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少尉ですが何か?  作者: 背徳の魔王 人と話すうちに性格から行動パターンを読み取り。隠された本性を暴き。時に未来を予言することからリアル魔王と呼ばれ。材料と調味料の分量で味がわかるので、絶対味覚と本人が詐称する一般人
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魔王の苦悩ですか?

プロローグ





街に突然現れた巨大な器具を見て、トロン騎士団長は、不吉な予感を感じていた。

「申し上げます!、陛下の勅命が下りました。ランバスタ将軍、リーロン様、アグレド様間もなく到着とのこと」

予想よりも早いが、さすが陛下である。 危険を察知なされてるようだ……、



ビリ……ビリビリビリ…、大気の震える。まるで落雷が、近くに落ちたような……、毛穴が開くような、おぞ気を感じていた。人はそれを恐怖と言う。



その昔。商人が力を持った国があった……、やがて西大陸に新たな魔王が誕生し、覇権を奪い大陸を統一した。表面上は魔王ピアンザに屈した。



━━しかし……。現実は違う。帝国の一員となっても……、莫大な資産を有する商人。それをまとめる商会の発言力は、増していった……、

一重にセロンの成り立ち。それに関与した。ローレイ商会の力が、あまりに強かったからだ。



彼等は貪欲だった。言葉、金、宝石、利益をちらつかせて、瞬く間に帝国の中枢に食い込み。

世界中に支店を持つまでに。今では各国の王家、有力者にかしずきながらも。貪欲に利益を上げ続け。どんな田舎でも商会を知らぬ者なし。それがローレイ商会である。



その日も……、

みな何時もの朝が始まった。誰もが感じ。忙しく動き始めた……。

━━商人の街セロンの住民の……、それが最後の朝であった……。



━━最早生きてる人はいなかった。ただ西側にある広場では、不可思議な現象が起きていた……。



━━その様子はまるで……、巨大な研究器具によって。起こされる狂気、セロンを取り囲む魔王軍の将兵は、その光景に畏怖した。

「さあ~、今こそ妾が自由になるため。管理者を用意しなくてはね~。まずは魔王の子息クライム、次にアレイク王国の息女が良いわ♪」

━━ガツン、ガツン、シルフィールが杖を鳴らした。すると抽出した闇の半物質(ダークマター)を。2つのひし形に整形して、宝石のような光沢を持たせ。固定していた。

「本当は、この子に着けたかったけど……、貴女の孫で良いわ」艶然と呟き、何もない空間から。手にすっぽり収まる。純白な美しい白亜の書籍を手に、笑みを張り付ける。すると……白の書は怯えたように明滅していた。

「クフフ♪、残念だけど、このタリスマンを与えられたら最後……。貴女の孫は意思を失い。永遠に私の操り人形になるわ~、フフフとっても素敵な事ね♪」

それはそれは本当に素敵な事だと。シルフィールは信じて疑わない様子だった。さすがに呆れた気持ちを抱いたが、魔神王ベセルバブルは、おくびにも出さず。皮肉気に肩を竦めていた。

「魔神王……」

傍らに控える飼い犬を。親しみすら感じ。優しい笑みを浮かべ、懇願する。

『承知した。まずは魔王の子息だな』

その答えに満足して、魔神王に2つのタリスマンを与えていた。ニヤリ人間の闇を宿す瞳に。狡猾な笑みを型どり。かつて……大賢者と呼ばれた青年は、動きだしていた。




━━新帝都・不夜城


闇と同化して、魔神王ベセルバブルは、魔王が張り巡らせた結界を。人間の影に潜むことで、密かに潜り抜け。瞬く間に城に。侵食していった。



やはり……、人間の数は少なく。その多くが、女王シルフィールを討つため出払っているようだ……、闇は停滞していた━━やがて。たゆみ。笑う。

『クックククク、やはり魔王よな~』

闇を前に。魔王の杖を手にした。ピアンザが立ちはだかる。闇は思念を繰り出し。集まりし。1人の青年へと、姿を変えていた。

「大賢者殿……」

わかっていたが、姿を見てしまうと少なからず動揺していた。

『ほう……、この人間をまだそう呼ぶか、甘いな魔王よ……』

ニタニタ嫌らしい笑みを浮かべ、狡猾な眼を細めていた。

「させんよ……」

杖を掲げるや。巨大な影を、ベセルバブルが弾き飛ばした。

『ガハッ……、何!?。闇である我に攻撃が通るだと』

体制を立て直しながら。獣の攻撃をいなして、驚きの思念を吐き出していた。



……グルルル。

ウオルフと呼ばれるモンスターがいる。狼が、魔力を持って変異した生き物で、集団でこそ力を発する。しかし明らかに大きさが違う、闇である魔神にダメージを与える存在が、普通のモンスターであるはずがなかった。

