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第四十五話 「ハーピィ退治」

 上空の一羽、いや一匹が急降下してきた。

 鋭い爪が煌めくがネルソンがすかさず斬り捨てた。

 魔物は半身を分断され、血の溜まりの中で息絶えた。

 スコットの見たところ、そいつは奇妙な魔物だった。

 凶悪に歪んだ人の女の顔とたわわな二つの乳房を持ちながら、腕は無く鳥の翼になっている。下半身はもまた毒々しい赤色の羽毛に包まれ、脚は爬虫類めいた鳥の脚になっていた。

「こいつは?」

「これは、ハーピィですね」

 スコットの問いにエレンが応じた。

「人間に見えるだけ殺すには後味が悪いな」

「胸のことですか?」

 エレンが疑惑の声を向けて来た。スコットは藪蛇だったと思ったが白状しつつ言った。

「それもあるし、顔だって怖いが一応人の女の顔立ちだろう」

 バサバサと羽音が聴こえて来た。残る二匹が頭上を旋回している。

 ネルソンがギルバート神父に貰った弓矢を構えた。

「分かってるさ、敵は討伐隊も殺してるからな、情けはかけられない」

 スコットもマグナムを構えた。

 すると突如として山が騒がしくなり、遠くに無数の影が飛び立つのを見たのだった。

 ネルソンが矢をスコットがマグナムを放った。

 旋回している二匹はそれぞれ射抜かれ、撃ち抜かれ、地面に落ちた。

 そうして無限に羽音が木霊し、ハーピィの群れが頭上一面を埋め尽くしたのだった。

 鋭い爪を向けた急降下を幾度も敵は繰り返してきた。

 三人は避け、そして飛び道具で反撃した。

 ハーピィは次々地面に落ち、死体となって折り重なった。

 敵は翼で打とうと低空で旋回もしてきた。

 スコットとエレンは、それを屈んでやり過ごしたが、ネルソンは素早く武器を持ち替え、剣で一刀両断にしていた。

 ハーピィは続々と増え始める。そのギャアギャアという凶暴な声が、間を置かず森中に木霊する。

 と、エレンが悲鳴を上げた。

 見ればハーピィが彼女の両肩をがっしり掴んで空に持ち上げていた。

 ネルソンの弓矢が魔物の身体を射抜き、放り出されたエレンをスコットが受け止めた。

「エレン、大丈夫か?」

 エレンは何故かスコットの胸元に顔をうずめ鼻をヒクヒクさせた後、正気に戻ったように彼の手から飛び降りた。

「あ、ありがとうございます」

 そう言って彼女はライフルを空に向かって掃射した。三匹の魔物が撃たれ地面に落ちた。

 良い腕だとスコットは感心した。

 三人は撃ち続け、そうして空に一匹の魔物の姿も無くなった。

 辺りは血と屍だらけだった。

 エレンが魔術でその死体を埋葬機関とやらに全て送り届けた。

 そうして三人は犠牲となった十人からなる討伐隊の亡骸へと向かった。

 鎧は剥され、顔もそうだが体中食い破られていた。見るも無残な姿をしていた。

 身元が分かる品があれば良いが……。三人は犠牲者達の冥福を祈った。

 そして神の機器が新たな反応を示したため、更に上へと霊山を登って行ったのだった。

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