ステータス 意外に便利 疲れたよ
あれからしばらく歩いていると無事に街らしき場所には辿りはついたはいいが目の前に長い列ができている。元いた世界の順番待ちのような行列だ。
違いがあるとすればその中に馬車があったり、明らかに普通の人間じゃない人たちが混ざっていることだ。
そして、その人たちの奥へと目線をむければ巨大な門があった。元の世界でもこんな大きな門はなかなか拝めないんじゃないだろうか、そしてその奥へと目線をむければまさにファンタジーのような街並みが見えた。
「んー、さっさと依頼を報告して飯食べにいこうぜ飯 俺腹減ってるんだわ」
「ええ、手紙の護送ってことでトーズにきたけどここいらって私たちが狩るような魔物はいないのよね」
「へぇ、それじゃあ 適当に護衛依頼でも受けてアンサードのほうへ戻るか」
「そこはギルドのほうへ寄って依頼報告をしたあとギルドに目星い依頼があるかどうか見てから決めようか」
前に並んでいるのはゲームの中や物語にでてくる冒険者のような格好をした人たちだ。
ふむ、どうやら彼らの会話を聴いている限りではここはトーズという街なのかそれに話を聴いてる限りだとギルドがあるらしい、だけどギルドと言われると判断に難しいな
ファンタジーにでてくる冒険者ギルドなのかそれともゲーム内で作るギルドといわれる集まりなのか
彼らの話題はもうなにを食べるかに偏ってきているからこれ以上は情報は期待できないな
「もしかしてお前さんトーズにくるのは初めてか?」
僕が考え事をしていると後ろから声をかけられた後ろを振り向いてみると
茶色の髪を短めに揃えた男性が大きなリュックを背負ったまま笑みを浮かべながら話しかけてきてくれた。
もしかして、僕が悩んでる様子を見て話かけてきてくれたのかそれともキョロキョロしたりしていたからか
「ええ、ここはトーズっていう街なんですね」
「なんだ、そんなことも知らないでここへきたのか」
実際、知らないから困ったもんである。できればこの男性からこの世界の情報を引き出したい。男性は呆れたような顔でこちらを見たが、すぐにその顔を笑みへと変えた。
「それじゃあ、街のこともよく知らないのか?」
「はい、いままで村にいたもので村の中のこと以外は話を聞いたことがあるくらいで」
「おぉ、そうか 随分閉鎖的な村から出てきたんだなぁ」
うまく会話が続けられている。元の世界ならきっと最初の会話で終わってた自信が間違いなくある。
・・・なんか虚しくなったけど話を続けよう。とりあえず、男性に僕がさっきまで考えておいた設定を話しておくとしよう。
「そうですね、僕も半ば追放されるように村を出てきましたからね」
「追放?そりゃまた大変だ なにがあったんだ」
「いや、何かあったわけじゃなくて僕は村の外出てみたくて親にその話をしたら外に出るならもう村には戻ってくるなといわれましたがやっぱり諦められなくて出てきたんですよ」
「おぉ、それはなんというか大変だな で、このあとは街に入ってなにをしたいかとかは考えているのか?」
「はい 村にいた頃なんですが、たまに商人の方がやってきてたんですがその方の護衛さんにギルドの話を聞いたことがあったのでそちらに向かおうかと考えてました」
「冒険者ギルドかそりゃまた大変だな」
正直、この話穴が多かったがなんとかなったか、閉鎖的なのになんで商人がとか聞かれなくてよかった。
それと今聞きたい情報その一が聞き出せた。冒険者ギルド、この言葉が聞けただけでもこの会話をしたかいがあった。
あとはもう少し聞き出せそうな話を聞き出しておきたい。
「ただ、ギルドの登録の仕方とかそういったことを知らないのでできればでいいので教えていただければ」
男性はいままで浮かべていた笑みをさらに強くした。なんというかいい笑顔だな。見ているこっちまで元気になりそうな笑顔だ。こういう人の周りはきっと暖かい。
「よし任せな!村から出てきたってことはまずこの列のこともわかってないだろう この列の先のほうを見ればわかると思うがトーズの街へ入るための門がある」
「はい、大きな門ですね 見ているこっちが圧倒されてしまいそうです」