『魔王の化身か……』

感心した口振りで、薄く笑い。下半身を闇にして、浮き上がるや。腕を獣に向け、『侵食!』を発動。闇が、獣に伸びた。



魔王は、素早く下僕の前に立ちはだかり。魔王の杖で、闇を振り払う。

『ほ~う、やはり化身であったか!』

魔王の杖に繋がれている。四匹の獣。魔王の力を封じた物で、ピアンザの力を化身にした存在であった。厳しい表情を顕にしたが、鋭い眼差しで、杖を構えた。

『行くぞ魔王!』

ベセルバブルは、闇から武器を作り出した。右手に杖。左手にナイフを。かつて大賢者と呼ばれしベセルバブルは、魔王に迫る。一合、二合、手にした武器で、下僕で、魔法で、お互いの力量を確かめる。



闇を統べる。魔神王にとって、存在とは一つではない。魔王を惹き付けながら。自信の影を……。城中に走らせ。目的の存在を探す。

『……クッ、クククク……、クハハハハハハ!、愚かだな魔王よ。なぜ子息を逃がしていない?』

ハッと、身を固くした。

『我が化身が見つけたわ!』

「なっ……!」

動揺を隠せない魔王に。ベセルバブルはほくそ笑む。

『行かせぬよ!』

更なる猛攻を仕掛け。動けぬピアンザを、焦燥させていた。



━━同時刻。不夜城一室。



白銀の髪を揺らして、一生懸命お菓子を作る少年と。彼を護衛する四体の自動人形を認め。隙を見つけ。化身は少年を闇に引きずり込む。

『あっ、クライム様!』

慌てる自動人形をそよに。魔神王が高笑いしていた。




━━突然闇に包まれたクライムは、四体の自動人形が動く前に消えてしまう。四体は顔を見合せ。頷き合っていた……。


怒りが魔王の魔力を高めた。闇を司る魔神王と互角に戦う存在に。ベセルバブルは驚きながらも。喜びを抱いていた。

『クハハハハハハ。アハハハハハハ。これ程愉快なことはない魔王よ!。そなたが古代の民でなければ、我の友にしたいくらいであるぞ』

親しげな口調で、謗りとは違う、敬意を込めた言葉に。

「くっ、ふざけるな!。我が子を拐い。何をほざくか!?」

激昂したピアンザに、違いないと。薄く苦笑を浮かべていた。

「陛下……、陛下が!。誰か敵襲、敵襲!」

物見の兵に見付かり。興を削がれた形だが、目的は達している。

『魔王よ。我は此にて失礼するよ~。我が主が待っているでな』

一瞬気をとられた隙を突かれ。深く一礼してから、足元の闇を広げ。魔神王ベセルバブルは、沈むように消えていた。

「くっ……」

下唇を噛み。己の失態を悔やんだ。



「うおおお!」

無数の魔物が、地割れのような軋む音を響かせ。大地から沸き出した。

魔物と。白銀騎士団は激突した。最初こそ拮抗したが、総勢4千の兵は、凄まじい魔物の勢いに押されいた……。


次々地下迷宮を抜け、地上に溢れた魔物達には、無差別に行動するため。予期せぬ攻撃に。後手に回り始めていた。

「申し上げます。第1、第2分隊の兵が、突発的に現れた魔物に襲われ。後方に離脱!」

「直ちに精鋭5 6分隊を前に押し上げ。魔物を押し返せ。後方支援の第3、4分隊は次の命に備えよ」

「ハッ」

伝令と入れ替わるように。バサリ、バサリ羽音が、ボルトの耳に聞こえていた。チラリ見上げると、がっしりした体躯の生真面目そうな男と目が合った。

「待たせた。飛行部隊200。現時点よりボルト殿の配下に入る」

「ガルシア殿忝ない」素早く一礼していた、ボルトのようにガルシア達翼人のこと。認めてくれる人間は、まだ少ない。しかしプロキシスの上役とは、それなりに交流が持たれていた。

