美しい少女に秘密あり
プロローグ
西大陸、帝都・魔法学院、
今年も最先端の魔法技術を学びに。世界中から難関の試験を受けて、見事合格した。若き才能ある少年少女が希望に満ちた顔で、入学式を向かえていた。そんな新入生を微笑ましく見ながら、先輩学生達は、壇上に佇む。十代にしか見えない。新しい学院長を好奇の眼差しで見ていた。
「皆さん、御入学おめでとうございます。本年度より、歴史ある魔法学院長となりましたロネリア・ホルデンと申します。見た目若く見えますが、皆さんのご両親より年上となります。それを聞いて、興味を持つでしょうが、乙女の秘密と言うことでよろしくお願いします♪」白銀の髪を後ろで流すロネリア先生は、スカートの裾をつまみ。淑女の礼をとった。すると上級生は気付いた。王妃様に似た風貌であると。噂では王妃様は古代の民と言われていた。ロネリア学院長が王妃様の近親者ならば、年齢の謎が解けた気がした。
「続きまして、私と同じく本年度より、当学院で、実戦魔法教官となります先生を紹介致します」
舞台袖にいた。20代前半の若い男性教官。それも甘いマスクの青年だとわかるや、黄色い声が聞こえた。
「ハロン先生です」 学院長に替わり壇上に上がる。
「皆さん御入学おめでとうございます。僕も今日から皆さんと。また一から学べる機会を得ました。よろしくお願いします」ニッコリ整った顔。黒髪の青年が見せる甘い笑顔に。顔を赤らめる女生徒が沢山いた。
その日から、今まで厳めしく、厳格で、厳しいと評判の教官陣にあって。週ニ度のオアシスと、ハロン先生の授業を楽しみにする女生徒、それどころか男子生徒までいたりする。その理由の一つが、人当たりの良さ、いつもニコニコしながら、厳しいだけじゃなく。生徒が理解出来るよう噛み砕いて説明するのが非常に上手く。厳格な教官陣とは教え方からして違っていた。
「アレンザ・ホーネリアさん、確かに魔法力学の試験ならば、そのまま書かれてる通りに答えれば、正解ですね」まず優秀と知られる各クラスの生徒に答えさせ。答えを認めることから授業は始まる。
「でも実際に実戦で使って見ろと言われたとき、ホーネリアさんも戸惑い、困ってしまったことありませんか?」
「あっはい、ハロン先生の指摘通り、私魔法発動した時など。本当にこれで良いのか不安になりましたもの」
以前いた女先生の悪口は言いたくないが、確かに優秀だった。だったと言うのは優秀だから、教えるのが上手いとは異なることだ。ホーネリアもあの擬音だらけの授業には、毎回頭を悩ませた。
「では簡単な魔法で、実演してみましょう、まず先生が見本を見せます。ついで優秀な8人にやってもらい。それをお手本に皆さんにと段階を踏みますね」こうして天才と呼ばれる生徒は率先して、先生に勉強を見てもらえることから、素直に従う効果があり、優秀な生徒達も高嶺の花と思っていたマドンナ、ホーネリアと話す機会を得て、ずいぶんとクラスの空気が良くなったと。ホーネリアも非常に驚いた物だ。 「先生質問がありますの。よろしいでしょうか?」
みんな魔法力学の基礎をどうにか型に出来た時。ホーネリアが気になったこと聞いていた。先ほどで言えば光の魔法を使って、魔力の増減、移動させることで、魔法力学を体感させたのだ。
「魔法力学で言う、フィールド固定、アクティブ固定について、聞きたいのですが」ホーネリアのこうした問は、決して教官に意地悪して聞いた物ではないこと記する。純粋に興味があったから、もしかして先生なら教える事が出来るかも。そんな期待からの問いかけである。
魔法力学のフィールド固定とは、魔方陣を意味する。しかしこれはその一部しか説明しておらず。諸説あって、何々派と呼ばれる先生も実は多い、
