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少尉ですが何か?  作者: 背徳の魔王 人と話すうちに性格から行動パターンを読み取り。隠された本性を暴き。時に未来を予言することからリアル魔王と呼ばれ。材料と調味料の分量で味がわかるので、絶対味覚と本人が詐称する一般人
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風の精霊王と竜の騎士

プロローグ




北大陸・元首都アージン


現竜騎士の国シルバ、国王レダ・アソートは、険しい顔を浮かべていた、先ほど10長老会ギネスとの会談を設けたのだが……。ある秘密を聞かされ、苛立っていた。


(ちっ、まさかただの金目的かと思えば、裏でそんなことまでしていたとは……)


忌々しいことに。魔王ピアンザが、戦を仕掛けなければ、北大陸は、戦乱の世となっていたこと知った。だからと言って、今さらギネスと手を結ぶことは考えたくない。


今は国の体裁を整える時だ。だから中立を保ち、力を蓄えると。妻で、元部下のイノワ・ミササと決めていた。竜の国は、竜騎士団と竜の巣を守る古竜によって守られた国である。都市こそ北大陸最大であるが、支配領域は一番小さい。それがシルバの現状である。



英雄が北大陸を離れ。自国に戻ったことで、北大陸は混沌としていた、しかし今こそ自分たちの力で。どうにかしなければならないと。強い使命感を信じて。

大陸の未来を憂いながら、窓の外をみていた。





しかしそんな思いを打ち砕こうとする者がいた。先ほどまで会談をしていた相手。北大陸の老害と呼ばれるものたちの一人。アブスト族長老ザノビアは、竜の国シルバの王レダ・アソートと謁見を果たし。楔の如く自分達が行っていた所業。全てを話していた。



━━今頃惑い。混乱しているだろう……、だがそれこそが望みである。ザノビア達四人は、元々北大陸で覇を唱えていた。だが魔王のせいで、全ては水泡に帰した。されど再びチャンスが訪れた。いや正解には、ザノビアとファルバスの長老ブロンディガ、カイのバディロ、ダラノフのロクタービアの四人は、王になることを望み。精霊王を封じていた。

始まりはブロンディガの封印していた大地の精霊が、喰われてしまったことで、新たな精霊が生まれてしまった。残念ながらブザノアが死に。魂が抜けたようになったジブロサ長老は、あれだけ息子のこと嫌っていたのに。何を悲しんだのか。風の輝石を俺に渡し。無冠連合アジラダに行っていた。


「今さらだな……」

サザノーラ程ではなかったが、ザノビアとブロンディガも戦乱を求めていた。

「今さら中立だと。ふざけやがって……」


舌打ちしていた、どうやら炎の精霊が解放されたようだ。手の中にある。緑色の輝石から、強い力を感じた。

恐らくバードが動いた可能性が高い。なにも知らないサザノーラの馬鹿は、兵器の解放を選ぶとは……、

「あれが王だと、ふざけるな。俺だ。俺こそが、この大陸の覇者となるのだ」

白い髪。シミそばかすが浮かぶ老人の顔。ザノビアは、凄惨な笑みを浮かべていた。

「今こそ。儀式を行う……、見てみろ、愚かなもの達よ。クククク、アハハハハハハハハ」


ギラギラした目を暗く光らせ。老人は最後の賭けに出る。


━━翌朝。急を知らせてきたザノビアに。金と酒。女に現を抜かしていた老害達が集められていた。

「くそ眠い。わざわざこんな朝早く呼び出すとは、いい迷惑じゃな」


「まったくだ。新しい妾に種付けしなくてはならないのだ。話があるならはやくしてもらいたいものじゃな」


アブスト、クラブラ武党派の老害は、若き日から、変わらぬことをほざいていた。この馬鹿達は変わらぬ。


「まったくラノバ族にも困りましたな。我々のおかけで今があるのに。金を寄越さないとは」


金に意地汚いジブロサのロザナンが居ないのが救いであろう、老害達は自分達が呼ばれた理由に。最後まで気付くことはなかった。

出された末期の酒を飲み。一人残らず深い眠りに着いた。

「さあ~精霊王よ。今こそ契約を果たせ!」


『はいは~いわかったわ。リルリル7つの魂を食べて、精霊獣を産み出すわね』

緑色の輝石から、楽しげで、暗い声が聞こえてくる。

封印された精霊王に。生きたままの魂を与えると。魂のランクによって、強力な力。この場合は祝福が与えられる。

魂とは人間が着いた職業、為したことによってランク分けされる。一般市民の魂よりも有力者。為政者。貴族。王族。聖職者の順で魂のランクが高くなる。少なくとも長老達の魂ならば、貴族にあたる。老害とて使い道はあるのだ。