「そろそろバルタス殿が……」

軽快なドドドド、馬が立てるような。音が後方からしていた。上がる土煙に目を細めると。先頭を勇猛果敢なケンタウルスの戦士長が走る。待っていた援軍が到着したようだ。



改めてボルトは展開してる。翼竜の陣形左右の翼が、溢れ出す魔物を押し込むよう。波状攻撃が始まっていた、

「待たせたなボルト殿。ワハハハハ!」高らかに笑うバルタスを。ボルト、ガルシアは好意的に出迎えた。

「早速で済まないが、ガルシア殿は部隊の一部を率いて、ジン右将の元に向かって欲しい。あちらの動きが少し気になる」

「承知した」

同席してる二人の部下に視線を送ると。素早く飛び上がり。飛行部隊の大隊に向かう。

「バルタス殿は、本陣にて、敵襲に備えて下さい」

「うむ。陛下からもそう言われておる。任せよ」

力強く頷き、分厚い胸を叩いていた。

「申し上げます!。飛行する魔物が現れました」

二人は顔を見合せ。直ちにバルタスは行動を開始していた。



ケンタウルス族の戦士300は、聖別された弓を装備していた。整然と勇壮に整列していた。

「今こそ。我がケンタウルス族恩人に。我等が力を。見せつける時だ!、いいか!」

「「「おう!」」」気勢があがる。今その時を……。戦士達は。固唾を飲んで見守っていた。



━━同時刻。地下迷宮から溢れだした魔物達は、自分勝手に行動し始めていたが、白銀騎士団との戦闘で、変質を始めたのだ。それは本当に突発的なことで、傍らで見た者も俄に信じられなかったと語る。まるで指揮官がいるかのような、統率を見せて、手薄の左翼に奇襲を仕掛ける一群も現れた。

「エルバレン直ちに50を率いて、左翼に向かえ」

「ハッ」

分隊を率いたヒョロリとした男が、走り出した。

「エルナ。ブレンは右翼。ジナード貴様は。本陣に留まれ」それぞれ分隊長に命を与え。バルタスはニ分隊を率いて、間もなく始まる殲滅部隊に参加するつもりのようだ。

「宜しいなボルト殿?」

「願ってもない」男臭い笑みを一つ浮かべ頷く。よくも悪くもお互い武人。気持ちを察していた。



突然始まった魔物の軍勢との攻防は、やや後手に回ったが、後方に控えていたナギ・グレン、ケイタ・イナバ、リーラ大司教によって、魔物の生態が解明されたことを。前線に知らせ。徐々に対応策が産み出された時から。魔物が駆逐されていった。まだまだ予断は赦さないが、魔物が中央大陸に広まる可能性は、減りつつあった。

「ジンに伝えよ。後は副官に任せ。殲滅戦に。討ってでよと」

「ハッ!」伝令兵が走り出した。その間も。戦は刻一刻と変化する。翼竜の頭がアザとを開き。本陣から殲滅部隊が動き出した。突撃する精鋭部隊の中には、ケンタウルスの戦士が混じっていた。見る見る魔物の群れに。穴を開けてく。



飛行する魔物が、現れたのはその時であった。闇の魔物はダメージを蓄積されてくと。変質してしまう厄介な特性があると言う。ならば一気に殲滅しなければならないが、魔物の変質が上回り指揮官のようなリーダー個体が誕生して。殲滅部隊に奇襲を仕掛け始めた。




「全員。矢をつがえ。放て!」

一斉正射された。聖別された矢は、闇の魔物を次々と落としてく。右翼のジンも精鋭部隊を率いて、混乱する戦場を駆け巡る。

「ん、ボルトがジンを促したか……、今より本陣を左翼が担う。右翼の副官ビレジに。ジン右将の代わりをせよと命じる。ボルトのことだ。こちらがそう動くことも計算しての行動だろうが……、相変わらず無茶をする」

辛辣な物言いだが、ロートの言わん理由を理解して、仕官達は苦笑していた。何せジンは今まで我慢していた、鬱憤を晴らすかのような戦働き。

「彼奴は目立つからな、ここからでもよく分かる」

皮肉気に笑っていた。



「ウォオオリャ!」当たるを幸いと。大剣を振り回して、獅子奮迅の働き、それこそ甘い言葉だと。ジンは鬼神の如く。魔物の群れを散り散りに。分断してしまう。その隙を高らかな馬鹿笑いを響かせて。ケンタウルスの戦士長バルタスが、止めとばかりに。やたら馬鹿でかい戦斧を。まるで風車のように回しながら。繰り出していた。

