第二十二話 「懺悔」
キキイッ!
奇声が木霊する。夜明けと共にゴブリン達の襲撃は始まった。
今日もまたこの場から一歩も動けないのは御免だった。
だが、こいつら、イレギュラーな存在を掃討することこそ役目である。一匹残らず出てきてくれるならむしろ好都合というべきかもしれない。
スコットは右側の茂みから飛び出してくる影を次々狙い撃った。
真ん中では前方から向かってくるゴブリン達をエレンのアサルトライフルが火を噴き確実に仕留めていている。その腕前は素人にしてはなかなかのものだった。
そしてネルソンは左側から絶えず躍り掛かってくるゴブリンを一刀の下に切り裂いていた。
昨日と同じ布陣だった。全員が完璧に己の役割を掴んだようだ。
程なくして生きているゴブリンの姿は見えなくなった。
「エレン、機械の方はどうだ?」
スコットが問うとエレンは答えた。
「この先にまだ反応がありますね」
「ゴブリンか、それともサイクロプスやワイトキングのような親玉か。とりあえず行くか」
スコットはそう言い率先して足を進めた。エレンがちょこちょこと隣に並んだ。
「……ありがとうございます」
エレンは表情を俯かせてそう言った。
スコットはその頭を撫でた。
「わわ」
エレンが驚いたようにこちらを見上げた。
「こうなっちまった以上は俺もネルソンも神の戦士だ。きっちり役目が終わるまで付き合ってやるさ」
するとエレンの目から涙が零れ落ちた。
「おいおい」
今度はスコットが驚く番だった。
「すみません。スコットさんと、ネルソンさんを無理やり帯同させてしまって。お二人の暮らしを滅茶苦茶にしてしまって」
「俺は別に大した暮らしなんかしてないさ。恋人だっていない、自由気ままな独りもんだよ。ネルソン、アンタはどうなんだ?」
スコットが問うとネルソンは応じた。
「お前と同じだ」
「だ、そうだぜ、エレン。何も心配することなんかない。ほら、涙拭けよ」
スコットは青いハンカチでエレンの涙を拭いつつ、この女神には異性としての好意とは違う、別の愛情を抱き始めていていることに気付いた。
エレンは仲間だ。俺達三人はチームなんだ。
彼は己の中に芽生えた感情にこう結論付けたが、少々的外れにも思えた。
まぁ、良いさ。そのうち分かってくるだろう。
三人は改めて轍の続く森の道を進んで行ったのだった。




