第二十話 「新たなる旅立ち」
程なくしてエレンは帰って来た。
彼女は息を切らせていた。貸したアサルトライフルはしっかり腕に抱かれていた。
「只今戻りました」
エレンは、ゼーハー言いながら肩を上下させていた。
「アンタ、どこから走って来たんだ?」
「最初にいた森からです」
「何でまたそんなところから。ここにワープできないわけじゃ無かったんだろう?」
「村の人々に見られる訳にはいきません。驚かせてしまいますからね」
それは納得だった。
「それで忘れ物って何だったんだ?」
「これです」
エレンは得意げな様子で見せた。
それは長方形で厚みがあった。箱型をしている。片手に収まる大きさだ。ガラスか、プラスチックかは知らないが、表面に画面がある。どうやら小型機器のようだった。
「何だこれ?」
「これはイレギュラー発見装置です」
「イレギュラー発見装置?」
スコットが問うとエレンは頷いて言った。
「神々が自分の創造した世界にあってはならない事態が起きた時に、それの所在を確かめ指し示す装置です」
「今回の出来事もそうなのか?」
「ええ」
スコットの問いにエレンは応じた。
「スイッチを入れますね」
エレンが言った。
カチリと音がした。しかし、何も起こらなかった。
「おかしいですね」
エレンは何度かスイッチを入れたり消したりしていたが、装置は沈黙したままだった。
「電池切れなんじゃないか?」
「神の作った装置は電池を必要とはしません」
エレンが応じた。
「仕方ないですね、こうなったら最後の手段」
エレンはそう言うと装置の側面を叩きまくった。
「このこのこの! このおおおおっ!」
すると画面に点が灯った。
「やりました!」
「んな、安直な」
スコットは呆れた。
電子音が聴こえてきた。点は羅列になり矢印となってある方角を指し示して点滅した。
「やはり、まだイレギュラーな存在がいるようですね」
「つまり、俺達の出番は終わらないわけか」
スコットはネルソンを振り返った。
戦士はこちらのことなどどこ吹く風というように、まだ剣を研いでいた。
「ネルソン、出発みたいだぞ」
スコットが声を掛けると、戦士はようやく立ち上がった。
「とりあえず、この矢印の指し示す方角へ向かいましょう」
そうして三人は神の機器の示す方へと、再び出発したのだった。