「いい質問ですねホーネリアさん。皆さんが教えられるフィールド固定の概念、その多くが魔方陣を用いての物ですよね?」
あれ……今までの先生と切り口が違うなと。ホーネリアの目に期待の光が強まる。
「これって実は、100年以上前に。事実証明した人物が居ました。現代では書籍が失われているのですが、ぼくはそれを蔵書していてね。実際試したことがあります」
「えっ……、まさかその蔵書って」
ホーネリアも噂で聞いていた。アレイク王国にいた伝説の大賢者……。
「大賢者オール・セラの書籍です。なぜぼくがそれを所有してるかと言うと。彼の遠縁だから、ぶっちゃけると西大陸に現れた島ありましたよね」
にこやかに微笑んだハロンに、ホーネリアは驚きを持って見つめていた。
魔法歴史書に画かれてるオール・セラの人物像がある。黒髪、ブラウンの瞳、柔和で物腰柔らかな青年と……、そして右目には神に刻みつけられた。叡知の称号とステグマがあって……、
「普段魔法で隠してますが、内緒ですよ」
幻術を解くときに使うオーソドックスな方法で、左目に触れたハロン先生、手を退けると創造神のステグマが輝いていた。ホーネリアや他の優秀な生徒は、ハロン先生に瞬く間に魅了されたのは言うまでもない。
やはりと言うか……、憧れの先生となったハロンは、早熟な女の子達を夢中にさせた。
中にはストーカー紛いの行為に勤しむ生徒も出ていて、少々問題が起こる。そうした生徒は、自分の都合のいいような色々な噂を広めたりするからで、先生に対する憶測が広まり出すのに。時間は掛からなくなっていた。
特に。少女学院長とのツーショットが良く見かけられること。ハロン先生はもしかして……、憶測が飛んだり、ある日の休日など。クライム王子と少女学院長ロネリア、ハロン先生が仲良くカフェブルー・帝都支店で見掛けたり、ある日など少女学院長とハロン先生が、親密そうにデートしてると聞いた女生徒は、ホーネリアに相談した。何とか聞き出して欲しいと。
さすがに私生活のこと。ホーネリアとしては正直どうでも良かったが、確かに気にはなっていた。そこである日の授業、ホーネリアはある作戦を開始する。
その日の授業は、魔力の効率化を促す概要と密度で、魔法と言う一つの効果を及ぼす場合、ある程度自分でイメージを作り上げること、これをワードを組み込み使うことで、そのイメージを解放。使う魔力の量を最適に取り出して、僅かな時間で効果を表す方法である。何時ものように穏やかな時間が過ぎていた。
エピローグ
また何時ものように、ホーネリアが質問をする時間。もしかしたら……、これは破滅に繋がるのでは……、一抹の不安を覚えながら、
「ハロン先生質問がありますの。よろしいでしょうか」
「はい、どのような質問ですかホーネリアさん」
何時ものように、優しい眼差しを受けて、一瞬下世話な質問なんて止めてしまおうか、本気で悩むホーネリア、しかし周りの女生徒の圧力が凄まじく、冷や汗かきながらも、爆弾を落とした。「先生、私先日、ロネリア先生とハロン先生がその……」
ハロンの顔が見てられなくなって、視線を落としていた。
「ああ~そんな事ですか、ホーネリアさんも女の子ですね~」
笑みを五割増しに深めて、笑いさえ含めた声音に。おや?と思いながら、顔を上げていた。
「言う機会ありませんでしたが、実はぼくとロネリアは夫婦でね。随時と長いこと二人一緒に捕らわれていたんだよ」
もっと凄い爆弾が教室に落ちていた。
「そうそう王妃様と妻は遠縁に当たるから、こっちは内緒にね」
これがとどめとなるも。生徒の質問に真っ正直から向き合い。きちんと理由を述べられたホーネリアは、ハロン先生に尊敬の念を抱く。いつか中央大陸に戻った時。教育に携わるのも面白いとこの時思ったホーネリアでした。




