え~とその反応は予定外です。
激闘の夏休みが終わって、個人ランキング後期が開会する筈だったが……、新たなる勢力魔神達の思惑。世界の闇に存在する。白の女王とは……。
プロローグ
世界中を駆け巡った朗報。魔人王レイアスが倒されたと聞き、人々は安堵ともに。本当の平和が訪れたと、喜び平和を祝う。
一方で……、波紋はシンクの通う学園、それ所か、シンクを取り巻く人々に。多くの変化を持たらせた。
━━王都カウレーン、第1師団事務所。
青白い顔で、ぶつぶつ書類の数字を見ていて、ニヘラ満足そうに笑う人物、初老に掛かる年齢ながら、三代もの有能な指揮官の元。第1師団の事務仕事を嬉々とこなす。男がいた、名をアロ・ジムス副官、待遇は大佐、部下達から気味悪がられる存在である。
だが一方で━━。
ある噂が流れていた。救国の英雄の1人カレイラから、アロ大佐が、あまりに有能過ぎたゆえに、是非にとお願いされたと、また救国の英雄王オーラルから、絶大な信頼を預けられ。第1師団の運営を任せられたとも言われている。それは見事な手腕で、第1師団の財政を。潤せてきたから、そんな噂が流れた。
現在では━━、
「アロ~、遅くまでご苦労さん」
急に声を掛けられ、訝しげな顔で、振り返り、ハッと何時の間にか部屋にいた。カール・シタイン准将に。慌てて敬礼していた。ハタリと気が付き、外が既に暗くなってることに気が付き、顔を紙のように白くして。慌てて頭を下げた。
「カール准将もっ、申し訳ありません!」何時もの事と。半分諦め。苦笑したが、ある噂を思い出していた。
━━現在の第1師団を。影で操っているのが、アロ・ジムスであると……。根も葉もない噂なのだが、本人が聞いたら、気絶してしまうほど小心者だ、
こう……しょっちゅう。カール自ら。足を運べば、強ち嘘とは、言えない所である。。
「あれ~。上手く行ってるようだね~」
今日は、その結果報告に。アロが来る筈だったのだ。カールが問うと、はいと青白い顔を、嬉しそうに綻ばせた。軍部で、財政が安定してるのは、第1師団だけで、兵数は国内最大を誇る。だが大きくなるにつれて。ある問題が、浮上していた、他の軍部とて、共通の難問。
━━あれは……、妻を伴い。母に報告に行った帰り際。ボソリと孤児院出身の。義弟の前でぼやいた。
「カール兄さん……、それなら鶏と、豚を飼ったら?」
タイチは、フロスト騎士団の行儀見習いとして、毎日一生懸命頑張ってると聞く。負けん気過ぎる風貌と、何処か、カールに遠慮していたが、いつの間にか消えていた。それどころかまっすぐ、カールを見上げ。自分の考えを提案してきた。意外に思ったが、
「うむ……」
もう一度、タイチの提案を吟味して。じっくり熟考した……、
「どうかな?……」
急に、無言になった年の離れた義兄に、不安になったか、少し緊張した顔をした。強ち悪くない考えだ。なるほどと感心さえしていた。大量に毎日出る。廃棄残飯……。人が増えれば、それだけ処理するには、掛かるお金も莫大だ、
だがタイチの提案、敷地内で経済動物を飼って、餌として与えれば良いと言うのは、至極まっとうで、孤児院では、無駄を出さないよう。実際に飼い始めたと聞いていた。
「おお~悪くない意見だ~、サンキューな義弟よ♪」
頭をワシワシ撫でてやれば、ちょっと照れくさそうに笑い。自信が面に出たから、随分と変わったな~、妙に嬉しく思った。
「はい!、あれだけ毎日廃棄するのも。かなりの金額でしたが、カール准将の言われた通り、鶏と豚を飼い始めた途端。廃棄残飯が、半数にまで減りました。また葡萄畑に使う。肥料に加工しまして、廃棄は、ほぼ無くなりました。その分の算出がようやく出来ました!。上手くすれば、第1師団の食料費用が、前年比P7%処か、9近くも削れそうです!」
鼻息荒く。うれしそうに語る。だがその数字は、予想以上の効果をもたらしたようだ。
「それは何より。それも大事だが~お前さんの事だ、知らないと思うから、一応~伝えとくよ~」
世相に疎いのは、変わらんなと苦笑しつつ。
「オーラルの息子が、魔人の王を倒したって、国内は大騒ぎなんだよね~」
一瞬━━
キョトンとしてたが、ポンと手を叩き、青白い顔に。喜色満面嬉しそうに笑い。
「それは素晴らしい情報です!。カール准将!、第1師団で作ったワインを。ただちに。売りに出しましょう!」
鼻息荒く、揉み手したアロに、苦笑した。
「あらら~違うスイッチ、押しちゃったか~」
小さく溜め息吐いて、アロの飽くなき。財政増加のチャンスに向かう姿勢と、カールが居ることも忘れ。嬉々と机に向かう背に。諦めた顔をしていた。
第1師団の広大な。使われてない土地に、オーラルが、国王夫妻と、葡萄農園を開拓したのが、17年前。ようやく多くの稔りを、得られるようになったのが、
今から10年前━━、当初呆れてたカールとて、少しずつ現実になって行く敷地内のワイン作り。飲めるに至ったのが、それから数年後……、現在毎年かなりの量が、生産され。第1師団の倉に眠っていた。
「オーラルあんたを尊敬するよ~。だが俺も負けないよ~。あんたがチャンスを。用意してくれたの。ちゃんとわかってるんだぜ……」
普段軽薄な笑みしか浮かべない、カール・シタインだが、前国王もって、曲者と言わしめた。希代の道化師。滅多に見せない。精悍な顔をして、弟であり目標にする。希代の英雄王に。語りかけるように呟く。
「まあ~見てなよ。成長した俺をな」
自信に満ちた笑みを、浮かべていた。それに……、
「新しく産まれる子供の為だ。少しはカッコいいところ。見せないとね~」
━━交易の街ドマーニ、
港にある。近衛連隊舎二階、港が一望出来る。執務室にヴァレ・カルバン、ブルー・ファミイユ両名が珍しく。朗らかな笑みを浮かべて、顔を会わせていた。
「これでしばらくは、貴族を、押さえられるね」
「そうだな……。しかし……レヴァの奴は……、相変わらず。面倒ばかり起こす」
世界議会の出来事は、既に耳にしている。元上司ならではの苦言に。小さく苦笑しながら、友人であるカルバンは、元上司あり、頼れる同僚のブルーが、やたら機嫌よい毎に。気が付いていた。
「娘さんと会ったのかい?、それとも元お嫁さんとデートかな?」
「なっ……」続く言葉を。飲み込んだ、案外両方だったかと、笑みを深めた。
「ヒナエには、娘も世話になってるからな」
カルバンが言えば、肩を竦めて、諦めたように。ブルーは嘆息して、
「今日の昼間カフェで、フィアと一緒の所で、会ったよ……」
仕方なく口を開いた。
「そう言えば、夏休みだったな……」
と思い出していた。
「相変わらず。オーラルさんには、驚かせられるね」
カルバンは、学生時代魔王ピアンザ、レオール宰相レイナ・ホルトと。同じ部隊に所属していた。思いだして。その為もあるが……、オーラルを尊敬してる節がある。ブルーは一瞬。スッゴく嫌そうな顔をしたが、まあなと仕方なく。相槌を返した。「それでお父さん達は、動いてくれるかな?」
それこそが一番大切な事だ。海洋の国防と、交易の管理を担う、近衛連隊の仕事である。二人の役目は、それだけでなく。新しい国王の為、貴族の増長を防ぐ役割もあった。
━━今のアレイク王国は、重鎮の代替わりが行われ。有力貴族にとって、付け入る隙があると考えている。一部の貴族だが、自分たちの財産をいかに増やすか、悪知恵ばかり働く。国政に権力に弱点を見付ければ、アリのように喰らいに群がるから。二人が懸念を懐くのも仕方ない。ブルーは何時もの癖で、ハーブの茎をピコピコさせながら、鼻を鳴らし。
「あのお二方━━。特にオーダイ将軍は、間違いなく動くな、案外ガイロン重騎士団を。動かす可能性まである。そうなると俺達は、魔神達とローレイ商会の動きに。注意すべきだろう……」
動くとしたら来春だろうが……、それも奴は、織り込み済みな気がする。
「嫌な奴だ……、」憮然と。鼻を鳴らした。
━━中央大陸、輝きの都プロキシス。
後世に残るほど、華やかな祭典。世界議会の後、世界各国から集まった、学生達による。魔法討論会も終わり、各国の学生達も帰国の日を迎えた━━。
都の南東にある。豪奢な宿の一室。アレイ学園代表のリーザ・カーベンも。荷をまとめ。忘れ物はないかと、確認に余念がない。僅か7日あまりの滞在だったのに。何年も暮らしてような。様々な出来事があった━━、
「楽しかったな~、また来年来れるように。頑張らなきゃ♪」
余韻を楽しみながら、ベッドに座り、足をバタバタしてると。コンコン優しくノックがなされ。
「そろそろ馬車が出る時間だ、リーザ支度は済んだかい?」
鍛え上げられた。歴戦の戦士のような体躯に、気難しい顔には、普段心配そうな顔ある。父バレンタインだが、今日は珍しく優しく笑っていた。
「うん♪出来てる」娘の成長した姿に、目を細めながら。
