第十七話 「死者の王(一)」
小屋があった場所を睨み付けていると、粉塵の下から黄金色の衣装身を包んだ骸骨、ワイトが姿を現した。頭には同じく黄金色の冠を被っている。
「身なりの良い奴が出て来たな。このステージのボスってところか」
スコットが言うとエレンが答えた。
「あれはワイトキングです。恐らくはこの場に蔓延する邪念が作り出したのでしょう。高位の亡者で魔術を使います、気を付けて下さい!」
ワイトキングが杖を天に掲げた。
「魔術?」
スコットが思わず尋ね返す。途端に頭上の灰雲は黒へと変わり、ゴロゴロ音を立て始めた。
「上から来ます!」
エレンがそう叫んだ直後だった。
頭上から雷鳴が響き、柱の如く太い稲妻が降り注いだ。
スコットは飛び退き、辛うじて避けた。
落雷が降り注いだ地面からは煙が上がり焦げ臭いにおいが漂っていた。
そしてエレンが子供を庇って同じく倒れているのを見て声を掛けた。
「エレン、アンタはその子供を村へ連れて行ってくれ。ここは俺とネルソンでどうにかする!」
「で、でも!」
「良いから行ってくれ!」
「分かりました! 私達は一旦離脱します!」
エレンが応じた。彼女は子供の手を引いて駆け出した。
スコットは死者の王に向かって牽制の銃弾を放った。
衣類に穴こそ開いたが、銃弾は死者の王を軽く仰け反らせる程度だった。
剣を引っ提げネルソンが敵目掛けて駆け出した。
すると死者の王ワイトキングは地面に杖を突き立てた。
地鳴りが響き、地脈が複雑に割れ、その一本が一直線にネルソンへと向かって行った。
ネルソンは避け、地割れを飛び越えようとしたがその足が止まった。次の瞬間、割れ目から炎が噴き上がった。
そして炎は生命を持ったかのように浮き上がり、丸くなって大きな炎の球となった。
その炎は躍り上がり、ネルソン目掛けて肉薄した。寸でのところでネルソンは避けたが、炎の球はネルソンを逃さず執拗に追い掛け始めた。
だが、己を包むほどの炎の球にネルソンはさほど翻弄されはしなかった。彼は剣を振り下ろし、炎の球を真っ二つに割り消滅させた。
スコットは安堵し、エレン達もまたこの場からいなくなったことを確認して銃の引き金を引いた。
弾丸は轟音の割にはやはり敵にはさほど通用してはいないようだった。
距離を縮めて奴の頭を狙ってみるか。
するとまた頭上で雷鳴が轟き始め、スコットは上空を睨みながら身構えた。
再び太い落雷がこちら目掛けて落ちて来た。
スコットは飛び退いて避けた。先程は炎、しかし今度は雷が執拗にスコット目掛けて降り注ぎ始めた。
こいつを受ければ感電死は免れない。
考えている間は無かった。神頼みの勘任せに彼は飛び退き走り続けて落雷を避けたが、だが一瞬の不気味な間があり彼は足を止めた。すると今度は目の前に落雷が降り注いだのだった。
スコットは方向を変えて逃げ続けた。
その落雷の轟音が彼に追い縋ってくる。
その落雷は今度は彼の左右にも落ち始めた。
ちいっ、こりゃ本当に神頼みだ!
その神の姿を思い浮かべた。赤毛でまだあどけなさの残る女だ。
いや、俺はその神にこの場を任せろと啖呵を切ったんだったな。
スコットは勘の赴くままに飛び込んだ。一際大きな落雷が彼のすぐ後ろに炸裂した。
落雷は止んだ。
見ればワイトキングとネルソンが武器で打ち合っていた。




