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第三十二話 「首無しの騎士達(四)」

 神父の攻撃は目を見張るものがあった。

 一撃一撃が気勢を上げ、まるで大槍を振るう度に力が増しているようにも思えた。

 その神父とデュラハンは互角の戦いを繰り広げていた。

 両者が離れたところで、スコットは神父の隣に駆け付けた。

「神父さん、アンタ強いな」

「ギルバートと申します、スコット殿」

 神父は額から汗を垂らしながら朗らかに微笑んでそう応じた。

「ギルバート神父か。俺の入る余地はあるかい?」

「勿論ありますとも。私は所詮はジジイ。肉体はとうに限界を迎えてます」

「分かった。俺に手伝わせてくれ」

 スコットはマグナムを構えた。

 デュラハンは襲い掛かって来た。

 マグナムが火を噴く。連発された銃弾を、敵は穴も開くのも構わず鎧で受け止め、剣を振りかぶった。

 敵にも豪胆なのと冷静なのと、個性があるらしい。

 大振りの一撃を避けつつスコットはそう感じた。

 ならばと、小脇に抱えられた兜首目掛けて連射したが、さすがに敵は剣を戻して防御した。

 そこへギルバート神父が勇猛な叫び声を上げて躍り掛かった。跳躍と共に頭上で槍を旋回させ、気合の乗った一撃を振り下ろす。敵はそれを剣で受け止めた。神父の攻撃はまだ続いた。

 それを剣で受け止めるかと思ったが、何とデュラハンは自らの鎧で受け止めつつ神父に必殺の一撃を振り下ろしていた。

 スコットのマグナムから銃弾が飛ぶ。それは神父の頭を叩き割る寸前に、敵の剣を握り締める指という指を正確に打ち砕いた。

 指と共に剣が落ちると、神父は気合の掛け声と共に槍を突き出した。

 切っ先は兜首に突き立っていた。

 三体目のデュラハンが怨念めいた声を残して消えてゆく。

 ギルバート神父は地面に槍を立て、息を切らせていた。

「スコット殿、助かりました」

「神父さんは休んでると良いさ。アンタは良くやった。俺は――」

 断末魔の声が上がった。

 ネルソンがこちらへ歩んできている。彼の背後でデュラハンは消滅していた。

「おいおい、最後まで見届けとけよ。もしもってことがあるだろう?」

 スコットは半ば呆れながら戦士を出迎えた。

「手応えはあった」

 ネルソンはそれだけ言った。

「そうかい。さて、残りは……」

 旅人達と、生き残った男、そしてエレンが、遠巻きに最後の一体と対峙している。

「奴だけだな」

 スコットとネルソンは最後の敵のもとへと歩んで行った。

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