「先ほどギルバート様から、連絡を頂いてな、フィアとヒナエが、リリアの墓参りをしてくれたと、聞いたよ……」
「……えっ、ええー!、二人が……」娘の気持ちを察しての。行動だろう……、有難い事だ。
「良い友達に恵まれたな。リーザ……」
「……うん……」
そっと目頭を拭う娘を、優しく抱き締め。頭を撫でた、
「くすぐったいよ~。お父さん♪」
ギュッと父に抱き着き甘える。
━━扉の外で、聞き耳を立ててた。アムール・ステファン、アノン・ファンは顔を見合わせ。別れの挨拶は諦めて、二人だけでそっと別れを惜しんだ、
「またねアム」
「そうだねアノン」三人は、同じ学年の、同い年で、しかも教師を目指すのも同じ。お互いの話を一杯したから。友情関係を築きつつあった。
アノンは、これから北大陸に赴き、祖父サノエを迎えに行く。それから一度ジエモンに戻り。年内は、軍国ローレンに戻らない予定だ。
「アム!。私に用がある時は、あれで知らせてね」
「はいよ~。またねアノン」
二人は握手をかわし。にこやかに別れた、再び会えると信じて、
━━白銀の城、王座の間。1人国政を前に。僅かな時間佇むオーラルは、先程別れの挨拶に訪れた。シンク、姉夫婦との会談に思いを寄せた。僅か数日の間に。逞しく成長した我が子。小さく笑みを浮かべていた。
「出来ることならば、平和な世界を築きたいものだ……」
世界に隠れてる。闇の深いこと……、だが自分に何があろうと、シンクがいる。安心感に。気持ちを固めた。
「これで……、次に進めると言うものだ。出来れば、我が子の未来を守るため」この命捨てる覚悟である。最早仮初めの平和は、細い糸のよいに頼りなく。薄氷の上で、人々は生活を営んでいるに過ぎない。鋭い眼差しで空を睨み、
「現れよ『赤の書』!」
高らかに命じた、オーラルの眼前に、禍々しい赤い装丁の書が現れ。宙に浮いていた、静かに語るよう。
「聖アレイと呼ぶべきか、いや本名のアレクと呼ばせて頂く。まさか貴方程の方が、その様な姿となっていたとは、知りませんでした……、聖王の剣に残された、貴方とナタクの思念。読ませて頂きました、まさか白の女王にそのような秘密があったと、私は考えもしなかった、ですが……、確かに魔王の杖から、魔人の神器は消えていた、貴方の忠告通りに。白の女王は生きてるのですね?、貴方達母子を裏切り、さらに四人の弟子を唆して、そのような姿にした、張本が……」
『赤の書』は静かに明滅を繰り返し。まるでその通りだと言わんようである。歴史に消えた。アレイク王国建国王バレンシア……。謎に包まれた王が、実は女性だったとは……、本名レシアは、歴史上に隠されてたが、アレクの妹であり。10人の弟子の1人と数えられてる女性で、文献では、大賢者オール・セラの恋人だった女性である。
ナタクは長年探していた。友と、妹の行方を……、赤の書を見つけたのは、魔王ヒザンであり、多くの隠されていた謎があた。
━━今から20年以上前まで、世界議会の前進。毎年行われるようになる以前は、数年ごとに世界中の国王が集まり、語らう機会を。中立国であり、世界でただ一隻。海上を移動出来る。国クラウベリアで、行われていた、
当時ナタクは、傀儡の王を頭に据えて、小さな国を建国していた、聖帝の国サウザントだ、これは丁度よいと、国から早々出れぬ魔王ヒザンが、ナタクに赤の書を渡すべく。移動国クラウベリアに持ち込み。結果赤の書の力に。愚かにも触れた、傀儡の王は、力を暴走させ、魔王ヒザンと聖帝の王が戦い、結果として一国を滅ぼしたのも事実である、
それ以降ナタクは、仮初めの王を殺し。隠居生活をしていた。赤の書を封印するためだった、どうにか平穏な生活をしていたが。ただナタクは、魔王ヒザンから、赤の書がオール・セラから。譲られた物と知ったのは、皮肉にも旧友魔王ヒザンが、世界から消え。
その影響で、赤の書に掛けられた、女王の呪いが、弱まったからだ。そしてアレクから。本当の事を聞いて、魔王ピアンザと同盟を組み。世界中で暗躍して、隠れた白の女王を……探した、
歴史に同時する。最後の白の女王シルフィール・セロンは、当時海中都市の管理者に、自分がなるのを嫌がり。幼い娘シレーヌを使った。さらにアレクの叔母でありながら、人間とのハーフが、神から寵愛を受けたのが許せずに。散々アレクの邪魔をして、さらに四人の弟子を唆し。憎い姉の娘レシアを『白の書』に封じさせた。本当の敵……。
オール・セラは……、すべてを知った。師であるアレク『赤の書』を見つけ出し、その力で魔神となった、それは……、裏切りの女王を探す為であり……、愛する女性レシアを救う方法を探すため、永遠の命を手にした。
その昔……聖アレイには、12人の高弟達がいた。
崩御したとされる。建国の父バレンシア王亡き後。アレクの実子クラウベリア王を支え。国の礎を築いた、彼等だが……、何故か、四人の高弟の名前だけが、消されていた……、
それは『魔王の書』に記された理由がある。魔王ヒザンが認めた書には、歴史の裏側が、克明に書かれ。聖アレイを裏切った、四人の弟子達の名があった、
彼等の名を、
ブルワース、
ベテルローズ、
ロノバリエ、
スタンレイ、
『赤の書』を使って、魔神となった者達……、
そしてアレクと妹のレシアを、赤、白の書の番人に封じた。四人の弟子達は、駆け付けたナタクと、魔王ヒザンの手で、アビスに落とされ。封じられた。その際。赤の書を紛失して、その後。オール・セラが見付ける。
西大陸━━、
静櫃な、墓所を思わせる。残骸……。数年前まで……、人間が住んでいた、それはそれは賑やかな町だった━━。
中央大陸事件の時。町は……、数多の魔神猛攻により。破壊の限りを尽くされた、数年も復興がなされず。風雨にさらされ。風化されたままにされた。それは……、この地に入り込む人間がいないからだ。
この町が……、四体の強大な力を有する。魔神達が支配する。境界線の上に存在したからだ、表向きは……、
香しい香りが、闇夜に流れ漂う、一輪の花が、宙に浮いていた、咲き誇り、1人の妖艶な少女の姿をした、魔神が現れた。
「戻ったか……、ベテルローズ」
厳かな闇が、声音を出した。名を呼ばれた少女の姿である。魔神ベテルローズは、
「まあ~ね~。セラじゃなかった。ベルゼバブル様。やっぱり白の女王は、あの商会の裏に居ますね。しかも傀儡に。自分の分身を使ってね」
「やっぱりか~、あの狡猾な女が、現れないのは可笑しいと思ったぜ」
清涼な。水を連想させる声がして、空から一塊の水が落ちたかと思えば、地に吸い込まれることも。散らばることもなく。水が男の姿になってしたり顔をした。
「やっ、やっぱりそうおもってたよね~。ブルワースも」
一つ頷き。怒りを顕にした。
「ああ~俺達を巧みに騙した女だ、そうは死ぬ筈もない」
「今が好機……、目が全て。南大陸に向いてる今こそ。女王の杖を奪い、レシア様を、元に戻して差し上げねば……」
岩を擦り付けたような、がつがつした声音を発した、大男ロノバリエが、瓦礫の中から現れ、岩を思わせる。肌黒い肌を露にして。悲しげな声で訴えた、少し呆れた顔をして、
「あんたは。相変わらずレシア様かよ……、まあ~あたしらが、本に封じちまった責任は、感じるけど、元に戻すのは無理だと思うな~」
ベテルローズの率直な意見に、岩の顔が歪む。
「おっおでは……、ウオ~オンウオ~オン!」
「ちょ、危ないわよロノバリエ!」
巨人の体躯を誇る魔神が、小石の涙を、ぼろぼろ雨のように落とすから、当たると痛いので、大騒ぎで逃げ回る。
「今のは、お前が悪いベテルローズ」」
澄んだ鈴なりの声が、闇夜に鋭く響く、キーンと小石を斬る音が、何度も聞こえてきた。小石の涙を落ちる側から、砂になるほど細かく刻むスタンレイは、鋼鉄の鏡のように、夜を写していた。
「うっ……、わかってるわよ!、ロノバリエ……、ごめんなさい。ちょっと言い過ぎたわ」
「うっううう、おでおでレシア様を助ける」
それはベテルローズだって、同じ気持ちだ。実際問題自分たちは、白の女王に唆され。大変な過ちを犯したのだ。自分の姉と慕い、兄と思ってたアレク、四人は育ての親を……、あんな本に封じてしまった……、
真実を知ったのは、前魔王ヒザンと戦った後のこと……、
18年前……、パレストア帝国の地下には、アビス世界に堕ちた。中央大陸を繋ぐ。封印の扉が存在していた、その扉の封印が、開きかけた事があった━━。
今から━━100年以上もの昔、魔神となった四人は━━、白の女王に操られ。封印の扉まで進軍した、だがナタクと、魔王ヒザンの手によって、アビス世界に落とされ、封印されてしまった。
100年もの長き時を、四人は、魔王ヒザン、ナタクを恨み、妬み、憎悪だけが、生の執着を与え、魔物の血を啜り、肉を食らいひたすら時を待った。扉の前で……、今なら解る。それは結果だったと……、