「ムッ、済まぬがガルシア殿に伝令を。北西に逃れてる魔物の群れがいると」

先ほど援軍に訪れていた。飛行小隊長に命じると。

「承知した」

次々と変化してく戦場。ロートの慧眼は、細部の変化すら見逃さない。



予想外に英雄王率いる軍勢が、精強ゆえ。闇の魔物が広がることが防がれてしまい。東大陸に渡った一軍の魔物以上が、地下迷宮を移動することが不可能となった。土竜騎士団が、瞬く間に駆逐を始めたからだ。

それにより魔神王ベセルバブルに命じた。アレイク王国のご息女確保が、実質不可能になった。

「忌々しい!。英雄王よ、クッまあ~よいわ……。クフフ今は独立研究施設(らぼ)の管理者が確保出来たことで良しとする」

女王は少年の髪を弄りながら。額に輝く闇の物質から作られた。額に張り付けたタリスマンに触れて。命を注ぎ込み。ようやく動き出した自分の遊び相手に。すっかり夢中になっていた。世界を思い通りに動かす……。子供のような拙い欲求に。酔いしれた。

『女王よ。魔王が攻めてくるであろう。今は準備の時間ではないか?』

「クフフ♪確かにそうね。妾の夢のため。魔王には死んでもらわなければ」

ニッコリ好意を魔神王に向け。素直に頷いていた。

シルフィールがこうしてる間にも。魔王軍が迫っていた。

「貴方の闇が、妾に新たな力を与えてくれる。もっと早く……、私は……」

純粋な幼子のような。顔を覗かせたかと思えば、

「早くお母様に認めて貰いたい……」

母の愛を求める。子供の姿がそこにあった。魔神王ベセルバブルは一瞬━━。

左右対照的な顔をしていた。右半分は戸惑い、左半分は嫌らしい笑みを。まるで魔神王の中に、相反する魂が宿るように歪であった。



ガツン、ガツン!二度、女王の杖を鳴らした。シルフィールは側にいた。闇の魔物数体選び。新たな魔物に錬成する。その時間瞬きするほんの僅かで。真っ黒な鱗も毒々しい。巨大な蛇が鎌首をもたげていた。

「さあ~闇の化身よ。妾の玉座とならん」とぐろを巻いていた体を。緩やかに伸ばし。シルフィールが乗りやすいように。地べたに頭を乗せる。

「ベセルバブル。妾は闇の魔物を率いて、魔王軍を蹴散らして見せよう。だからそなたは、独立研究施設島(らぼ)にその子を連れていきなさい」

『承知しました。我が主』

恭しく一礼した魔神王を一瞥して、女王シルフィールは、動き出していた。



魔王軍優勢から一転。女王自ら。新たな魔物を引き連れ。反撃に出るや。魔王軍が劣勢に追い込まれていった……。

中でも。人形のような動きの魔物(パペットマン)、身体の表面は、鋼鉄のように黒く輝き。ずんぐりした体躯のサイと呼ばれる獣に。猛毒を持つ蠍の尾っぽを無数に持つ。一角鋼鉄蠍(キメラ)、巨大な槌を引きズリながら歩く。単眼の巨人(サイクロプス)、真っ黒な蟷螂(ダークマンティコア)、

