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少尉ですが何か?  作者: 背徳の魔王 人と話すうちに性格から行動パターンを読み取り。隠された本性を暴き。時に未来を予言することからリアル魔王と呼ばれ。材料と調味料の分量で味がわかるので、絶対味覚と本人が詐称する一般人
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閑話別れは悲しいですね何か?

━━プロローグ。




━━北大陸レオール連合。南ターミナルの村。


僅か数年で……、地下迷宮の住人との交易で、素晴らしい発展を遂げ大きな町になっていった━━、


竜王プライムを。町の竜厩に預けて、妻と通りを歩いてると……。

多くの商人が往来を歩み。笑顔の人々で、にぎあっていた。「発展の早さに驚かされるな……、僅か数年。されど数年か……」

リブラは、往来を不思議な面持ちで歩み。妻ララと久しぶりに。ゆっくりした時間を過ごしていた……。



何故妻を伴い来たのかと言えば……昨夜何かしらのきっかけか忘れるほど些細な違和感。妻に話したら。

「久しぶりに。暴君に会いたいわね!」様々な理由もあって、今朝━━竜王ブライムに妻を乗せて、空の散歩がてら、久しぶりに、ターミナルの街を訪れたのだ、



最近━━暴君の様子もおかしい……、何やら不思議な予感を覚えた……。何故か昔を思い出すのだ。大切で、くすぐったい思い出……。



━━リブラ・ハウチューデンは孤児である。



━━孤児院の前に捨てられ。拾われ。



━━数年を孤児院で暮らした、実父と。実母の顔を知らない……。リブラは、ハウチューデンの家名を、養父から受けついだ……、


━━リブラが、産まれて初めて、尊敬出来る男と。認めたのが。養父シノメ・ハウチューデンである。



養父は、下級貴族で、騎士階級の閑職にいた。いわゆる窓際族で。年齢もあり後数年で、騎士の職を辞する。いわゆる定年間際であった、

後は……。田舎で年金暮らしをと考えた時。妻のベリーが、

「一度は……、子供の面倒見たかったわ……」

ぼそり……、哀しげな呟きを吐いた。美しかった妻の金髪は、いつの間にか、くすんだ色になっていた、手にもあかぎれや皺が……、何年も苦労をかけた妻の願い……、シノメは叶える方法を考えるようになっていた。



そして……、



数日悩んでたシノメを、同僚が酒に誘い。話を聞いてもらった。

「実は家内に言われて、養子をもうけた……」

「お前が……」

驚くシノメに。苦笑しながら。酒を一息に飲んで、

「家内は娘が出来たと、それはえらい変わりようで……。なぜもっと早く養子をもうけ無かったかと、後悔してるよ……、子供はいいぞ!、張り合いが出る」

重みある言葉に。シノメは目から鱗が落ちる思いを受けた。



翌日━━。



休日でもあり、シノメは、早速孤児院に。赴くことにした。

「よくいらっしゃいました。シノメ様」

「これは……」

驚き慌てるシノメに。コロコロ楽しそうに笑うのは。アレイク王国の重鎮である。エレーナ大司教本人であった、流石に面食らった顔をした。

「エレーナ大司教様。みずからとは……」冷や汗をかきながら、慌てるシノメに、好意的な眼差しで、柔らかく笑い。

「何を言われますかシノメ様?、大切な我が子を、迎えてくれるかもしれない人を、他に任せられましょうか?」

「それは……」

確かに……、

妙な納得をして、シノメは思わず笑っていた。

「いや~失礼しました。まったく持ってその通りです。是非とも私の養子にと思いました」

実直そのものと、素直な感想と気持ちを口にしていた、これには驚いた顔をして、実に嬉しそうにエレーナ大司教は笑っていた。養子を迎えたいと言うが、実際はうわべだけの者も多く、エレーナ大司教に恩を売ろうと考える貴族が、実に多いのだ。だから貴族階級にある人物は、エレーナ自身で、見極める。それが決まりになっていた。話していても分かる。シノメがどういった人物かが……、聞けばララを養子にした。ローゼン家の夫妻からも、シノメの実直さを聞いていた。