アビス世界に。降り立った、魔王ヒザンは、盲信してる四人を打ち倒して。白の女王……、シルフィールの真実を……、語った。
四人は愕然とした、だが魔王ヒザンは、刻一刻と、死に瀕死ていて、嘘を言う可能性はなかった。『愚かな……、あの女は姉のフレイナードを憎んでいた、赤の神官達と結託して、赤の民に姉のフレイナードを殺させたのだぞ!』
『では……、我等は兄と慕ったアレク様と、レシア姉さん。仲間達を……』
愕然と膝を着いた、魔王は悲しげな眼差をしていた、扉を複雑な顔で見詰めていたが、一つ吐息を吐いて、
『オール・セラを探せ。奴は、女王の真実を知り。魔神になってまでも、シルフィールを探している。今もレシアを助ける為に……』
四人は絶句した。自分たちの過ちが、その大き過ぎた代償を耳にして、嘆き、悲しんだ、やがて魔王ヒザンは死に。四人は遺骸が、魔物に荒らされぬよう……、魔法で保護した。懺悔を込めて……、
━━中央大陸が、世界に現れ。世界中に魔物の軍勢が溢れ出した時。四人は、西大陸に降り立った。大混乱の中。魔神が討伐されてくのを他所に。隠れその時を待った。それぞれ名を上げ。オール・セラが殺しに訪れるのを……。
━━今から二年前……、
四人が『白の書』を保管していたことを知った。オール・セラこと。ベルゼバブルが、現れた━━。
「レシア……、必ずお前を助ける」
小さな象牙で、装飾された、美しい本は、嬉しそうに明滅していた。
「魔王には、何て伝えるんだい?」
ベルゼバブルこと、オール・セラが、全てが……、シルフィールの所業だと分かったのは、病に伏した晩年の頃……、アレクとレシアが、謎の失踪をして、それでも国の重責にいたセラはどうする事も出来ず、強い後悔すら覚えた。
『何故僕はもっと早く。調べなかった!』
悔しかった、死を前にして、愛してた女性が苦しみ。兄がそんな大変な毎になってたと知ったら、僅かに残った命を。投げうつ覚悟を決めた、
そこで。ナタクが旅に出ると言った時、セラに。『何かあれば魔王ヒザンを頼れ』
そう言った理由が分かった……、ナタクは知ってたのだ、アレイク王国から失踪したセラは、魔王ヒザンの助力を得て、ナタクの足跡を辿る。旅に出た、
ヒザン亡き後、魔王ピアンザに。全てを伝え。彼の後ろ楯を得たからこそ、四体の魔神の情報を得られた。
そして……、それぞれが名を上げ。待ち構えた四人は……、ベルゼバブルに殺される覚悟であった。
魔神となったが、昼間は昔と変わらぬ人間の優男姿のオール・セラは、四人を見て、気付いてしまった……、様々な感情が渦巻く胸中、されど四人の目は、晴れやかだった、師であり、義兄となる筈だったアレクを、慕ってた頃の優しい瞳。唇を噛み締め。怒りすら飲み込み。四人もあの女シルフィールの悪行を知ったと理解した。
「ベテルローズ……、お前が、レシアお姉ちゃんと、呼んでくれたお前を……。本当の妹のように。何時も気にかけてたな……、ブルワース何時もカッコつけで、バカで、お調子者なお前が……、レシアを笑顔にしてくれてた……」
「セラ……、私は」
「おっ、俺達は……」
四人の目を見れば分かる。ツンと鼻の奥に痛みが走る。今はもういないラウ、ダン……、ナタクさん、アレク様……、必ず僕は……、僕らはレシアを助けてみせます。白の女王の呪いを解いて━━。
セラの時は、魔神になった瞬間止まっていた━━。永遠の闇と同化することによって……。
昼間は人間と変わらぬ姿のセラは、町で人間のように振る舞うことが出来るが、夜になると……、永遠の闇の力により、完全なる闇となるため、魔神となった四人であろうと、境界線に長く居ることは出来ない。
闇となったオール・セラは、自分の力を制御出来なくなる。魔神であろうと、長くいれば、闇に食われかねない。
……一つ救いがあるとしたら、『白の書』に封じられた。レシアは無機物故。何時も一緒に要られたことだ、
「ローレイ商会を裏で操ってるのは、間違いなくシルフィールだと。魔王に伝えよ」
「はいよ~。任せてセラ」
四人を再び操るつもりか?、案外セラに気付いてる可能性があるなら、先見性のある魔王のこと。直ぐに気が付くだろう……。
━━中央大陸、南洋港
多くの別れが、船着き場で行われていた。その中でも沢山の人々に囲まれる。シンク・ハウチューデンの姿があった。交代で豊満な胸を押し付ける。ように抱き締めてきた、ミネラ・マレスト、ラシカ・ゲンジの二人だ、
「ミネラさん、ちょっと恥ずかしいよ……」
不平を言えば、唇を尖らせ、ムムムッと変顔になりつつ。
「ラシカ~あの可愛かったシンクが、反抗期なの~、ウワアアアアン!」泣き真似までする徹底ぶり。冷たい眼差しのラシカ姉に。思わずたじろぐシンク。何時ものじゃれ会う光景である。見送りに来ていた、白銀騎士団の兵まで、クスクス忍び笑いしていて、
「ちっ違うよラシカ姉~、ちょっと恥ずかしかっただけだから」
慌てて一生懸命。言い訳するもんだから、二人はプッと吹き出して、爆笑していた。からかわれたと、気が付いたシンクは、不貞腐れたようにムムムッと、頬を膨らませた。流石に悪いと思って、
「悪い悪い~♪、そんなに怒るなよ~シンク。冬休みになったら、相棒で向かいに行くからさ。楽しみに待ってるぜ」
からから楽しげに笑うラシカ姉に。まあ~仕方ないかとクスり笑みを浮かべ。
「ラシカ姉、ミネラさん、行って来ます!」
二人の王子様は、日々逞しくなってく。寂しさと同時に。誇らしい気持ちで、柔らかな笑みを浮かべた。
「身体に。気を付けてね~」
「もっと男磨いてきなーよな!」
沢山の人々に見送られ。船は中央大陸を後にした。
━━━7日後。アレイク王国、王都カウレーン。中央公園。
南側の林道で、毎週末行われてる朝市に。大勢の人出があり、ごった返していた。
入り口から程近い場所が、今回孤児院に、割り当てられた場所で、子供達も。孤児院の畑で、作られた野菜。クッキーが袋詰めで並んでいた、何時もはゴサの上に並べるだけだが、今日は違う。職人通りの人達が、小さな露店を作ってくれ。子供達は、そんな些細な変化に。楽しそうに笑う。
こうした露店の売り上げは、ほんの僅かにしかならないが、孤児院の運営費に使われ。また毎週子供達と買い物客とを。沢山交流してもらい、養子を貰いたい側との。出会いを設ける。そんな側面があった。
白のローブ姿が、だいぶ様になったタイチは、数日前から、木刀を扱う訓練が始まり、教えてもらえる喜びを噛み締め、自信が芽生え始めた時期で、額に汗をかきながら、率先して、露店の組み立てを手伝い終えて。満足そうにタオルで拭う。
「タイチ!」ハッとした、林道の入り口を慌てて振り返り、パッと華やいだ笑みを浮かべて、
「リナ?、リナ!」
トテトテ走って来たリナに、喜びを露にしたから、訳を知ってるシスター達に。クスクス笑われ。少し照れ臭そうに笑う、
「あっあれ……」
シスター達が、びっくりしたような声や顔をしてるから、ん?とリナを見て、おや?と首を傾げていた、辺りの人々は、戸惑いのあまり。静寂に包まれ。タイチの違和感の理由に。改めて気が付いた。リナはほっそりした手の女性と、手を繋いでた。その女性に、誰もが目を。釘付けにしていた。
美しい金の髪を、邪魔にならないよう。後ろに束ね。純白の輝くようなサマードレスを着て、純白の翼が、背に……、びっくりしていた。
「リナ様。そんなに急いでは、転んでしまいますよ?、あっそんなに急がないで!、まだ歩くの苦手なんですから」
美しい顔を心配そうに、足元ふらふら、リナに引っ張られながら、キラキラした目で、みんなに自慢する。
「タイチ!、私の新しいお姉ちゃんのサノビアさんです♪」
紹介されて、ドキマギしながら、照れ笑いする様子は、まるで伝説の戦乙女のような美しさ。ほう~と、ため息が漏れた。男性は豊かな胸と、すらりとした足に目が行くのも仕方なく。同性のシスター達ですら。目元を赤くして、ため息を吐いた程だ。ただ1人。リナにしか興味がないタイチは、
「シンク兄の彼女?」
爆弾を投下して、辺りのシスター達を、青ざめさせた。
「そっ、そんな滅相もない。私はリナ様のお家で、手伝いをさせて貰ってるだけです!」
サノビアは慌てて弁明した、シスター達は安堵したと言う。
「ふ~ん、シン兄は?」
あまり興味をもたず、リナに聞くのは、兄のように憧れる。シンクが来るかどうかだけだ、
「シンにい~もう来るよ。途中で、にい友達に捕まって……、あっほら来たよ、リルム姉やエルマさんも♪」
