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第三十六話 「アルヴィナ(二)」

 アルヴィナと名乗った女性が立ち上がった。

 女性にしては背が高い方だろう。スラリとした身体に青い軍服を纏っていた。相手が近付いて来て分かったが、胸元が露出し、素晴らしい谷間が見えていた。

「そこに掛けな」

 アルヴィナが椅子を促した。

 年齢はおそらくスコットよりも上だ。ふくよかな胸と露出している胸元のせいで妖艶な印象を受けた。

 スコットは無意識のうちに一瞬エレンを振り返り、その起伏に乏しい胸を見ていた。

「ほら、座りな」

 アルヴィナが再度言い、三人は椅子に腰かけた。

 相手が歩んでくると、何かの花のような良い香りが漂ってきた。

「男二人は確かになかなかやりそうだね。お嬢ちゃんも志願するのかい?」

「そうです」

 エレンが真面目な顔で言い、相手を見詰めると、アルヴィナは頷いた。

「ほう、思ったよりアンタ良い目をしているね」

 アルヴィナはそう言った。

 流れる様な長い金色の髪をしている。この総督は美女だが、その左目には黒い眼帯をしていた。

「ああ、これかい? 件の魔物に引っ叩かれてね。潰されたのさ。せっかくの美人が台無しだろう?」

 アルヴィナはクスクス笑うと、自己紹介を求めた。スコット達が名乗ると彼女は言った。

「スコットに、エレン、それにネルソンか」

 アルヴィナは満足げに言うと、軽く表情を引き締めて言った。

「既にね、五回全滅させられてる。多くの勇者が死んでいった。それでもアンタ達はアタシについて来てくれるのかい?」

 エレンが即座に頷いた。

「行きます!」

「ほう、お嬢ちゃん、エレンだったね。ずいぶん、決意が固いようだけど何か訳ありかい?」

 そう尋ねられ、エレンが言葉を詰まらせた。まさか、この世界を創造した神の責任として歪みを正しに来たとは言えないだろう。スコットは手短に話をでっちあげようとしたが、アルヴィナが言った。

「ま、生きてりゃ色々訳もあったりするだろう。それよりも気に入ったよ、エレン。大の男二人を差し置いてそういう顔で即答できるんだもんね。良し、アンタの命、アタシが預かるよ。男どもも良いんだね?」

 スコットが頷き、ネルソンも続いた。

「アンタ達の覚悟は分かったよ。じゃあ、明日、日の出と共に港に集合だ。船も最後の一隻……今回で終わりにしたいところだね!」

 アルヴィナはそう言った。

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