「ハハハ、でなそこに門番がいるんだが住民であれば住民カード 組合員なら組合カード 冒険者なら冒険者カードを見せれば街へ入れるんだがそういうのがない奴は入場料として銀貨4枚を払わないと入れないんだが大丈夫か?」
「大丈夫です 元々子供の頃からお金を貯めてそれをもって出てきたのでお金には少し余裕があります」
「おぉそうか!それじゃあ続きなんだが冒険者ギルドに入るってなら入った道をまっすぐいくと剣と杖が交差したようなおっきな看板を下げた建物があるからそこが冒険者ギルドだ」
「入ったらまっすぐいったとこにある剣と杖が交差した看板がある建物ですね」
入場料は銀貨4枚か、これだけだとお金の価値がわからないからもう少しわかりやすい比較対象が欲しいな
あとギルドの看板、これは絶対に覚えておこう。じゃないとまた知らない人に道を尋ねる羽目になる。
「おう、入れば受付のねぇちゃんたちがいるはずだから話しかけて登録料を払えば晴れてお前さんも冒険者ってわけだ」
「登録料はいくらくらいなんですか?」
金はあるが、金銭価値が正確にわかってない現状では無駄な出費は抑えたいところだ。いまの手持ちは白金貨1枚 金貨52枚 小金貨2枚 銀貨3枚 銅貨0枚。貨幣価値がわからないがこの並び順に貨幣価値が高い物だと思う。
「登録料は小金貨3枚だな」
小金貨3枚か・・・1枚足りないから別の硬貨で払わないといけないが
たぶんだが小金貨というだけあって金貨より価値が小さいということだろうから金貨は小金貨より上のはず、それを確かめるためにも
「じゃあ、金貨1枚で大丈夫ですかね」
「そりゃそうだ、金貨1枚出せば小金貨が7枚帰ってくるわけだしな」
「あ、入場しようにも銀貨がなくて小金貨しかないんですけど大丈夫ですか?」
「あぁ、まぁ問題ないだろう 銀貨6枚ぐらいは門番ももってるだろうからな」
よし、これで金貨1枚で小金貨10枚で小金貨1枚で銀貨10枚ってのまではわかった。この法則からいくと金貨10枚で白金貨・・・いや、それならインベントリの欄が52枚じゃなくて
繰り上がって白金貨6枚になってるんじゃないか・・とりあえず白金貨は保留にしておこう。現状は金貨まであれば問題なさそうだ。
「お、そうだ!俺はトマスっていうんだがにぃちゃんの名前は?」
「僕はリークといいます」
「それじゃあリーク、俺はこれでもこの街で宿屋を経営してるんだ 宿も決まってないようだし家にこないか?」
「はい、宿もなにも決まってないので是非行かせてください」
「おう!場所はギルドの受付に安らぎ亭って聞いてくれれば教えてくれるはずだからよ!」
正直、この申し出はありがたい。宿をいちいち探す手間が省けた上にトマスさんは凄くいい人そうだから
気兼ねなくこれからも質問できる環境があるのは助かる。ちょうど話してるともう前にいた冒険者さんたちが街へ入ったのか僕の前には大きな門が広がっていた。どうやらトマスさんと話してる内に順番が回ってきていたようだ。門番の男の人がこちらに苦笑いらしきものを浮かべながら口を開いた。
「カードの提示をお願いします。もっていなければ銀貨4枚を」
「カードを持ってないので小金貨1枚でお願いします」
僕はインベントリから小金貨1枚を引き出すと頭の中で考えながらローブのポケットで手を突っ込み
そのタイミングで小金貨を一枚インベントリから引き出すと手の中に硬貨が出現した。僕はその小金貨を門番の彼に差し出した。
門番の男性は懐につけていた袋から銀貨を6枚取り出すとこちらにさして出してきたのでそれを受け取る。
「はい、確かにいただきました。どうぞお入りください」
門番の彼が入っていいといってくれたので足を進め門をくぐる。目の前には先ほど遠目から見ていた光景がさらに開けて広がっていた。そんなふうに街を見ているとカードを提示したのはトマスさんが後ろから続いて入ってきた。そのあと、トマスさんと一緒に歩きながら適当に会話をしていると、俺こっちだからとトマスは別の道へ進むと後ろを振り返り
「それじゃあリーク、また宿で会おうな」
「トマスさんありがとうございました!」
トマスさんは笑みを浮かべながら手を振り、先に歩いていった。僕も冒険者ギルドへ向かわなければ!