『どうする?、精霊付ける?』


どうやら足りたようだ。精霊獣だけでなく。人間を辞める力を与えてくれる。これこそザノビアにとって最後の秘策である。一度は諦めた。息子が覇王となるのならば……、炎の精霊王を使って、戦乱を生き抜けそう思い。わざわざ残したのだが……、


『甘い、甘いわサザノーラ!、人間を辞める度胸すらないとは、小汚い商人なんかが王を名乗るのだ。あの姑息なカイのバディロが、諦めるわけがない』


愚かなサザノーラには任せておけない。

「我だ我こそが、この世を統べる王となるのだ。フハハハハハ、アハハハハハハハハ!」

━━ああ~、やっぱりわたしは壊れていく。バル早くわたしを壊して、このままでは、暴走してしまうから。ねえシンク兄ちゃん。楽しかったよ……。



ザノビアに向かって、自分の力が流れて行った。それはあまりにも膨大で、時間が巻き戻るように若返るザノビア。やがてリルリルは記憶を。心を失っていく……。



やがて光が渦巻き。瞬く僅かな時間に。緑色の輝石は光を失う。



━━やがて黒ずみ。輝石は砕けていた。



高らかに笑い続けるザノビア。虚ろな笑みを浮かべるリルリル。足元には3匹の力ある獣が集まっていた。たなびく風の精霊獣。風の獅子ウィンドレオ

王とその家臣達であった。

「時は来た!。竜を生け贄に更なる力を獲るため。竜の国シルバを攻め滅ぼし。我が力を示さん」


覇王サザノーラに似た風貌。息子よりも若々しく。がっちりした若者は、ふてぶてしい笑みを浮かべていた。おのが欲望をむき出しに。遂に動き出した。




━━同時刻。



空を見上げていた青年の顔が歪む。


「これは……、まさか精霊を」


素早く内にある精霊の繋がりに意識を向けていた。


(風の精霊が……)

何が起こったか理解した。突然繋がりを失ったのを感じたのだ。その時手に温かな熱を感じた。フッと目を落とし目を細めた。炎の精霊石から悲しみの思念が流れてきたからだ。


『風の精霊が、自我を失った……、我等が盟約の子よ。リルリルを殺してくれ』

「なんと愚かな……、この世界を滅ぼすつもりか人間は」


精霊に選ばれしバルは、苦痛に満ちた怒りを浮かべる。


『ああ~竜と歩む少年。リルリルは望む。頼む。あの子を殺してくれくれ、シンク・ハウチューデン彼に力を借りるのだ。彼ならば、リルリルは喜ぶだろう』

「そうか……、サザノーラ怒るかな」


バルとしては、精霊の頼みを聞かなければならない。ならば会いに行くしかない。



━━━ある晴れた日。



バルは、東大陸。世界議会が終わったアレイク王国王都カウレーンを訪れていた。赤髪の幼子を連れて、


『竜の力を感じる。この国は大地の竜。空の竜王の守護があるようだね』


「ぼくにも感じられる。この国には、強い力を持った存在がいるね」



まさかこれ程とは驚くバルに。赤髪の幼子は、くいくいっ袖を引いて、


『ぼくの存在に気がついた思念体がコンタクトしてきた。バルどうする?』


困惑した炎の精霊に。バルとてなんて言ってよいか迷う、

そんな瞬巡していたバルに。幼子の思念が聞こえてきた。


『ねえねえ。お兄ちゃんはだあ~れ?。そっちの子は、人間じゃないよね』

『驚いた。君は生きてる人間だよね?。思念体だけで動き回れるなんて、強い力を持ってるね』


『えへへありがとう。シンニイニ、タイチニイニもほめてくれるんだよ』


『シンク?。もしかして竜に選ばれし少年?』


『竜?。あっもしかしてシンクレアちゃんのこと』


いきなり当たりを引いたようだ。

「ねえ君にお願いがあるんだ。シンク・ハウチューデンと会いたい。頼めるかな?」


『うんいいよ~。今ね今ね。シンニイニ呼んでくるね』


強い思念体は、まるで楽しそうな意識を残し飛んで行きました。


『なあバル、大丈夫かな?』


幼い印象があるからか、炎の精霊は心配してるようだ。


「思念体を喰らうモンスターもいないから。安全だろうね」

『まあ~そうだけどさ』


チラチラ今の子が消えた方を気にする様子に。何だか微笑ましい気持ちになっていた。



ジルは急いだ。また面白そうな事があると感じて、本当はオーラル叔父さんから、あまり知らない人に近付かないように言われてたのだが、この間見かけた女の子に似た力を持った存在を従えてるようだし。ジルに不安はなかった。

