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第三十四話 「港町」

 幾つかの町や村に滞在し、スコット達は旅を進めていた。

 東に海を臨む頃になると神の機器の反応は徐々に大きくなりつつあった。

 そんな中、新たな街が三人を出迎えた。

 これまで見て来たどんな町よりも活気があり、潮の良い香りが漂ってくる。

 大通りには店や露天商が軒を連ねている。野菜に果実に装飾品、置物、反物に、そして鮮魚、様々な品物を大勢の人々が吟味し買い求めていた。

 一行は賑やかな通りを進み、神の機器の矢印が大きくなるところを探し求めた。

 一見すれば、この町は平和だ。何らかの脅威に晒されているとは思えない。

 そうして幾つもの船が停泊する港までやって来た。

「反応は?」

 スコットが問うとエレンが言った。

「矢印は大きくなりましたが、この先を指し示しているようです」

 この先、それは広い広いどこまでも青い大海原だった。

 スコットは唖然として海を眺めていた。そして尋ねた。

「どうやって行くんだ?」

「それは……」

 エレンは困ったように腕組みしたのでスコットは笑みを浮かべて、その頭をちょこっとつついて言ってやった。

「ずばり、船しかないだろうな」

「……そうですね。でも小舟で行けるとは思えませんし、どこかの船に乗せてもらうしかありませんね」

 エレンが応じた。

 船なら目の前にたくさんあった。一見すれば簡単そうに思えた。しかし、考えた。これまで通り脅威が待ち構えているとなると、船員に死人も出るかもしれない。死を恐れず、なるべくならこの信じられない脅威について話の分かる船の主を探し求めるべきだろう。

 そのことを話すと、エレンも同様の意見を持っていた。

 まず、三人は手近な場所で何やら話し合っている人々のところへと行った。

「船を探してるんだが」

 スコットが言うと、船乗りらしい男と、恰幅が良く身形の良い一人の男がこちらを振り返った。

「これは御機嫌よう。旅の方ですかな?」

 恰幅の良い男は身形の割に嫌味や皮肉の一つも無い態度で応じた。

「そうだな、俺達は旅人だ。南の方からやってきた」

「ほう、そうでしたか」

 そこで恰幅の良い男の表情が沈んだ。

「申し訳ないですが、おそらく、船を出してくれる方はいらっしゃらないと思います」

「それはどうしてですか?」

 エレンは察したようだが、あえてそう尋ねたようだった。

「この近海に恐ろしい化け物が現れたんです」

 スコットとエレンは顔を見合わせ頷いたが、男の話に耳を傾けた。

「その化け物はとても大きく、船を幾隻も沈めてきました。町は潤っているように見えますが、それは運良く、その化け物、いや、迂回し、海の魔物の魔の手から逃れられただけの話です。しかし、その迂回するルートでは岩礁も多く、なかなか船の操作も困難を極めます」

「なるほどな。できることなら正規のルートを確保したいわけだ。そのためには海の魔物をどうにか駆除しなければならないわけだな」

「駆除とは言いますが、そう簡単に斃せる相手ではありませんぞ。今まで退治に向かった船が何隻も沈められているのですから……」

 スコットが言うと恰幅の良い男はそう応じた。

「そういえば、あなた方はどこへ行くために船を必要とされているのですか?」

「俺達はその魔物に用があるんだよ」

 恰幅の良い男の問いにスコットは腰のナイフを叩いて応じた。

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