指差した先を見て、再び━━大きなざわめきが上がった、王都の民ならば、皆知っている人物。若き英雄の登場と、さらに隣の少女の、あまりに美しさに息をのんでいた、残暑の陽気。僅かにこもる風すら、優雅にたゆむ髪は、白銀に輝かせる。少女の白く美しい滑らかな肌。まるで氷の女神が降り立ったような、冷然とした。美しいさを放っていた、シンクと腕を組み二人が初々しく、照れた様子だがリルムが先に、リナを見つけ、手を振ってくれた、
「リナ?、シン兄のお友達?」
やはりリナにしか興味ないタイチは、薄い反応である。
「リルム姉は、シンにいの彼女だよ~、でもシンにいてばモテモテだから、大変そうだよ」
なんてオシャマに言うのだ、此にはシスター達も苦笑していた。
「ふ~ん俺には、リナしかいないから、よく分かんないや」
「フフフ。ありがとうタイチ♪」
嬉しそうにリナが照れ笑いすれば、タイチは真っ赤になっていた。初々しいカップルなど目に入らない、シンク目当ての女の子達は、恨めしそうにリルムを睨んでいた、
「シンク様て、大変んなんだな……」
そうした反応に敏感なサノビアは、しみじみ呟いていた。
━━朝市から数日後……、
中央大陸からやって来たサノビアは、リナの護衛兼店番として、王都で暮らしにも慣れていた、
当然アレイク王国の民は、初めて見る翼人。それも美しいと評判な女性を。一目見ようと。見物客が、毎日のように職人通りに押し掛け。大騒ぎだったが、それも一段落して数日。ようやくアレイク王国の生活にも慣れていた、
朝起きたら、いつの間にか、隣の部屋に。シンクの姿はなかった、もう学園に行ったのだろう。グッと翼を広げ、朝日をいっぱいに浴びて、ゆっくり羽を動かし。庭に出て、手入れを始めた。翼人は色々大変なのだ。美しい白い羽のサノビアは特に。週一回の手洗いと、天日に干して、香油を丹念に塗っとかないと、上手く飛べないのだ、たっぷり15分掛けて支度を済ませ、それから天日と風で、乾かしてさらに25分、それから髪を後ろに束ね。身だしなみを整え。厨房に向かう。
サノビアが、食堂に顔を出すと、ミリアさんが起きていて、ニッコリおはようと言ってくれる。「おはようございますミリアさ、ミリアさん」
つい様と言ってしまいそうになるが、慌てて訂正した。
「フフッしばらくは仕方ないわ。それより旦那が、仕入れに出てるから、私達だけで、先に食べちゃいましょ」
「あっ、はい」
最初に驚いたのが、シンク王子の多才さである。
「今日は、パンのスープと、サラダね」
パンのスープとは、2日前の固くなったパンを、様々な種類のスープで煮て柔らかくし。塩胡椒で味付け。ポーチドエッグを添えて出される。パンのお粥で、わりと定番の朝食である。
「今日のは鳥のスープね。あの子最近ダナイ料理にハマってたから、それでかしらね。悪くない味だわ。すうっと鶏肉の旨味が、引き出されたてるわね♪」
同意を求められたが、ただただ感心するばかり、
「私には、こんな手の込んだ料理は、出来ません……」
悲しいかな。料理の腕前は、シンク、ミリアさんに敵わないのだ。
「そうよね~、でもあの子手抜きして作ってたから、これ(パンのスープ)10分掛かって無いわよ?」
「えっえ~!、これが……」
あまりにびっくりしたから、目を丸くして、改めて味わう。ミリアは感心するサノビアの為に。鶏肉の旨味を引き出す。簡単な調理方法を、レクチャーした。
「鍋に入れたまま、一晩ですか?」
「そうよ~、鶏肉に塩したら、少し置いて、臭みをとっるの、その鶏肉を、水から煮るんだけど、ネギの青み部分、昆布、生姜少々入れたら、沸騰させず10茹で。火から下ろしてから。しっかり蓋をして、余熱で火を通し。一晩置いとくだけで、美味しいスープが取れるのよ」
確かに。最初だけ手間は掛かってるが、仕事の合間に簡単に出来る……、
「え~と、ミリアさん。鶏肉はどうなってるんですか?」
心配になってしまう。翼人にとって肉は、高価と言うイメージがあるからだ。
「サラダを食べてごらんなさい」
「あっ。はい」
素直に従ってパクり。大きな目を丸くして、
「こっ、こここれ鶏肉ですか~!!、スッゴく柔らかくて、美味しいです」
幸せそうに身を震わせたサノビアに、小さくクスクス柔らかく。笑みを深めながら、
「面白い考えよね。鶏肉をサラダに入れるなんてね」
「本当に!?」
うんうん頻りに感心するばかり。毎日お手伝いしてますが、お役に立ててるか、不安があります。
「サノビア大丈夫よ、貴女は私達家族だけではなく、この国にいるだけで。貴女達翼人の未来をも助けてるのよ?」
優しい笑みを向けながら、ズバリ核心を突かれ、ドキリとした。
「それから貴女と同じように。違う大陸に渡った翼人もいるらしいわよ」
「へっ、そっそれはまことですか」
初めて聞いた話である。
「私も父さんから聞きかじっただけだから、詳しくは話せないけど、聞く?」
パッと目を輝かせ。うんうん頷いていた。ニッコリ元気に微笑むサノビア、微笑をもって。話たのは義伯父レノン・ハウチューデンとリマとの出会い。
「あっリマは知ってます。町外れに……、でも最近噂を聞いてなかった……」
びっくりしていた。何時の間にそんなことに……、
「私達も中央大陸に行って。義伯父がいると知ったんだけどね~」
苦笑しながら、リマの命を助けたレノンを慕い。いきなり求愛した話を聞いて、思わず笑っていた、
「リマは、昔から夢見がちな女で、周りから浮いてたのも確かです」
「リーラから聞いたんだけど、彼女大地の女神アレの祝福を受け。侍祭の資格を得てるそうよ」
「……そんな……、まさか……」闇の女神から、大地の女神や他の神々に帰依する。翼人はいるが……、
「彼女が、最初のようね」
「知りませんでした……」
それからレノンの元で、幸せに暮らしてたリマだったが、彼女に内緒で、ひっそりと消えたと聞いた時は、泣きそうになり、またリーラが、リマの為に夫オーラルに働きかけ。レノンの居場所を探させ。直ちに見付けたオーラルの手引きで、北大陸に送り届け。押し掛け弟子になったと聞いて、
「良かった……」
可愛らしく安堵していた。サノビアのこうした裏表の無い性格を。娘のリナは慕うのだろう。小さく微笑みながら、楽しい朝の時間を過ごした。
━━シンクは何時もの通り、屋台で揚げパン二個と、冷たいお茶を買って、幸せそうに食べながら登校。林道を抜け、演舞場に行くと。入り口付近で、そわそわしてる。栗色のサラサラヘアーを。ショートカットにしてる後ろ姿。クルミを見付けていた。
「先輩おはようございます♪」
挨拶代わりに。頭をポンポン撫でた、
「なっ、いつの間に来たシンク!」
慌てて振り返るが、嬉しそうな笑みを噛み殺し。無理やり厳しい顔を作る。元が可愛らしい風貌だけに、微笑ましいと思ってしまう。
「先輩焼けましたね~、うん小麦色の先輩も可愛いですよ♪」
なんて好きな人に。誉められたら、素直に嬉しいから。つい頬を緩め。照れて赤くなった。
「さっさあ~♪、稽古するぞシンク」
意気揚々と急に張り切るクルミ。笑顔でハイッと応え。二人は舞台に上がり。獲物を手にしたとたん。クルミに一切の手加減。甘さは消える。同時に動き出した。それはシンクに対しての信頼感からで、昆を、又大剣の技を駆使して。お互いの成長を確かめるように。笑みを交わした。
「あれがシンク・ハウチューデン……、あの英雄王の子息か……」
ローザが驚きの声を震わせれば、レイラは眩しそうな眼差しで、目を細めた。
「はい、彼が私達の太陽ですローザ」
何のてらいもなく。厳かに告げていた、さすがに驚きは隠せず。あまりに真摯な眼差しを受け。最早認めるしかない、
「わかったわ……、貴女と手を組もう。それでどうするつもりだ?」
「ありがとうローザ、準備は整いました。後はトーナメント戦が、始まるの待つばかりです」
冷然と微笑する。その為に。エドナ学園長の了承を得たのだから……。
そして新たに始まる。『オールラウンダー』候補四天王を巻き込んだ戦いについて。ローザにも話始めた。
━━数日前。夏休みの旅行から戻ったレイラは、時が来たと悟り。自分の考え。目的。手段。方法。それで予想出きうる結果をある提案を申し出る為。学園長エドナ・カルメン・オードリーを訪ね。レセプションを行ったのだ。全て聞き終えたエドナは、呆れた顔を隠さず。「まさかあの双子のことも知った上で、そこまで考えてたとはね……、貴女の素質を。正直見余ってたわね~。良いわ貴女のその提案は、私達の希望に十分沿ったことだし♪」
艶やかに微笑して、あっさり受け入れられ。逆にレイラの方が訝しげな目を、エドナに向けていた。これには苦笑を滲ませ。
「貴女ならば、双子の存在を知り。何らかの提案するだろうと、言われてたから、すんなり聞けたのよ」
誰がと訪ねる前に。強い魔力を感じて身構える。
「ほらね~魔王の言った通りになった」
「そうだな~オーラルの察した通りになった」
フフフと笑い声が聞こえたが、姿はない。
