戯に死へ招き入れることはできません。御助勢願えるのならネルソン殿の武勇がどれほどのものなのか試させていただきましょう」



 二



 村の中央でネルソンの力試しが、いわゆる模擬戦が行われようとしていた。

 静かに待ち受けるネルソンは木刀を手にしていた。

 そうして村の者達が取り囲んで興味深く、あるいは祈る様にしてその決戦の行く末を見守っている。

 その囲みの中から五人の村の男達が槍に見立てた木材を手にし進み出てきた。

 男達は互いに顔を見合わせ、声を上げて一斉に襲い掛かって来た。

 スコットは見た。ネルソンが地を蹴った。

 すると次の瞬間には五人の男達は武器を叩き落とされ、地面に膝をついていた。

 驚愕の声が上がる。人々はネルソンの目にも止まらぬ動きと、その結果に希望を抱いたようだった。

 スコットは少しだけ誇らしくも、こそばゆくも思った。

 ネルソンは、俺達自慢の最強の戦士だぜ。

「もっとだ」

 ネルソンが言うと、周囲から負けじと声を上げて総勢十人もの村人達が躍り掛かって来た。

 だが、挑んですぐに、十本の武器が舞い上がり、地面へと落ちた。新たな村人達もその場に屈していた。

「これなら、リレイガスを斃せるかもしれない!」

 そんな声が周囲から上がった。

 その時だった。

「誰を斃せるだって?」

 嘲笑う声が上がり、村人の一角が慌てて退散する。

 そこには一目でならず者達と分かる者共が哄笑を上げて立っていたのだった。

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