「ムッ、上空より敵!、全軍直ちに迎い射て」

混乱する戦場、次々と変化していた現場に。六将の四人は翻弄されていた。

「トロン!」

アグレドが鋭く注意を促し。咄嗟に馬から飛び降りて、地面を転がり避けていた。

ザシュ!、今の今まで、供に戦場を駆けた愛馬は、悲しい嘶きを残して、黒い翼竜(ワイバーン)の鋭く。巨大な爪に。鷲掴みされ。何処かに運ばれて行った。

「なんと!、あのようなモンスターまでもが……」この二年。シルフィールとて、何もしなかった訳ではない。錬金術によって、魔法生物を準備していた。




杖を掲げるシルフィールの四方。翼竜、グリフォン、リザードマンの一軍が参戦していた。その数━━万に届く勢いで、次々と集まっていた。

「これは流石に……」

不味いと。あえて口にしないが、リーロンは当然の不安を抱いた。

「申し上げます!、ナガレ様、陛下が援軍を連れて、間もなく到着なされると。一報あり!」

伝令の報告に。ランバスタ将軍の顔にも驚きが浮かぶ。現在我が国に。四人が連れてる軍勢以外に援軍は、新兵しか残されていなかったからだ。

「して、陛下は?」

「はっ、彼方を……」陣幕の外に出た伝令兵の後に続いた一同は、凄まじい轟音を聞いて、慌てて耳を押さえた。




遥か上空━━、

何かが飛んで行くのが見えて……、

「まっ、まさかあれはリドラニアの……」

見たことのある仕官は多い。バヒュンと爆風にさらされ手で視界を確保しながら。

「やあ~皆さんお久しぶりです♪。出迎え感謝します」

ランバスタ達の頭上で、機械竜がホバーリングしながら止まっていた。

「ブライアン様!」 忘れようがない。遥か東大陸の王族となった少年は、気さくにゴメンネと謝りながら。機械竜を降ろしていた。するとブライアンの後ろに。魔王ピアンザが乗っていた。

「陛下!?、これはいったい……」


━━時は、魔神王襲撃まで戻る。



ベセルバブルを逃がした事実に呆然としたが、後悔は一瞬で切り換えた。

「誰かおるか!」

切羽した誰何に。誰もが困惑したと言う。

直ちにクライム様の捜索がなされた。やはり……、

「クッ……」

連れ去られたと分かった。苦悩する魔王は、直ちに前線に赴く決意をした……、城にいてもクライム救出が出来るとは限らないが……。全ては自分の考えが甘かったせいである。だから焦りを抱いていた。そんな時である。四体の自動人形が、面会を求めてきたと聞き。ひとまず話を聞くことにした。


『ん~、何処から話せば良いのかな~』やたら人間臭い。立ち振舞いの自動人形四体。『うん無事ですよ~、シンク様に勧められて、今は華の国におられます』

「だが……、ベセルバブルは確かに…」『それはそうだよ。だってセラ兄は知ってて、クライム様に似せて作った。自動人形を連れて行ったんだから!』

さも当然と言われてしまい、さしもの魔王ですら。混乱を来した。

━━こんなこと……。我等の策には、なかった事だと……。

『それから援軍が、元魔導王国レバンナ沖に。そろそろ到着する頃だから~。詳しい話は、ブライアン様に聞いてと。クライム様からの言伝です』

魔王とて人の親である。ホッと脱力したのは否めない。薔薇の騎士から、淀みなくクライムがシンクに相談していたことを知った。改めてクライムの策を聞いて、内容を吟味する。