「エドナ先生……」薄気味悪さに、問うような声音になる。ニッコリ楽しげに笑われ。こんな者達を使おうと言うのか?、懸念と恐怖を覚えた。
「凄い~、この子!」
「ああ~僕らの力に。気が付いてるね♪」
いつの間にか、エドナの後ろ。双子の青年が立っていて、優しげな笑みを浮かべるが、その目は……、レイラのことをまるで、物を見るよに見ていた、双子の相貌には、善悪を超越した、何も映さない瞳に、肌が粟立つような恐怖を感じた。だが……、その程度のリスク、覚悟の上……、 私は必ず『オールラウンダー』となり、シンクに認めて貰う。家柄も実績も足りないレイラが、彼の右腕になるためには、彼に必要とされる。人間にならなければならない。静かに決意していた。
━━始業式を終えた翌日……、
学園長エドナ・カルメン・オードリーから、新たな試練が発表された。例年学年ランキング後期の、開会が告げられるが、様相が違うことに、学生達は戸惑う……、
『今年度、学年ランキング後期は、トウナメント方式で、行う毎に決まった、と同時にさらに、『オールラウンダー』候補参加と、四天王座争奪戦杯を。同時開催とし!、優勝グループには、試練を1つクリアしたと認めます』
大きな波紋が、学生達に広がった。
━━その日の内に。
トーナメントルールが、各学年部隊、『オールラウンダー』候補者に配布され。皆絶句していた。①参加者は、1名以上5名以下であること。
②参加者の内1名は、部隊所属か又は『オールラウンダー』候補者であること。
③試合形式は、5種の種目から、3種目以上勝利したグループの勝利である。また引き分けを含め2対2の場合。決戦を行い、5種目から抽選で選び対戦する。
④5種目は、
総合武術戦、
魔導兵戦、
マラソン勝負、
クイズ、
モンスター討伐、
⑤現四天王『オールラウンダー』候補、また候補者が、トーナメントに不参加の場合。資格を失う。明記したのである。なお詳しい内容は、来週発表する。
意味不明な内容に。ただ頭を抱えた生徒達は。先生達に詰めより、対応に追われ、それはもう文句の嵐だった、
「学園長!、あのトーナメントといい加減なルールは、なんですか」
珍しくバレンタインが、顔を真っ赤に息巻いていた。そうだと他の教諭も頷く、
「あらそうかしら?、あれなら武力バカの『オールラウンダー』四天王から、椅子が盗りやすいし。今までのように。学生同士で、情報規制したり、わざと候補者に教えないと言う。足の引っ張り合いや、不正が無くなるわよ?。さらに言えば、仲間の大切さを知る。いい機会になると、思ったんだけど?」
勢い込んで来た先生達は絶句。言われてみたらその通りだと気が付いた。
「あれには、色々な穴をわざと作ってあるの。それに気が付かない人に『オールラウンダー』の称号得る資格も、候補者に選ばれる。意味も無いわよね?」
「うっ……、しかし……」
まっとう過ぎる正論に、バレンタインは、目を白黒させていた。どうせ何時もの勢いだけで決めたと。勝手に思っていただけに。戸惑うばかりだ。
「そこにある通り。候補者が参加しない場合は、候補資格を失うわ。でも貴方達も知っての通り。元々やる気ない生徒が、実は多いのよね~。そのためのふるい分けなのよ~。意味は分かるかしら?」
⑤のルールはかなり厳しい一文であった、それを推し進める理由が、エドナにも。アレイ学園にもあったのだ、毎年沢山の生徒が、入学するようになった弊害……。名目だけの候補者が、数多く増えたことにある。
『オールラウンダー』候補者には様々な免除、特典が与えられるが、この数年……、増えすぎた候補者により。学園運営に。多大な圧迫があった。
「おそらく候補の半分は辞退するわね。そ・う・な・る・と~」
ザワリ教諭達も。気が付いた、にやり悪巧みした商人のような笑みを、バレンタイン含め。全員が浮かべていた。
「納得してもらった所で、よろしくね~」
全員がうんうん。やる気に満ちた顔をしていた。学園の財政回復は、すなわち教諭達の給与アップを意味してる。だから素直に納得していた。
混乱するかに思われた。トーナメントは、教師全員一致で、あっさり承認され、チーム募集は休日明けから、3日間の間だけと、通達されたのだった。
━━女のような美しい顔立ち、皮肉気な顔を。忌々しそうに舌打ちした。ランダルフ・フィレンツェは、華の国ダナイの生き残りで、将軍家に使えていた、棍の大家、フィレンツェ家の跡取り息子でる。
「あの糞学園長!、糞たれなトーナメントだと、ふざけるな。何の為に上手く立ち回って、面倒を避けてたと思う……」
ギリギリ歯軋りしていた。確かに見切りの良さに。自信があるが、他の候補者と真正面から対戦して、勝つ自信は無く。また散々裏切り行為をしてきた。ランダルフは孤立していた。窮地に立たされたのは、ランダルフの方だった。自尊心の強い彼に。選択肢は少ない。1人で参加するか、四天王の座を諦めるか……、
「糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞!」
破れかぶれに。参加するしかないのだ、逃げれば、自分はこの学園にいられない。理解していた。
「やってやるよ!、たとえ1人でもな」
憤るが、顔色は悪い。レイラの冷徹な策は、安穏を許さない、しかもシンクを既に仲間にしていた。最早最大の敵こそ、魔王の愛娘と……、
━━四天王最強の男。二年ミル・ダルフォン・カーリア、
聖人アレイ。12人の高弟子が1人、カーリアの子孫で、長らく放浪の旅に出て、行方不明だった、リブル・ダルフォン・カーリアの実子。伝説では初代ラウ・ガイロンが、生涯敵わなかったと言わしめた。武人を祖に持っていた、
赤い髪、飄々とした風貌、一見優男にしか見えないが、林道の木々の間。大きな枝を張り出した木に背を預け。静かに寝入っていた。そんなミルの身体に栗鼠と小鳥が膝に乗って、じっと小さな目を向け、小首を傾げていた。面倒だが目を開けずに。
「何だよ光、月?」
小首極彩色の小さな翼を。小刻みに動かし。ゆっくりホバリングしながら、ミルの顔の前を飛ぶ光の女神の使いは、「チチチチチチ!(いい加減起きて!)」
文句一杯な小鳥。呆れたような仕草で、自棄に人間臭い栗鼠は、小さく嘆息して、
「ミルちゃん貴方。ちゃんとトーナメントのエントリーはしてよね!」
腰に手を当てて、喋っていた。面倒そうに、寝たままそっぽ向いたミル、もうと言わんばかりか。栗鼠はミルの顔に回り込み。顔を尻尾の先で、こちょこちょ動かす。嫌がらせに。我慢出来なくなり、
がばりと目を冷まして、二匹を睨んだ。二匹はミルが生まれる前から、父リブルのお目付け役だった、それぞれ光の女神、月の女神より、代々ミルの当主になる。人物に代々仕えていた、神の使いである。それには理由があって、ミルの先祖サンレイ・カーリアは、四体の魔神に囚われてた、二柱の女神を救い出し。女神達をも。一瞬で虜にしたと逸話がある程の。美男子だった。今も肖像画が残されていた。
歴史書にあるが、初代サンレイ・カーリアは、神界に登り。二人の夫となったと、言われている。また逸話として、ダルフォンの家名は、後にカーリアの偉業を称え。バレンシア王から与えられた。
あまり表に出ないが、アレイク王国屈指の忠臣と呼ばれ、また重鎮の1人に。数えられていたが、先代のリブルがあまりに破天荒な性格で、冒険好きの道楽者。行きずりの土竜騎士を妻にして、生涯を冒険の旅に費やし。ミルが物心ついた頃に他界。途方に暮れてた親子を。祖父スイーズが苦心してようやく、探し出し。今に至る。
「わかったよ~、出ればいいんだろ。出れば」
ものすげー嫌そうな顔をしていた。
「チチチチチチ!(当たり前です)」
「そうよミル。貴方なら余裕で『オールラウンダー』になれるでしょ?」
二匹はプンスカ怒り。浸透中である。やれやれと面倒臭そうに。
「んな面倒な称号いらんわ!。自由が無くなる」
ミルも父の遺伝子を、色濃く受け継いでいた。卒業したら家を継ぐ事が。決まっていたが、どちらかと言うと。気ままに暮らして行ける。冒険者向きな性格だ、でもそれでは食べてく事が、大変で、母も苦労していた。だから母の為にもきちんと。家督を継いで、安穏と暮らすのが夢である。意外と達観したミルであった。
正直『オールラウンダー』の称号も四天王の座すら、捨てても構わないと考えたが、如何せん敬愛する。祖父スイーズが、凄く喜んでくれたのだ。悩んだが、結局二匹に言われなくても。参加するしかない。曲者揃いの四天王と戦うのは、正直面倒だが、仕方ない。噂のシンクと戦ってみたいと言う感情もある、思案している時だ。強い気配を感じた。そちらに目を向けると、驚いたように目をしばたける。現れたのは三人の女生徒。何れもかなりの使い手だと感じた。
