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少尉ですが何か?  作者: 背徳の魔王 人と話すうちに性格から行動パターンを読み取り。隠された本性を暴き。時に未来を予言することからリアル魔王と呼ばれ。材料と調味料の分量で味がわかるので、絶対味覚と本人が詐称する一般人
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閑話コンテスタ姉妹ですか?

プロローグ




甘やかな息使い。高鳴る鼓動。

━━時に幻想的に。


━━時に荒々しく。



人々を魅了していた。



少女から女性に成長した。気の強い顔立ち。自信に満ちた微笑み。舞台の上で、彼女は、支配者であり、最高のエンターテイナーであった。



━━今宵。南大陸軍国ローレンで行われていた。コンテスタ姉妹による世界ツアー最終日の演目の一幕。




数年前━━。姉妹の師である。英雄王は、コンテスタ世界大会開催を宣言していた。元は『魔法比べ』と呼ばれていた学園の行事は、今やコンテスタと名を改められ。世界中の学校行事へと変貌していた。



二年に一度。コンテスタ世界大会は、世界議会開催地にて開催されることが決まっていた。また大会参加には、様々な規定が設けられていて。最たる物は年齢制限である。下は10歳から。上は20までの各国。学校・学園に在籍する学生に限られてることである。まず大会規定によると。各学校で行われるコンテスタ大会にて。3位入賞しなければ参加資格は得られない。さらに本線出場するには、予選8位以内に入ることが条件となっていた。本来今年は開催される筈がなかった。



今年世界議会開催されるのはアレイク王国である。様々な思惑が密かに隠されていた。そもそも来年開催されるコンテスタ世界大会を今年前倒ししたのには、世界情勢が関連していた。来年開催予定だった地が、北のレオール連合だったからだ。それにしてもまだコンテスタ世界大会となってから。昨年のリドラニア杯一回しか開催されていないが、世論は通年開催を望んでいて、来年開催されないなら前倒ししてしまえとアレイクのレヴァ王が、裏で動いていたのは言うまでもない。何せ昨年初出場で、最後の出場となった。コンテスタの産みの親。コンテスタ姉妹と呼ばれた二人による。決戦は。人々の記憶に。鮮烈な物として残されたからだ。



今年は世界大会に参加こそしないが、春に続き、エキシビションによる演目を行うと。世界中に発表していた。



姉フレア=カレン・ダレスの魅惑の演目。

妹シアン・イナバによる。息を飲むほど圧倒的なきらびやかな演出を前に。人々は惜しみ無い拍手と大歓声を送った。姉妹は双子である。姉が豊かな髪をなびかせ。赤い薔薇のような華やかな美しさなら。妹は活動的な白百合をイメージさせる。清楚な美しさであった。ファミリーネームが違うのは、姉妹の運命が違うからである。




━━後一年と少し……。

姉妹に残された時間、それゆえ大切であり。命を燃やす強い気持ちを抱いた。


今でこそ。世界中の人々に人気があるコンテスタだが、始まりは惨憺たる物だった……。


姉妹の運命を変えた人がいた。1人は愛する姉を通じて、父が会わせてくれた。姉妹の魔法の師とも言うべき、英雄王オーラル・ハウチューデン。自分たちを初めて認めてくれた。今も尊敬する人物。それが……、



姉妹の行く手に突然現れ。出迎えてくれていた。とても自分たちの母より、一回り年上とは思えない。美しい女性。扇情的な衣装を着ていた。豊かな胸元を見せ付けるドレスコード。蠱惑的な眼差しに隠れた。大いなる知。彼女こそ擬似神討伐の立役者にして、姉妹の両親、英雄王、魔王を育てた稀代の恩師。

「エドナ先生!」

驚いていた。

「二人とも素晴らしい演目だったわ!」

見てくれた。突然の感情に。姉妹の瞳が揺れた。静かに微笑み。エドナ先生の豊かな胸に抱きしめられ。奇しくも恩師と呼べる彼女との出会いに思いを馳せた。

今や━━コンテスタ競技は、世界中に認知され。子供に人気の演目となった。

「……ありがとうございます。エドナ先生」

気位の高い姉が、本当に嬉しそうにはにかんでいた。それを見てシアンも素直な気持ちになっていた。

「先生~そのドレス。私達より目立ってませんか♪」

パチリ悪戯ぽい笑みで、可愛らしく噛みついたシアンに。

「クスクス~。あらバレたかしら~♪。まだまだ私だって現役なんだからね~」

わざとらしくポーズを気取り。クスクス嬉しそうに笑っていた。



その日━━久しぶりに恩師と夕食を供にして、間もなく開催されるアレイク王国の世界議会について話を重ねた。姉妹がアレイク王国に帰郷するのが、世界議会三日目である。




━━アレイク王国・王都カウレーン。南通りにある劇場前━━。

国中に鳴り響く。高らかな鐘の音色。二人にとって他人事ではない。アレイク王国の母、大司教エレーナ様の退位式が行われていた。

━━本当は、二人だって見たかった。でもプロとして……、無様な演目は出来ない。美貌に決意を滲ませ、姉妹は劇場に足を踏み入れていく。そんな二人を鋭い眼差しで睨む女がいた。

「芸能人のオーラ、ビシバシだしちゃって~。私だって負けてられないわね」道は違えど。同じ芸能の世界にいるものとして、女優の卵プラナ・プレイ・ミルナが呟いていた。彼女の夢は大きさな劇場で。主役を張ること。ようやく最初の一歩。踏み出せた。



ルミナにとって、初めて主演。しかし……彼女意外にも。多くの女優が1日と言えどコンテスタ世界大会に。集客が盗られかねない現実に悩んでいた。しかし演目だって負けるつもりはない。明日はあのコンテスタ姉妹と争うことになるのだ。同じ劇場。相手は最大の劇場の主役。だけど負けるつもりはない、

(だって……、何れは世界中の劇場で、私は主役を張る!)