「そうか……、女王はまだ管理者を求めていたのか……」

根本的なことをすっかり忘れていた。それは以前リルムから聞いていた話ではではないか。

ギリギリ強く歯噛みして、自分たちが女王の力を甘く見ていたこと。素直に認めた。その上で何が起こるか考えた。

「なるほど……、ブライアンはその為に来たのか」

凄惨な笑みを浮かべ、次代の子息達の才能と言う息吹きを感じ。燦然と顔を上げていた。「分かった。ブライアンに会おう、案内頼むベル」

『ハイハ~イ任せてよ』

自動人形の中にいても。魔神としての力は、無論使えた。



四体の自動人形。魔王ピアンザの姿は、瞬く間に消えていた。



━━元魔導都市レバンナ・港街。



突然現れた空に浮かぶ島の話が持ちきりとなった酒場に。港で作業をしていた人足の1人が、慌てて店に入って来て。

「しっ、シ、シ、シ、シ、島が港に着いた!」

「はあ?、ヤッさん何を言ってるんだ。空に浮いてるなら分かる……って言うか、いま話題だから」

「いや。いやいや空に浮いてるやつじゃなくて!。まるで交易船のように突然港に現れたんだ」

こんな事態だ。今日は仕事が無くなり。暇をもて余していた男達は、

「そうなのか?、なんか島ばかり現れるな~」

誰かがしみじみ呟けば、

「……でもさ、気になるから、とりあえず見に行くか!?」「ん~そうだな。じゃ俺も」

何だかんだ言って、ぞろぞろ暇人が、港に向かい。

「あれ……、いま島に上がってたの魔王様でねが」

目のいい漁師が指した先を見て、海軍の船舶が、島に接岸してるのに気付いた。言われて見れば確かに……、

「魔王様と話されてるお方は、シンク様に似てないかしら?」

結局一緒に付いてきた酒場の女将が、腕捲りしながらそう言うから。どれどれと眼を細めた。

「あれ……、おいあの旗は」

強い風が吹いて、遠くて見え辛いが、二人の乙女が手を握り合う紋章は、リドラニア公国双頭の女王を表していた。



黒髪、親友と顔立ちや目元がそっくりに成長した。ブライアンは、柔和な笑みでピアンザを出迎えた。

「わざわざご足労感謝します。ピアンザ伯父さん♪」

からかうようでいて、これから沢山楽しいことが待ってることを。1mmも疑っていない口振りある。

「急いて済まない。が……」

「はい了解です!。簡潔に言うとクライム君が、しばらく消えることで。兄さんや伯父さんが見逃してしまった隙を。僕たち二人がこっそり手伝い、尚且つ大賢者殿を救うために動いてました。ゴメンなさい」

素直に頭を下げた少年を前に。静かに苦笑を浮かべた。

「……クライムのこと、助かった感謝する。それよりも大賢者殿を救うと言ったか?、それはどういう方法なのだ」

多少怒りは感じたが、それよりも自分たちを出し抜き、大賢者殿を救う方法があると言う。話を聞くと。それが気になっていた。

「伯父さんは知ってますよね。管理者の条件を……」

今頃魔神王ベセルバブルは、契約に従いクライムに似せた自動人形の中身と。なった頃だろうか……、白の女王シルフィールが厄介な所は、あの島独立研究施設(ラボ)の管理者であることだ。だから魔神王が新たな管理者となる。それがどういう効果をもたらせるかと言うと……、




「クッ……」

『ようやくお目覚めだな~。人間よ』

強いからかうような思念を受けて、ようやく深い眠りから目覚めた。大賢者と呼ばれた青年は、ハッと我に返り。辺りを伺い見て。自分が何処にいるのか、ようやく理解した。

『フム、なぜ自分の意志がまだあるのか、疑問であるようだな?』

当然の疑問であろう。ベセルバブルとて、まさかこのような結果になろうと。考えもしなかった。しかし管理者となって、ようやく理解した。彼は古代の民を支配したかったのだと。だから悪い状況ではない。

『人間よ……、もう逢うことはあるまい。だが……』

このような嘘なら。悪くないと思ってしまった。

眼差しからそう伝わってきた。

……ようやく理解した。自分が生かされたことを。だれが裏で動いていたのかも……、

「礼は言わない。だから元気でな。僕の半身……」『フン……』

からかうような思念を最後に。魔神王は眠りに着いた。




黒きローブを纏う。闇の力を一部受け継いだ青年オール・セラは、白の女王を倒すため。行動を開始する。




全ての話を聞き終えたピアンザは、苦笑を隠せずにいた。まさに下策中の下策だ、だから有効だと理解した。魔神王の契約をピアンザも知っていた。シンクの策は必ず成功する。だからブライアンがこの場にいるのだ。善くも悪くも親友の才能を。強く受け継ぐ二人である。彼等からしたら当然の結果であろうか。今回オーラルとピアンザは、シンクを押さえただけで満足していた……。自分たちの敗けだと素直に認めていた。

「委細分かった。ブライアン殿。早速で悪いが、前線に向かう」

「了解で~す♪。総員戦闘準備。直ちに魔王軍の援護に向かう!」

「「「ハッ!!」」」




━━魔王軍、陣営。


ブライアン様と供に陛下が姿を表してから。劣勢から一変。戦場は拮抗していた。



バヒューン、爆音を鳴らし飛行する。リドラニアの機械竜部隊は、5機小隊で、縦横無尽に戦場を駆け巡り。魔砲攻撃。翼の刃によって、空の魔物が、面白いように。落とされて行く。

「クッ、忌々しい何が機械竜だ、行け翼竜(ワイバーン)!」

控えていた。大きな個体に命じた。バサリ風を渦巻き。翼竜は主の命に従い。竜とは違う。素早い旋回を見せながら、離脱する機械竜を追尾、三機を落としてしまう。「クハハハハハ!、所詮はその程度よな」

高らかに笑い。近くに集まる闇の魔物の死骸から。二対の小さな羽根つき蛇(フライングスネーク)。そう呼ばれる。空飛ぶ毒蛇を造り出し、空に放った。



小さな魔物は恐ろしく厄介であった。人差し指程度の太さの毒蛇は、大きな魔物に隠れてしまうため、小さな飛蛇の攻撃に。機械竜部隊は苦しめられていった。見える脅威。見えない脅威に。ずっと神経をすり減らし。徐々に機械竜の数が減り続ける一方で、女王は魔物を増やす構図である。