1人は白銀の髪、美しい顔立ちの噂の魔王の愛娘リムル、
彼女を守り控えるような立ち位置。緑かかった髪の男装の麗人エルマ。栗色の髪、可愛らしい風貌でありながら、自身の背ほどある。大剣を背負った。チンマイ少女が下から上目線で、じろじろ無遠慮にミルを、観察していた。
「へえ~これは驚いたわ。まさかこれだけの使い手が、まだ隠れてたなんてね」
豪雪に咲く。雪月花のように。冷え冷えと微笑したリムルの眼差しに。ゾワリ悪寒を覚えた程。僅かに身体を動かし。警戒感を強めた。
「へえ~今の気付けたんだ。神の使いまで使役してるようだし。案外掘り出し物かもね~エルマ」
リルムの傍ら、驚き一瞬顔色を変えてた、男装の麗人は、静かに苦笑して、
「これは楽しみになりましたな。お嬢」同意した。訳も解らないミルは、なんと表現したものか戸惑っていると。
「ミルと言ったわね。貴方~、私達の仲間になりなさい。そしてシンク達を倒す。手伝いをしなさい良いわね?」
女王様もかくやと、冷然と命じられ。呆れを通り越して、どう反応していいか戸惑ってると。
「リムル。この程度の実力では、今のレイラや、シンクに敵わないのではないか?」
栗色の髪、チンマイ少女に言われて、自尊心をくすぐられた。やや険を抱くのも仕方ない、素早く枝から降りたミルに対して、腕組みしたままのクルミは、微笑すら浮かべていた、
「チチチチチチ!(気を付けて)」光が警戒するように注意する。チラリ小鳥に一瞬目を向けた瞬間。ブワリ烈風を感じて、背筋が凍った。僅か数センチ、首筋の真横に大剣が、ぴたりと止まっていた。凄まじい力量を目にして、背に冷たい汗が流れた。いつの間に……、小さく唸る。
「ほらなこの程度、シンクならば避けていた。お前の弓矢に気が付かなかった時点で、役不足ではないのか?」
驚き、羞恥、それ以上の好奇心が、ふつふつ沸き上がる。
「確かにね。でも彼が動かなければ、あの栗鼠は、死んでたのも確かよ?」
ザワリ嫌な予感がして、もう一匹が、居ないことに。ようやく気付いた。木々を見上げた瞬間。栗鼠の月が、宙に浮いたまんまじたばたしていた。
「なっ何を……」
ハッとして、ミルは身軽に木々を登り、月の手足の僅かな隙間に、俗に短矢と呼ばれる。五本の矢が、細い枝に刺さっていて、身動き出来ずにいた。恐怖ですっかり涙目の月。
「いつの間に……」
ハッと息を飲んだ。彼女達は、なんと言った?、ニマニマ顔に笑みが広がっていた。
「おい!、さっきの話は本当なんだな?」
急に興奮した顔をしたミルに。三人が顔を見合せる。
「神速の矢を、避け、切り落とすって話。本当なんだな?」
なるほどレイラの情報通りである。ミル・ダルフォン・カーリアには悪癖がある。自分が及ばない。圧倒的な実力を目にした瞬間、またそれ以上の実力者がいると解った瞬間。見境を無くす。「ええ~シンクならば、全て切り落として見せるわ」
自身満々に言われ、最早ニヤニヤが止まらない。
「よし!、手を貸してやる。その代わりシンク・ハウチューデンと戦わせろ、それが条件だ」
三人は同時に。ほくそ笑んだ。
「ええ……、構わないわ」
それこそが望み。レイラ・バレスの甘言に乗った、三人が望む結果を得られる。可能性を夢見れる。
『オールラウンダー』最強と呼び声も高い。ミル・ダルフォン・カーリアの隠された能力こそ。シンクと対極にある才能。相手の能力を、半減さしてしまえる。最早異能と呼べる。力があるのだが……。カーリア家に。掛けられた呪いである。女神に愛された故の……。
━━レイラが、三人の元を訪れたのは……、
3日前になる。
突然クルミの宿舎を。訪れたレイラを、戸惑いながら出迎えたクルミは、レイラの申し出に驚き、そして快諾した。
「シンクの傍らにいるのは私。レイラ貴女達に負けない!」
「ええクルミ。友達だからこそ……」
二人は好戦的に笑う。相手を倒し必ず勝ち取ると誓う、
━━数時間後……、リムル、エルマの住まう宿舎。
レイラの突然の訪問に対して、待ち構えてたリムル。鋭い先見性のある彼女ならば、ある程度行動を読まれるのは、仕方ない。
「その様子では、エドナ学園長、クルミさんを説き伏せたようね?」鋭い切りつけるような問いに、ほっそりした顔を静かに微笑ませて。
「ええ。気が付いてると思うけど……」
「まさかあの双子を抱き込むとは、エドナ学園長の気が知れませんが……、貴女も逆手に取るなんて、怖い女ね」
クスリ楽しそうに笑っていた。一口紅茶をゴクリ飲んで、
「貴女の話に乗りましょう、それでどうなさるつもりなのかしら?」
そう言われて、レイラも静かに微笑み。『オールラウンダー』最弱ながら最強の四天王、ミル・ダルフォン・カーリアの能力について語る。
リルムは、レイラの話を聞いく内に。あまりに奇抜なアイデア、呆れを通り越して、感心していた、
「二年に。そのような人物が、隠れてたなんて、クスクス面白いわ♪」
そして提案を吟味した上で、不敵に微笑み。
「良いでしょう。『オールラウンダー』に興味はありませんが、確かにいい考えですわ。そこは認めます。ミルのことは任せなさい。必ず仲間にして見せるから、貴女はシンクを引っ張り出すのよ?」
それが一番の難問である。だが最大の難問は、最初の段階で、クリアしていた、
━━更に2日前。シンク・ハウチューデンが、中央大陸から、翼人の女性を連れてきたと、随分噂が国中に広まっていた。レイラも驚きはしたが、
シンクから説明があって、みんななるほどと、納得していた。その日もクルミさんと、朝練が終わったのを見計らい。「少し良いかしら?」
「あっおはようレイラ♪、構わないよ」
二人の挨拶となってる。はいタッチを交わし。小さく笑い会う。気の会う仲間であり。一目置いてる女性と。シンクは認識していた。だからレイラから面白い話をされると、興味が沸いた。
二人はシンクの案内で、二年生から使える。カフェテリアで、お茶を飲みながら、話した。一通り静かに話を聞いて、ニッコリ称賛の眼差しでレイラを見詰め。
「凄いよレイラ!、確かにね。このままランキング戦を。ただ見物してるより。楽しそうだし。うん構わないよ。ぼくはレイラの考えを全面的に。支持するよ」あっ……、胸の奥がカーっとなって、心臓の鼓動が、ドキドキしていた。真っ直ぐ顔すら見れなくなって俯いた、
━━ドキリ、レイラが俯くと。束ねてる髪の間から。赤くなってるうなじが、あまりに綺麗に見えて、シンクまでドギマギしていた。
「ありがとうシン……、見てて、私の采配をね」
ゆったり顔を上げたレイラは、ほっそりした面立ちを。自信に輝かせ、晴れやかな笑みに彩らせて。シンクを魅了していた、
━━休日を挟み。トーナメント。エントリーが開始され、多くの生徒が、申し込みする一方で、多くのリタイアが、後を立たず。学園運営に携わるバレンタイン他、先生達は嬉しそうにほくそ笑んだ。「バレンタイン教頭♪、これは予想以上の成果ですな~」
「ええ~全く。トーナメントの是非に関わらず。悪くないやり方だと、言わざるおえませんな~珍しく」
本音がポロリ出た。二人の教諭は、今にも揉み手をしそうな勢いだ、
中央事件から、アレイ学園は、学生が増えに増え。財政が増える一方で、様々な制度が、仇となり、教諭の給料値上げが、厳しかったのだ、
一応……学舎故に、我慢はしたが。給料値上げが、ちらつけば、それも仕方ない。
一方で、恩恵を受けてた学生達は、頭を抱えるばかり、個人でトーナメントに無謀に挑戦する。
学生もいるにはいたが、それは厳しい現実との狭間に。苦しむ事になっていた、自分の実力を天秤に掛けて、不名誉を得るか、大人しく引き下がり、栄誉を歌うか、二つに1つの選択、だが問題があった……、2つのグループが、エントリーしたためとも言えた、
一つはレイラ・バレスをリーダーにした、一年生グループ。
個人ランキング戦。前期1、2位。ヒナエ・バウスタン、フィア・ガイロン、同じ部隊所属。ノノフレイミ・ラネス、シンク・ハウチューデンの名が連なる。
対して、二年中心のリルム・アオザ・パルストアをリーダーに、二年個人ランキング戦2位、同じ部隊所属のエルマ・ロドラ、昨年『総合武術大会』優勝者、撃鉄の剣豪クルミ、
『オールラウンダー』候補四天王が1人。三年のローザ・リナイゼフ、
四天王最強と言われる。ミル・ダルフォン・カーリアの名を見て、学生達は戦々恐々とした。
この二グループが、早くも優勝候補と噂された。たまたま試練をクリアし。にわか『オールラウンダー』候補者は、辞退するしかなかったのだ、アレイ学園には、理念がある。強き者を育てる。深い願いが……、
━━5日後……、
トーナメント表が発表された。全学年で、19チーム。大会側の意向で、リルムチームには、シード券が与えられ。二回戦からの参戦と発表され。参加者に少なくとも。少しの安堵を与えた。