それがミルナの夢である。

再び鐘の音色が響き渡る中。後の世で、世界的な女優と呼ばれた少女は、その日人知れず自らの翼で羽ばたこうとしていた。やがて彼女は……。元悪餓鬼三人組の1人と身を焦がす。恋の物語をつむぐのだが……、それは未来の物語。



広大な敷地を誇るアレイ学園。コロッセオでは、コンテスタ世界大会開催の準備が、終わろうとしていた。全てのチェックを終えたバレンタイン教頭は。見なれない生徒にとって。怖い先生と思わる。しかし時間が立てば、実直な人柄。見た目歴戦の戦士と言われても納得出来る体躯。それに反する繊細な相手を気遣う教師の側面に気付き。多くの生徒から尊敬を集めていた。それが宮廷魔導師次席。バレンタイン・ブロワルドである。

「先生。お疲れ様でした」

そう声を掛けて来たのは、豊かな胸。美しい金髪『院』に在籍するローザ・リナイゼフである。隣では静かな微笑みを称える。フィル・マノイ。そして……彼女の友人である元フィル小隊の面々。カナデ・テレグシア、メグ・ファノア、ラグ・セレン、サラ・ローガンを引き連れていた。今年のコンテスタ世界大会開催は、何もかも異例なことで、準備は恐ろしく大変であった……。

急ピッチで行われた作業は『院』在籍の生徒達が主導になって、仕事を行ってきた。

━━しかし……。今日はエレーナ様の退位式である。アレイク王国の民にとって。退位式を見届けること。咎めることは出来なかった……。そうなると人員不足。しかも明日迄に時間もない。頭が痛かった。そこをシンク王子の婚約者達が、手助けしてくれなければ、とても間に合わなかっただろう……。

「みんなご苦労様。これで学園側の仕事は終わった。本当に助かったよ」

安堵の笑みを浮かべたバレンタイン教頭に。ローザとフィルは、柔らかな笑みを浮かべながら。

「私達がこうして、皆さんのお役にたてるのも後僅かです。先生先生気になさらずに」

昔のローザは、とにかく猪突猛進な『オールラウンダー』候補者であった。それが……。

「……大人になったねローザ君。フィル君も」どこか一歩引いたところがあったフィルは、あんな事があったのに。真のしっかりした女性として成長していた。

「ありがとう先生……。私達がそうなれたのも。手強いライバル。愛するシンクのおかげです」

何のてらいもなく。そう言える事が、彼女の精神的安定を意味していた。

「そうか……、明日シンクはその来れるのかい?」

彼の先生として本当に色々なことを学べた。恐らく父のオーラル以上に。シンクのこと忘れまい。考えるだけで思わず微笑んでしまう。魅力ある今や同僚である。

「多分こちらではなく。コンテスタ姉妹の演目を見に行くと思います。何せ『特別教室』の生徒が集まれるのも。明日だけですから……」

「そうか……、彼も来るんだったね」

ランダルフが午前中挨拶に来ていたので、もう1人の生徒の顔が直ぐに浮かんだ。

……本当に。短い時間であったが、狂喜の双子のことすら、懐かしい気持ちになる。実に不思議な面持ちであった。



コロッセオの観覧席。多くの生徒達に混じり、金の癖髪。精悍な顔立ちの青年は、懐かしい想いを噛みしめ、魔法のターフビションを見上げていた。青年の眼差しは、凪の海のように穏やかで、瞳は澄み渡り自信に満ちていた。

「エレーナ様。貴女の言葉、コルト・アルベルト。生涯忘れません……」

愚かで、子供だった妹を失い。勇猛果敢な父が死んだ……。コルトは父エドワルドの後を継いでいた。今日この国に訪れたのは、懐かしい友人達と近況を伝え。そして……知るためだ。

━━やがて訪れる。新たな次代。世界の王たる。シンクの気持ちを見定める。それこそ今回の集まりであった。



エピローグ




朝から沢山の人々が、アレイ学園を訪れていた。コンテスタ世界大会開催に合わせて、校庭では、沢山の屋台が、お店を開いていた。

もはや学園祭の要領であろうか、




その日━━アレイ教大司教となったララ・ハウチューデンは、孫のリナ、友人のソアラを連れて、つかの間の休息を楽しんでいた。

「あっあのララ様。リナちゃん先に行っちゃいますよ~?」

ほんの少し物思いに耽っていたら。いつの間にか少し距離が離れていた。

「あらあら。ソアラちゃん行きましょう」

「はい!」

元気に返事をするとララの手を引いて、走り出していた。

「あらあら(あの子ももう1人作れば良いのに)」

優しい眼差しで、楽しい時間を過ごした。やがて訪れる。新しい次代の足音を。まるで感じるように。

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