「陛下ナガレが、例の自動兵部隊を連れて、到着いたしました」報告を受けたが、続く言葉に眉を潜める。

「ナガレ様から。ワレ直ちに。戦場に向かうと……」

確かに実戦投入が望ましいが……、顔を見合わせる一堂に。

「構わぬ。あれはクライムの家臣である」

端的にしか言わぬ。魔王様らしい物言い、ナガレの人柄を知るだけに。笑みを深める。



混線の戦場に。光沢のある鎧姿の兵が現れた。先陣を切るは、長髪の緑掛かった髪の若武者。明らかに古代の民である。スッと冷淡に瞳を細めて。

「あの男を狙え!」翼竜、飛蛇に命じた。勇ましい咆哮を放ち。ギロリ獲物を探して、高く飛翔。やがて敵を認め。素早い旋回を始めていた。




「いや!。ハッ」

右手から迫るパペットを一刀両断。踏み潰すような地響きを足裏に感じ。咄嗟に空に飛んでいた。




とんぼを切った眼下を。まるで鋼のような光沢あるモンスターが、鋭い角をつき出して。自動兵を薙ぎ倒していた。




凄まじい殺気を感じた。滑空する風切り音。狙い済ました脚が、避ける間もなく……、


フワリ、ナガレは空中でステップを踏んで、翼竜の一撃を軽やかにかわしていた、まさに交差する一瞬━━。




閃光が走る。




グチャリ。




頭を落とされた翼竜は、そのまま地面に激突。肉の塊と化していた。



目の端に僅かな違和感。何かいる……、自分の勘を頼りに。二度、抜刀を繰り広げるや、二対の飛蛇を斬り倒していた。 「ほほ~う、このような魔物もいたか」薄く笑うナガレは、切れ長の目を涼しげに細めた。



瞬く間に。主力を失った女王は、顔色を無くした。

「馬鹿な……、しかし甘いわ!、今こそ独立研究施設(ラボ)を起動せよ。ベセルバブル」

鋭い思念を送り付けた。その瞬間違和感を感じた。手応えが怪しい。まるで遥か遠くにあるような……、ハッと気が付き、振り返ったシルフィールが見たのは……、



━━空に。穴が開いていた……。



見えるは深淵。原初の神が生まれた世界。

━━前魔王ヒザンは、あれを冥界(アビス)と呼んでいた。



元商人の国セロン。町の広場━━巨大な魔方陣が浮かび。中央に立つ、黒ローブを着た青年は、左目に浮かぶ創造神の祝福の力を使って、独立研究施設島を。冥界に沈めていた。あまりの出来事に。女王は、茫然自失と立ち竦む。

「大賢者殿が、約定を果たした!。今こそ 宿願を果たさん。ブライアン殿」

「承知してます♪」



数万もの大軍と膨れ上がった。魔物の軍勢。魔王軍は、虎の子の魔導兵一万を。繰り出してこれに当たる。

しかし怒れる女王は、次々と魔物を生み出して、これに抗した。



━━数多のモンスターを掻い潜り。曲芸を繰り広げるブライアン。顔色が青くなるが、機械竜の上から、強大な魔法、無数の火玉(メテオ)。魔物の群れに見舞う。魔王を危険視して。「あれを落とすのじゃ!」