レイラグループの生け贄。もとい対戦相手は、同じ『オールラウンダー』候補四天王、ランダルフ・フィレンツェ他、候補者四名の同盟チームだった。
「糞!、よりにもよってレイラだと、クッ……、やってやるよ!、絶対勝って吠えずら掻かしてやるよ」
はてさて彼は、何か勘違いをしてるようだが、出場チームは、誰もが一癖、二癖ある強豪ばかり、どうなることか……、
━━予定通りのトーナメント表を手に、レイラ・バレスは、元シャイナ部隊=新フィル部隊となった。部隊長フィル・マノイ、カノア・テレグシア、メグ・ファノアと会っていた。
場所は、東通りにある。フィルの屋敷で、彼女の部屋だ、家人は、レイラが来るや、満面の笑みで、出迎える。それと言うのも。あのシャイナが行っていた事が、親達に暴露され、王都の商会長フォルノ・マノイ他。三人の親は、頭を抱えたのは言うまい、それを救ったのがレイラであり。再び娘達の輝く。笑顔を見れて、安堵していた。表面では三人の親達は、レイラに感謝の念を抱く一方で、
彼女の背景にある。コネにほくそ笑んでさえいた。娘達を誉めてたと呆れた口調で、メグが不貞腐れれば。カノアを苦笑させた。
「それでも……、泣かれるよりはましよね」
しみじみフィルが言えば、二人もそうねと。安堵の笑みを浮かべた、
「貴女の言う通り。部隊を編成して、三年の個人戦を。どうにか勝た途端、周りからの目が変わりましたわ、一応礼を言います。ありがとうレイラ」
頭を下げるフィル。一時は部隊長となって、さらに周りからも、凄まじい侮蔑を受けていた、頑張れたのは彼女達、元シャイナ部隊のメンバー。共通の現実と、三人を中心に、よく部隊を纏めたと感心する。
「気にすることは無い。私はあくまで、下準備をしただけ。貴女達の頑張った結果に。過ぎないわ、それよりも……」
トーナメント表を見せて、三人の顔に厳しいが、楽しそうな笑みがあった、
「貴女と、決勝戦を戦う日が、楽しみよレイラ」フィルの強気な発言に、唇を綻ばせ。
「魔王の愛娘を倒し、貴女達と、決勝戦を楽しみにしてるわ」
それと言うのも順当に。トーナメントを勝ち進めば、レイラグループ。リルムチームは、準決勝での対戦になるが、フィル達と対戦するには、魔王の愛娘に。勝って見せると言った。レイラの豪胆さに。三人は改めて、身を震わせ。戦いた。
━━トーナメント戦当日。
学生達は、競技5種目の難しさと、仲間の大切さを知ることになった。
それは勝ち星を得る競技と、星を失う競技を、いかに見極める必要性が強く、リーダーの分析力、判断力を問われるからだ。時に上に立つ者には、必要不可欠の才能である、レイラがエドナの心を。動かした点。
『素養を見極め、判断する材料になります』
『確かに、素晴らしい考えだわ』
教師と教え子は、共犯めいた笑みを浮かべていた。
戦いは、エントリー時から、始まっていた。それに気が付いたのは、先見性のあるリルム他、一部の生徒のみ。部隊のスカウトを駆使して、各チームのデータ集めさせ、分析をエルマとしていたら、レイラのあざとさに、ただただ感心するばかり。それと言うのも。リルムチームはシードだ、それ故。トーナメントが始まり。日程を確認したら、14日後が初戦と。待たされた上、勝ったとして。二回戦は数日の準備期間が、与えられるため。準決勝まで勝ち進めば、一月近いインターバルを課せられる。
それにより問題が浮上する。初めてのトーナメント。リルム達には、勝ち抜くに必要な。経験値が与えられないと。分かった組み合わせだからだ。対してレイラグループは、たっぷり経験値稼ぎが、得られる組み合わせ。これには苦笑を隠せなかった。おそらくレイラの画策だろうは、容易に想像が出来た。だがその分。分析する時間が、たっぷりあるのが救いだ、
「なかなか一筋縄では、行かないわね……」
小さく嘆息しながら、クルミ、ローザを伴い、コロシアムの観覧席に向かう、
トーナメント初戦は、三年、四年生グループの組み合わせ、それぞれ個人ランキング上位に。名前が上がる生徒を。仲間にしていた。強豪グループ同士の戦いだ、5競技は、広大な広さを誇る。コロシアムと、学園内で行われる。
『マラソン競技に参加する生徒は、コロシアムの入り口に集まってください』
リルムは、マラソン競技の説明項目を、なぞりながら。
「コロシアム外周を四周って……、今気付いたけど、一周軽く10キロあるわよね。それを四周って……」
クルミが呻いた。体力に自信あるクルミとて、四周は厳しい。
『モンスター討伐に参加生徒は、コロシアムにある馬車前に。おまり下さい』
続いてのアナウンスに、従って、二人の生徒が、馬車に乗せられ、コロシアムの中央にある。中央大陸にある。神殿を模した建物。前期まで、傭兵ギルドとして、使われてた施設に向かう。
突然、頭上にある魔法投影装置に。二人の生徒が、神殿の入り口に着いた。瞬間が映し出された。中はちょっとした、ダンジョンになっていて。無数の魔物が徘徊している映像を見て。トーナメントに参加した生徒は、皆息を飲んだ。
━━二人は順番に。1人づつダンジョンに降りて、魔物を討伐していく。持ち時間は、それぞれ一時間。無論魔物は、魔導兵の技術を用いた偽物。制作側は『院』生による。力作である。魔物の強さは、最大A~Fクラスとなっていて。倒した魔物の得点による。タイムアタック。またオールクリア、殲滅の場合は、そのタイムにより優劣が決まる。
「あら、これ面白そうね♪」
「確かに、良く考えられてますなお嬢」二人は興味深そうに。ダンジョンの様子を見ていた、
『クイズに参加する。生徒にお知らせします。係員教諭の元にお集まり下さい』
今度は、クルミがクイズの説明を見た、内容を見ると。毎回お題が変わるようで、主に『捜索』『宝探し』『間違い探し』の3つを元に、無数の問題から、生徒がカードを引いてから、開始され。どちらか先にクリアした方の勝ちとなる。相当難易度が、高い競技になっていた。
無難なのが、総合武術、魔導兵戦である。どの競技で勝ち星を上げ、また敢えて負け、他の競技を優勢に終えるか、なかなか考えられてると、トーナメントが始まり、生徒誰も気付いた。
明日以降━━、賭けの元締めも。現れるだろう。予感を抱いた、
━━初戦の内容の報告を受けてた、エドナ学園長は、バレンタイン教頭、他の教諭の予想以上の成果と。内容に、
「これは予想以上ね!、この調子で、選別した特別クラスを、貴方達にお願いするわ」
「ああ~任せて」よ」
双子は楽しげに。同時に笑っていた。
━━翌日。
目端の利いた学生が、早くも賭けの胴元に名乗り出た、主に『オールラウンダー』候補を諦めた。学生達による物だ、レイラに誘われ。ヒナエ、フィア、何故自分が選ばれたのか、戸惑い隠せない。ノノフレイミの四人が二回戦の観戦に来ていた、シンクが居ないのは、観察官として、此度のトーナメント開催に、多忙を極めてたからだ。
観察官とは、一学年に1人。優秀な生徒に。準教諭の権限を与え。学生の相談役。教諭の代役、いわゆる雑用係である。
「あっあの~、レイラさん良いかしら?」
恐々レイラに声をかけるのは、気弱な顔を隠せないフレイミに、にこやかな笑みを向け。
「構わないわフレイミ、良かったらみんなのように。ノンと呼ばせて貰えれば助かる」
あっ、少し照れ臭そうに、でも嬉しさを噛み締め、ええ~頷いた。
「ありがとう、私のことはレイラと呼んで下さい」
ほっそりした面立ちに、労る優しい笑みが浮かび、フレイミはちょっといやかなり嬉しさに、赤くなる。
「レイラさ、いやレイラ私なんかで良かったのかな?」疑問はそれだ、他のチームメンバーに比べたら、実力は足りないと、認識していた。
「ええ。貴女じゃ無ければ、魔王の愛娘に勝てないもの」
とんでも無いこと言われ、唖然とした。
「そっ、それはいったい……」
やや混乱して、あたふたするフレイミに、クスクス笑うが、レイラの目は、獲物を前に。てぐすね引いて、待ち構えてた、ハンターのようで、ブルリ自分の身体を抱き締めていた、フィア、ヒナエも何とも言えない顔で、苦笑していた、
「レイラって、策謀回らせてるとき、スッゴく生き生きしてないか?」
フィアの言葉に。黙ってコクコク頷いて、レイラの裏の顔を。夏休み間近に見てきた二人は、魔王の愛娘とは違う。怖さを。身に染みて理解していた。
━━第4戦まで、恙無く終わり、
第5戦は、遂に四天王対決。ランダルフ・フィレンツェと候補同盟vsレイラチームの対戦。
かなりの好カードに、朝から話題は、シンク・ハウチューデンが、どの競技に出るかである。最早勝敗は見えたと、賭け屋は、その線でオッズを出す始末、
1番人気総合武術1、2倍。
2番人気魔導兵戦1、5倍。
3番人気モンスター討伐 3、0倍。
