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第三十話 「首無しの騎士達(二)」

 五体のデュラハンが迫って来た。

 旅人達は唖然としていた。この世界では首無しの騎士なんて存在しないからだろう。

 スコットはマグナムを連発した。

 轟音と共に弾丸は騎士の纏う鎧に穴こそ開けたが、敵は悠々と歩んでくる。

「効いてねぇのか?!」

 スコットは思わず狼狽しながら声を上げていた。

「デュラハンの弱点は、抱えている首です!」

 エレンが声を上げてアサルトライフルを掃射し、スコット同様に足止めを試みた様だが、鎧に弾かれ騎士達の歩みを阻むことはできなかった。

 スコットは突出しているデュラハンの左手に抱えている首目掛けて発砲した。

 だが、敵は目にも止まらぬ動作で剣を振るい弾丸を跳ね返したのだった。

 そして敵が駆ける。両者は入り乱れた。

 スコットは振るわれた剣を避け、抱えている首目掛けて引き金を引くチャンスを待つことにした。

 風を切る音を立てて剣が正確にスコットを断ち切り、あるいは貫こうと追い詰める。

 早くも悲鳴が上がった。

 旅人の誰かがやられたらしい。

 篝火が戦場となっている広場を照らしている。

 ネルソンと、村の生き残りの男がそれぞれ敵の一体と対峙している。

 あとは、驚くことに初老の神父が大槍を振るって首無しの騎士を阻んでいた。旅人達は残る一体を取り囲み総力戦で挑んでいる。

 剣が突かれた。スコットは慌てて避けるが、尚も凶刃は迫ってくる。その一撃から逃れられず、命を奪おうとする刃の前に素早くマグナムを突き出し盾として、事なきを得たが、銃は離れたところへ跳ね飛ばされてしまった。

 舌打ちし、スコットがナイフを抜こうとしたとき、エレンが飛び出しアサルトライフルを連射した。

「スコットさん、お早く!」

「すまねぇ!」

 スコットはマグナムへ駆け寄り素早く拾い上げた。

 今度はエレンが襲われていた。頭上から振り下ろされた剣を彼女はライフルを掲げて受け止めた。

 スコットはこの機を逃さなかった。抱えられた兜首目掛けて引き金を引いた。

 だが、デュラハンは恐るべき速さで反応し剣を戻して弾丸を弾いたのだった。

「エレン、下がれ!」

 スコットはマグナムを連発させ、彼女の後退を援護した。

 複数の悲鳴が上がった。また誰かがやられた。

 早く終わらせなくては犠牲が増えるだけだ。何せ旅人達は戦闘らしい戦闘もしたことがないだろう。

「エレン、向こうの援護に入ってくれ。俺もすぐ行く!」

「わかりました!」

 女神は駆け出した。

 スコットは改めて敵目掛けてマグナムを連発するが、デュラハンは全て剣で受け止める。

 どうすれば良い。その時、剣を握る敵の指にスコットは注目した。

 あれぐらいならマグナムで吹き飛ばせそうだ。考えてみれば怖いのも厄介なのも剣だけだ。それさえ除けば、亡者で最強だろうが何だろうが、どうということは無い。

 スコットはマグナムを乱射した。いや、右左、上下計算して撃っていた。そのまま相手が躍起になって弾丸を弾くところへ、不意を衝く様に剣を握る手を目掛けて弾丸を連射した。

 指が吹き飛び、剣が落ちた。

 スコットはすかさず抱えられた兜首目掛けて弾丸を放った。

 庇うものを失った兜首に穴が開き、黒っぽい血のような液体が流れ出た。

「グワアアアッ!」

 地の底から鳴り響くような断末魔を残して敵は消えたのだった。

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