プロローグ
始めまして。ピンフと申します。
基本的にハッピーエンドしかみとめないです。強張った文体なんて書けません。小説のルール?なにそれおいしいの?
伏線はりまくって回収し忘れたらごめんなさい。誤字脱字はもう、みて見ぬ振りしてください。てへぺろ。
感想なんか頂けたら全裸で土下座します。嘘です。素直に嬉しいです。
脱力系想像ファンタジー、です。どうぞ。
2019/01/15更新。何故戻ってきたし。
高い場所から落ちる感覚というものは、好む人は少ないと思う。まるで身体からなにかが離れていくような、浮いていくような、説明し難い現象。
その現象に僕は襲われていた。とは言っても、焦りや恐怖というものはない。そもそも瞳に映るものは黒一色であり、鼓膜に響く音はなく、感覚なの皆無であり、ただ意識がその現象を認識しているようだった。
ただ気持ち悪いの一言につきる。寝ているときの夢の中で、何処からか落ちているとき、意識がはっきりと始める現実へと引き戻される直前までの、微妙な間。
だからこれが永遠続くという夢でない限り、すぐに現実に戻されるだろう。
そう意識した時、まるで映像のシーンを瞬時に入れ替えたように、世界が一変した。
雨が降っている。それもぽつぽつなどという可愛らしいものではなく、土砂降りの雨。傘では太刀打ち出来そうもないほどで、僕は顔をしかめた。
分かるのは空が灰色であり、昼時の雨であろうということと、周囲には建物らしきものがないことだ。
思い出したかのように肌寒くなり、体の奥底から不快なものがこみ上げてきて、少しでも熱を感じようと思わず身体を擦った。
擦った身体は思いの外すべすべしていて、まるで直接肌を撫でたような感覚だった。
「……え?」
先程の不快感とは違う、別の感情が頭をよぎった。
目線を空に向ける。水滴が顔中に当たり気持ちいいものではないが、それどころではないような気がする。
右腕で左腕を肩から水気を落とすように撫でたり、胸の辺りからへそまでをぺたぺたと何かを確かめるように触る。
いや、そんなはずはない。たぶん、水泳かなにかの途中だったのだ。うん、きっとその途中でこんなところまで来てしまったとか、そんな感じ。
清々しい天気でも何でもないが、とりあえず手を腰に当てて、そのまま軽く後ろに仰け反ってみる。準備運動は大事だからね。そのとき、さり気なく腰からお尻に手をずらしてみた。
もにゅっと少し堅い、余り嬉しくない感覚が手の平を襲った。
まあまあまあまあ、認めざるを得ないかもしれないが、最後の確認として、股に軽く手を触れてみよう。もしかしたら、何かそこだけ隠すという、前衛的なファッションを着こなすのかもしれない。
愚息だった。もじゃもじゃしている。はは。
ちょっと半泣きに、自分が全裸であることは、認めざるを得ない。
いや、ここはお風呂なんだ、そうなんだ。
口元を引きつらせながら、改めて辺りを見回すと先程まで雨で何も見えなかったはずなのに、少し遠くから人影らしきものがこちらに向かっているのが何故かはっきりみえた。
そうだ、あの人に聞いてみよう。果たして全裸で問いかけて、逃げずに答えてくれるかは置いておく。兎に角今は現状の把握がしたかった。
「そこの人!少し話を聞いてもらってもいいですか!」
声が聞こえていないのか、人影は歩くスピードを変えずにそのまま近付いてくる。
いけない、ワンチャン、ここがこんな雨でも営業している全天候型屋外温泉パークと確定してもいないのに、今の姿をみられて警察に連絡されかねない。
辺りをみても、体を隠せそうなものは無く、それどころかなにも無いようにしかみえない。
こうしている間にも人影は距離をつめており、いまいちはっきりしないが、たぶん五十メートルはきっていると思う。
「聞こえたら止まってくれ!僕は今とても人様に見せられるような格好じゃないんだ!」
また近くなる。まだ強さを増す豪雨の中なのに、あの人の格好が分かった。身長はたぶん僕より小さく、肩までのびている髪はだらしなく垂れており、水気を含んだ髪の毛で表情は見えなかった。多分女の子だろう。水色のワンピースは雨のせいでぐしゃぐしゃだ。しかし色気を感じる心の余裕などなかった。
何も返答がないからか、怖くなったが、声を出し続ける。
「僕は君を被害者にしたくない!多分僕の姿が見えてないんだろ!ちゃんとみてくれ、じゃないない!見るな!今の姿はまさに生まれたままの姿だ!」
なんて言い草だと思ったが、変わらずさらに近付いてくる。ホラー映画のワンシーンのようで、さらに恐怖心が生まれた。
構わず話し掛けるしかない。このままじゃやばいことになる。色んな意味で。
パニックになりながらも叫ぶ。
「ウェイウェイウェーイト!ああ、止まれって意味なんですよ!分かるかなー!分かってほしいなー!通報しないのなら別にいいんですけど!いや決して露出プレイが好きとかそう言うのじゃないから!小さいから分からないかもだけど!」
何処か彼女の琴線に触れたのか、急に速度を上げた。
恐怖心が跳ね上がる。怖い、怖い、怖い!パシャパシャと水音を上げながらもうすぐ近くまできている。女の子は裸足だったが、裸足よりも裸族の僕のほうがアウトなわけで、というかそんなこと気にしていられないくらいに怖い。
髪を振り回し、時折髪の間から見える目は明らかに他人をみるものではなく、憎悪に歪んでいるようにも見えた。
胸が締め付けられるようで、呼吸が上手くできない。奥歯がかちかちとなり、声もあげられなかった。
なにをされるか分からないが、このままじゃ良くないことが起こるのはなんとなくわかった。