焦りを顕に。群雲のごとき魔物を密集させて、女王は魔王を遠ざける。

「ピアンザさん。彼処に。穴を空けてください」

ブライアンは躊躇なく。密集してる箇所を指して笑う。

「よかろう。僅かな時間だぞ?」

ピアンザとしては、空域を広げても。女王が直ぐ様塞ぐと言いたいのだ。

「任せて下さい!。僕は世界でただ1人。竜魔法が使える人間ですよ。あっでも最近は、シンクも多少使えるようだけど……」

思い出したように付け足した。

「良かろう」ニヤリ不敵に微笑み。素早く魔王の杖に蓄積されてる。魔力を引き出して、

一瞬にして収束させてく、

「速くとあらん。三弦の光。集約せん……。我は、滅びをたもう者」

天空に向けて、弓を引くように構えると。膨大な魔力が一本の矢を作り出し。 「光の女神レイザーよ。契約に従い放て。光の収束砲撃(ビームキャノン)」

「まさかその魔法は、神の契約魔法……」

呆れた口調で呟くブライアンに。小さく微笑み。更なる魔力を高め、矢を放った。まるで天使の歌声のように。高らかに雷鳴が鳴り響く━━。



放たれた魔法は、空間を射抜き。一瞬で神々の国まで届いた。光の女神レイザーは、契約に従い。双子の妹神。月の女神ラトアの弓に。三本の矢を弓につがえて放つ。それぞれ星。月。太陽の光と呼ばれる。最強の光を集束させていた。神々の力の結晶は、魔王が、光を放った瞬間。入れ替わるように。凄まじい落雷が間近に落ちる。轟音を響かせ。三対の首をもたげた竜のように。光は魔物が密集する空間を焼き払う。



━━しかし……あまりにも強大な神々の奇跡は、余波で、大地をも隆起させ。破壊力は、魔王軍の魔導兵を爆風で薙ぎ倒した。

瞬く間に。魔物が散り散りとなって、女王の姿が見えた。

「時よ、止まれ」

竜の魔法『風竜の息吹き』と呼ばれる。竜の肉体強化魔法の上位に。感覚が研ぎ澄まされ。時すら止まって感じてしまう。感覚魔法があった。「加速」感覚に追い付くよう。風竜の加速魔法を付与した。みるみる機械竜のスピードが、一気に跳ねあがり加速した。


ブライアンには、周りの全てが、スロー再生された映像のように見えていた。吹き上がる土煙。細かな粒子の粒まで確認出来た。

鋭く眼を細めた視線は、巨大な蛇を玉座に。シルフィールを捕らえた。

「クッ、おのれ魔王!!」

再び魔物を盾にしようと、女王の杖を掲げる様子が、コマ送りのように見えた。ブライアンは少しでもスピードを上げるため、身を屈め。僅かでも空気抵抗を無くそうとした。

━━間隙を縫う機械竜。しかしピアンザには、突然凄まじいスピード加速したように感じた。神業を見る思いで、上下が入れ変わる状況に、さすがに気持ち悪くなったが……、天性の弓使いの目は、シルフィールの動きを。正確に捉えていた。手にした魔王の杖を。槍投げの要領で。刹那のタイミング━━狙い違わず。




「……えっ……」

衝撃を受けて、自分の胸に生えた。精緻な杖を認めて、眼を見開いた。




そして……、シルフィールは、巨大な蛇の玉座から落下していた。



突然創造主を失った魔物など、もはや魔王軍の敵ではなかった。




━━中央大陸、アレイク王国を襲った闇の魔物は、魔神王が眠りに付くや。陽炎のように消えていた━━。

……しかし失なった命も多く、地下迷宮の被害は深刻だった。復興には数年を有すると言われた。




エピローグ




一月後……、



華の国ダナイ。

首都アバレイト。カフェ・ブルー支店。


厳つい顔立ちの店長は、毎日幼い息子を連れて、店に来るのだが、最近その子目当ての家族連れが増えていた。

「お父さん~、一番に焼き塩シュー2、アッサムブレスレット、アップル2で」

「おう、済まねえが、中を頼む」

「は~い♪」

白銀の髪をキラキラさせて、元気にお手伝いする様子が、実に微笑ましい。それに彼が時々作る。創作お菓子が絶品で、似てない親子だが、お菓子作りの才能だけは、似たのかと話題になっていた。

「ブルーさんから連絡がありやした。あちらは丸く収まったそうです……」

小声で少年に耳打ちしていた。

「ん~以外と早かったね~。残念だけど……、明日には帰らなきゃならなくなったみたいです。今日までありがとうねゴンザブロウさん♪」

少年=魔王の子息(クライム)が朗らかな優しい笑みを向けると。照れたように。クライムの肩に手を置いて、優しく抱き締めていた。

「とても楽しかったです。殿下」

「うん、僕だってさ。貴方のこと絶対忘れないよ」

「へい……」

不器用でいて、涙脆く、実の子どものように叱ってくれた……。それがクライムにとって、どれ程嬉しかったか……、きつくゴンザブロウに抱き付いて、心から感謝していた。その日の仕事が終わった夜━━。




ゴンザブロウと別れの挨拶を済ませて、クライムは出迎えの薔薇の騎士を呼び出し。一瞬で、自分の住まう。城に戻った。




実に。一月振りの帰郷であった。

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