ウキウキしながら、リナお姉ちゃんの家に向かって行った。



その日。魔王の愛娘こと婚約者の1人リルムちゃんとデートしていたシンクは、伯母の家に帰宅したところであった。

『シンニイニ。良かった帰ってきた』

聞き覚えのある思念。直ぐにジルだと分かり。柔らかな笑みを向けて、


『ジルちゃん今晩ゎ、そんなにウキウキしてどうしたのかな?』


『あのね。あのね。あの女の子と同じ存在を連れた男の人が、シンニイニを探してるよ』


直ぐに精霊を連れた人間がいると理解したシンク、あれほどの存在を従えてると聞いて、顔を引き締める。


『ジルちゃん。案内お願い出来るかな?』


『うん!、ジルに任せてね』


タイチの次にお気に入りのシンクからのお願いである。満面の思念を振り撒いたのも仕方ないことであった。



幼い女の子の思念が消えてしばらくすると。


『バル、戻って来たよ』


チョンチョンローブを引かれて、炎の精霊が、そちらを指差した。

黒髪の少年。強い日差しの中でも、光沢美しく。品がある整った顔立ちから。 貴族、それに準ずる家の子供だと一目で分かる。


『バル、多分あの子だよ。少しだけリルリルの残しを感じる』


一つ頷きバルは、真っ直ぐ近寄って来る少年から。目が離せずにいた。噂では聞いていた。しかしサザノーラと出会ったバルである。あれほどの覇気を纏う者はいない。そう思っていた。


「桁違いだね」


思わず小さく唸っていた。ちょっとした些細な邂逅であった。ほんの少し話をして、可能であれば力を。その程度の考えであったのだが……。

精霊がどうして、彼になついたか、何となく理由がわかっていた。

「初めまして、精霊使いさんでいいんですよね」


にっこり人好きする笑みを浮かべていた。ただ眼差しに一切の油断なく。自然体でありながらスキを伺うことがない。 なるほど……、


若き英雄。その名に相応しい存在感を感じさせていた。


「初めてお目にかかる。ぼくはバード族の長『バル』の称号で呼ばれし者です」


「初めまして、輝きの都プロキシスの皇子シンク・ハウチューデンです。今は教員の身の上ですが」


教員と聞いて、驚きの表情を浮かべた。

「それはまた……」

「あっ、それは知らなかったんですね。だとしたら北大陸の戦乱と貴方は無関係な立場にいるようですね」


これには驚いた。ほんの僅か言葉を皮切りに、バルが国と無関係な立場と察せられた。


「なるほど。変に考えるよりも素直に内訳を語った方が良さそうですね」


「バルさん、そう言える貴方は、頭が柔わらかい人ですね。まずぼくの年齢。容姿から決して侮らなかった。そんな人は自分の力を過信しない。思量深く。柔軟な発想が出来る人物なようだ」


「ありがとう、そう言われるのは気恥ずかしいが、君のような、人物にそう言われると面映ゆくなるけど、嬉しい気分になるね。まあ~そんなことはさておき」


柔和な雰囲気だが、眼差しはシンクの内側を見透かしようであった。ゾクリ肌が泡立つ。

父達とは違ったベクトルの違う、力を感じた。



一通り話を聞いたシンクは、厳しい顔つきをしていた。


「バル……、リルリルは」


一つ首を振り、沈鬱の表情を作った。


「そうか……。分かりました。他国に加担するつもりはありませんが、リルリルは先日ぼくに会いに来ていました」


一つ一つ、自分の思いを確かめるように。シンクは先日現れたリルリルの話をしていた。

その内容は驚くべき話である。封印されていた精霊が、封印から抜け出して、東大陸に現れていたこと。大地の前精霊が、安置されていたこと初めて聞いて、 表情を変えていた。


「北大陸以外とはね……」


唇を噛み締めて、先代のバルが、部族の者の派遣を常々口にしていたが、やはり古い部族故に、老人達の抵抗もあり、北大陸から出ることは叶わなかった。いまだから思う、バード族はもっと世界を見るべきだと。


「シンク殿……、精霊、それも精霊王を殺す方法はただ一つ。白銀竜の牙に掛かること。または白銀竜の鱗から作られた武器を用いることだけ」


ようやくバルが、シンクに会いに来た理由を理解する。

「……少しだけ考える時間を下さい」


「それは構わないが……」


「お願いします」


「いや済まない、謝らなければならないのは此方だ。どうかよい返事を期待する」


口を真一文字に引き結び、怖いくらい真剣な顔をしたシンク、バルはそれを見て、続ける言葉を失っていた。

(これはじいちゃんと話さなければ……)


恐らく。じいちゃんならば、何かしら聞いていた筈だ。 二人がアレイク王国に。帰化するだけで、北大陸は分裂してしまった。何よりケンタウルスを滅ぼしたサザノーラは許せない。これは情報を集めるしかない。シンクは、戦乱の北大陸に関わる決意を固める。


『ゼン。無事でいろよ』


覇王サザノーラ、善王プライゼン、大王シンクの三人は、期せずして、再び交わることになった。

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