表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/11

「物の怪か!!」


 海馬、火龍、がほとんど同時にそう叫び、森へと飛び出して行った。

 同じく飛び出して行こうとしたキリマロの腕を雷乱(らいらん)がつかんだ。


「おい、小娘はどこにいる」


「え?あなた達と一緒じゃ……」


「外、かな」


 辰海(たつみ)が言った。


「全く、御転婆与羽(よう)にも困ったもんだね」と大斗(だいと)は手に刀を握り、キリマロの横を通り過ぎる。


「え、ちょっと、危ないっすよ!!」


 キリマロが叫んだ。


 大斗は顔だけキリマロに向けてこう言った。


「危ないのが怖くて、中州の武官は務まらないよ」


「そういうこった」


 雷乱が後に続き、辰海がキリマロの肩に手を置いた。


「ごめんね」


「あぁ、全く。怒られるのは俺なんだぜ」


 そう言うと同時に、キリマロの腕が光り次の瞬間には弓が握られていた。


「何してんだ。辰海! 行くぞ!!」


 キリマロはそう言いながら、走っていった。辰海も後に続く。


「……大丈夫」


 そう自分に言い聞かせて。



「……下がってください。彼らは人の太刀では斬れません」


 月がそう言いながら怪物――もとい、物の怪から与羽を庇うようにして太刀を構える。


 ――さっきの見とらんかったんかな?


 ちらっと与羽はそう思いながら、月を見た。


「へえ、そういうもんなん、――かっ!!」


 与羽は刀を抜き打ちざまに、物の怪へと斬りかかった。

 物の怪が頭を斬られ、どっと地面に倒れる。生き物の形をしたものを切るのはひどく気分が悪いが、今はそうも言っていられない。


「は! 面白ぇ」と、そう言ったのは月ではない。


 火龍がその横で刀を物の怪の頭へと横殴りに叩きつけていた。


「なんとか、いけそうじゃな……」と与羽は、月の顔を見た。明らかに驚いているようだったが、表情は変えていない。


「驚いてくれたみたいじゃな」


「なんで」分かるそう聞こうとして、月は横へと跳んだ。そこに狼の形をした物の怪が飛び込んでくる。


「しかし、まあこう数が多いと」と言いながら現れたのは、海馬だ。


 その背後から、物の怪が迫る。海馬が振り向きながら前に飛ぶと、その物の怪は突然、後ろからの攻撃に倒れた。


「へぇ、意外と弱腰だね。俺らならこの程度の数、まだまだ余裕だけど?」


 大斗だ。そして、雷乱。


九鬼(くき)先輩、競わないで下さい」


 辰海とキリマロがその後ろに続く。


「弱いのは、助け合いながら、戦ってな」と大斗が駆ける。


「そういうこった!!!」と火龍も駆ける。



 たちまち乱闘になった。


 大斗と火龍は競うように物の怪に斬りかかっていく。お互い呼吸をはかろうともしないし、はからせようともしない。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