4番人気マラソン5、0倍。
5番人気クイズ7、0倍。
と、なっていた。
「ちっ。決まってるだろ、今年の『総合武術大会』優勝者だ」忌々しい限りだが、直接対決で、勝てる気がしない、でも嫌ってほど走って来たから、マラソンも嫌だ……、だから無難なモンスター討伐にした。これなら見切りの良いランダルフに、勝機がある。
━━そして……、
オーダーが提出しされて、ランダルフは、愕然とした、
総合武術ヒナエ・バウスタン、
魔導兵戦フィア・ガイロン、
マラソンレイラ・バレス、
クイズノノフレイミ・ラネス、
魔物討伐シンク・ハウチューデン、と発表されたからだ、
魔法投影装置に写された、オーダー表示は、3日目から、行われるようになった、
━━ザワリ驚きの声が上がる一方で、何人かガッツポーズする生徒と、頭を抱える生徒の明暗が別れた瞬間だった。
━━少し前。オーダーを見たノノフレイミ・ラネス、ヒナエ、シンクは以外そうな顔で驚いた。
「わっ、私がクイズですか……」
おそらく。フレイミは、マラソンをやらされると……、勘違いして、あわあわし出した。
「うん!。面白いと思うよレイラ」
ニッコリ称賛の笑みを向けるシンク、愛しい男に。お褒め頂き、潤んだ眼差しを向けて、
「シン!、私の采配、その目で見ててね♪」
同性が端で見て。ドキンとさせる魅力を、今のレイラは放っていた。
━━後に。七人の妻の1人。軍師レイラ・バレスの才能が、開花した瞬間であった。
━━『クイズに参加する生徒は、係員の教諭の元に向かって下さい』
魔法の風により。学園中に、アナウンスが流れ。
「あっ、あたし、」
びっくりして、血の気が失せたフレイミ、その手をしっかり握り。
「貴女なら大丈夫。自分の才能を信じて」
真剣な眼差しで、フレイミの目をじっと覗き込み、ほんの数秒、もしかしたら1分程度の僅かな時間だったが、緊張が溶けていた。
「あっ、ありがとうレイラ、頑張ってみるね!」
ノノフレイミにとって、人に信頼されること、それは喜びである。ほんのりそばかすのある。頬を赤らめ。気合いを込めて、フレイミは力強く。歩を歩みだした、
初老の教諭が、フレイミと、男子生徒を待っていて、木箱を差出し。
「どちらでも構わない。中身を。一枚引くが良い」
ちらり男子生徒は、フレイミに聞くこともなく、さっさと紙を。一枚取り出して、教諭に渡した、「うむ……『捜索』の7か、ほほう~、なかなか難しいお題じゃが、頑張ってやりなさい」
二人に同じ物語が、書かれた一枚の紙と、それぞれ違うヒントが渡された、
「合図と共にスタートしなさい、良いかね?」
二人が同時に頷いた瞬間。音だけ鳴る。花火が上がった。ほぼ同時に走り出したが、フレイミはわざと出遅れ。素早く気配を断って、木陰に消えていた、
男子生徒は気が付かず。ただ闇雲に。走り去っていた、素早くヒントを覚えたフレイミは、物語を何度も読み込み。おかしな部分だけ、ペンで印を付け。ヒントと照らし合わせた、
「これ……、ヒント一つだけでは、解らないようになってるんだわ、多分文章に答えが書いてある……、でも先生は『捜索』と言ったか……」
あっと気が付いた、レイラが何故。クイズにフレイミを。選んだか、それはフレイミの才能。分析力を見込んでの采配で、彼女は考え過ぎるきらいはあるが、理解力がずば抜けてると、シンクが彼女フレイミを、そう分析していた、覚えていた。
『探索』今回のお題の裏にある。狙い。教諭の言葉もヒント……、結論した。「多分……、ヒントはお互い違うんだわ」
いかにして、先に相手のヒントを見るか、だから難しいお題と口にしたんだと、気付いた。
「これって鬼ごっこみたい……。」
しかも相手に気が付かれずに……。密かに行う。それこそフレイミの得意分野だと理解した。
それからさほど時間掛からず。男子生徒を見つけ出し。無防備にヒントを見てたから、あっさり盗み見て、答えを知った。
時間以内に、フレイミはアイテムを見つけ出し。勝利していた、
続く総合武術でヒナエ、魔導兵戦フィア、マラソンレイラと四連勝、残るモンスター討伐で。ランダルフが、全魔物殲滅し。一矢報いたかと、場内大騒ぎとなったが、シンクの番にとなり、僅か7分40秒。
『新記録。モンスター殲滅タイム僅か7分41秒の壮絶タイム!』
今のところ。モンスター討伐で、殲滅出来たのは、二名のみ、ランダルフ58分48秒、時間一杯だった、それに対して、シンクのタイムがあまりに。凄まじ過ぎて、ざわめきが上がった。
『皆様にお知らせします。シンク選手のタイムが、破格でしたので、公平を期すために、ランダルフ選手と同時ライヴ映像として、流します』
アナウンスが入り。ターフビジョンに、二人の映像が流れた。観客に同時に見せることで、ざわめきが静寂に変わった……、ゴクリ……、唾を飲み込む音も生々しく。ただ見入っていた。
━━時間はシンクが、ダンジョンに降りるまで戻る。両手に下げたのは双剣、
『我が四肢に、力、スピードを与えん、二重魔法ブースト』 シンクが使ったのは、2つの別々の補助魔法を、一つに合わせた。高等魔法だった。凄まじい勢いで、走り出したシンク、現れる魔物を、見つけた瞬間、魔物が身構える。また攻撃されるまえに。一切無駄の無い動き、流れるような、一緒の演劇を見る。まるで物語の一場面。それほど圧倒的な力量に、最早言葉を失っていた。
誰もが胸中に浮かべた、夏休みに。為した偉業を、間近で見たような。高揚感に包まれていた。
その時━━。
凄まじい咆哮が、響き渡り。最大の敵。Aクラスに分布される。ワイバーンが、突然シンクを襲ってきた、紙一重で、後ろ足の攻撃をかわして、双剣で切り付けたが、飛行するワイバーンは、旋回能力が高く。あっさりかわされ。意外な広さがある。洞窟の上空に滑空した、
ギロリ……、殺気漂う鋭い眼差し。まるでシンクを、射殺すように細め、獲物を狙う。鷹のように━━、
一気にスピードを上げ、急降下した━━、
ワイバーン最大の攻撃は、巨体を急降下させ、自身の体重+落下スピードで、走る馬をも。一撃で仕留めるという。強靭な爪の殺傷能力と、落下に耐えられ。また手のように掴める足、
岩盤すら削り取り。石が周囲に飛散する。魔法の石礫に近い威力の散弾を、幾つか身に受けたシンク、痛みに顔をしかめながら。素早く癒しの奇跡を願い。怪我を癒した、その時間10秒も。遅滞がない、
再び。ワイバーンが滞空し。急降下する瞬間を狙い。炎の矢をワイバーンの全周囲。ぐるり出現させ、逃げる間もなく。翼を穴だらけにして、地に落とした。
おおお~!、ざわめきと驚きの声が上がった、
流石は魔獣ワイバーン。頭から落ちなかった為。致命傷は間逃れた、怒りを露にし。起き上がろうともたもたしてた、
『因子を解き放つ、業火』 ワイバーンの周囲に残ってた、魔力の因子が、解放され。焚き火の如く。身を焼かれ。苦悶に嘶く。『終わりだ……』
双剣を下段に構えてた、徐々に魔力で輝く剣を。二度放つや、ワイバーンの頑強な身体が、十字に斬られ。どうと崩れ落ちた。
「あの技はまさか……」クルミが驚きのあまり呻いた、
シンクが放った技。クルミは虚実の最大の実技。魔力を剣に集め放つ、大技である。使いどころが難しいが、破壊力ならば、神の打った鉄、オリハルコンですら。破壊出来ると父は言っていた。
「あれは母と同じ技……」
一度だけ。シンクが見せた構えから、どのような技が繰り出されるか、分からなかったが……。母が風の魔法を、収束した衝撃波、シンクのは、魔力を収束して、魔力の刃を凄まじい斬撃の技と違いはあるが、根っこは全く同じである。さらにクルミを『総合武術大会』決勝で倒した技は、虚実だと。以前シンクが言った言葉を思い出して、自分の血の気が、引く音を確かに聞いた。
「私がシンクに勝つには……」
━━オオオ!、大歓声に迎えられ、それに応えながらシンクは、満面の笑みと称賛で、チームメイトから出迎えられ、少しならず。照れ臭そうに笑っていた……。
エピローグ
━━翌日。
エドナ学園長から、
アレイ学園で、新しい教室が、作られると発表があった。それは……昔の『特待生』クラス、学年に関係なく。一年~三年生徒の中から、30名が選ばれるクラスだが、選ばれた生徒にだけ。知らせると突然先生達に言って。戸惑わさせた、新しいクラスを。部外秘にした理由は……、
『学園部隊』設立のため。来春行われる。疑似神討伐。アレイク王国の後衛部隊として、万一に備え。設立した背景があったからだ━━。
生徒達に不安を与える訳にはいかず。また教諭には、狂喜の双子が就任した理由もあった。
新たな試みトーナメント戦。狂喜の双子が、新しい教室の先生に就任と、再び騒動の渦中に……、レイラ・バレスが描く。シンクとの夢とは、背徳の魔王が送る物語。同じ物語か、別の物語で、




