第四十三話 「霊山の異変」
港町を後にし、三人は神の機器が指し示す方角、北へと歩みを進めていた。
街道沿いの村で一晩明かし、再び道を歩んでいると、エレンが声を上げた。
何事かとスコットが見ると、神の機器の矢印が北から北西へと変わっていたのだ。
西側は森であった。道なき道を行く羽目になるのかと思ったが、すぐ前に数人の人影があるのを見付けた。それは五人の番兵だった。
何を護っているのかと思えば、彼らの背に西へ延びる道があった。
「きっとこれだな」
「そうですね」
スコットが言うと、エレンは頷いた。だが、番兵達と話をつけなければならないようだ。スコット達は歩み寄って行った。
「ここを通りたいのだが」
スコットが尋ねると番兵達は姿勢を正し、まるで五つ子のように寸分も違わず全員が頭を振った。
「駄目だ。今、この先は封鎖されている」
番兵の一人が答えた。
「それは何故だ?」
スコットが再び問うと、番兵は応じた。
「この先の霊山一帯に化け物どもが現れたからだ」
「化け物」
スコットはエレンを振り返り頷きあった。
「討伐隊が出ている。彼らが戻ってくるまでここは通せぬ」
番兵は固く言った。
「俺達もその討伐に加わりたい」
スコットは腰のナイフを叩いて見せたが、番兵は「駄目だ」と、頭を振った。
さて、どうしたものか。
スコットが途方に暮れようとした時だった。
ネルソンが進み出て何かを見せた。何だろうか。それは手の平サイズの板だった。
だが、見せられた番兵達はその板をマジマジと見詰めて、驚愕していた。
「これは、アルヴィナ総督のお知り合いの方でしたか」
「アルヴィナは俺達に国中の歪みを正す様に言った。今回の事件もその歪みの可能性がある。つまり俺達が介入する余地があるということだ」
ネルソンが饒舌にそう述べると番兵達は道を開けた。
「実は三日前に出たはずの討伐隊が戻って来ないのです。援軍を呼ぼうかと思ったところですが……」
「まずは、俺達が戻るのを待て。俺達が出て三日経っても戻って来なかったら、その時は任せる」
ネルソンが言う。
「は、はい」
番兵達は道を開けた。
「行くぞ」
ネルソンが歩み出す。スコットもそうだが、エレンもだろう、驚きつつその後に従ったのだった。