『この方は、話しに聞いた通り。信用に足り……、我が子の行く末を任せられる人物』

エレーナ大司教は、確信した。



シノメが帰宅して、その日の内に。妻ベリーに。いきさつを聞かせた。妻は夫の気遣いを聞き。感激のあまり涙を流し。涙を夫に見られ。恥ずかしくなって、顔を手で覆う……、そんないじらしい妻を。愛しく思い。そっと抱き締めていた。ベリーは、年甲斐もなくときめいた。



翌朝……。

ベリーは、嬉しさを隠せず。朝になるやすぐさま孤児院を訪れた。そこで……二人の男の子と話して、二人を養子に迎えることに決めた。



それがレノンとリブラである。

レノンは生まれつき身体が弱く、

頭は良いが……、偏屈な少年だった、それ故に口も悪く。シスター達からも犬猿されがちだ、

だが……同じ孤児には優しい。そんな変わり者である。



リブラは乱暴者で、悪戯子で、幼なじみの女の子ララだけにしか、心を開いない、気難しいと評判の悪餓鬼で、二人はいわゆるはみ出しものだ。なんでそんな問題児の二人をと、職員に聞かれ。

「あら?、問題ない子供なんていますか」

逆に聞かれ。面食らった。しかしエレーナ大司教は、ベリーと話をしてる様子を目にしていて。素直に喜んでお願いしたと言うから、シスター達は揃って首を傾げていた。

何より。あの反抗的なレノンとリブラが、ベリーと話す内に。穏やかな顔をしたことに。驚きを隠せないでいた。

「エレーナ様あの二人は……」

「あら、当たり前でしょ~。二人は孤児院の子供達を守ってたのよ?」

シスター達は、信じられないと、びっくりしていた。それは仕方ないだろう……、エレーナでさえ暫くは、気付けなかったのだから、それを一目でベリーが気が付いた毎に。嬉しさを覚えた。

「ベリーさん。二人をよろしくお願いします」「此方こそ、大切なお子様を養子に迎えられ、嬉しく思いますわ」

ニッコリ日だまりのような、優しい笑みをする女性だった、



それから二人は、養母ベリーに愛され。数日とせず心を開いた。

「リブラちゃん、あの人が、お弁当忘れたのよ~。悪いけど届けてくれる?」

「ん~いいぜ。義父さんも……、相変わらず忘れ物かよ」

仏頂面で、文句言いながらも仕方なさそうに。お手伝いをする。そんな子で、不器用に夫に甘える様子は、実に微笑ましい。




リブラが出かけると、入れ違いに、寝不足そうな青白い顔したレノンが。図書館から帰ってきた、

「レノンちゃんお帰りなさい♪」眠そうな目を擦りつつ。やんわり養母を認め。小さく穏やかな目をして、ほんのり笑みを向けていた。

「養母さんただいま。リブラの奴見かけたけど、お使いかい?」

「そうなの。うちの人たら、またお弁当忘れたのよ」

困った人ねっと、全然困った顔せずに。朗らかに笑う。レノンは養母の裏表ない笑顔が、大好きになっていた。リブラは養父が好きなようだが……、二人は以前からお互いを認識していた。テリトリーは違うが……、どちらも孤児院の子供達を守っていた……。二人にとって、あくまでも気付かれなくても良かった。それに気が付いたのはエレーナ大司教様以外では……。

養母は、一目で気が付いた。別にみんなの為にしてたことではない、

レノンにとって世話になった、孤児院に。自分なりのお礼だった。養母は言った。

『良かったら、私の息子にならない?』

『なんで僕を……』

わざと嫌悪される対応してた、レノンを選ぶなど……。おかしいと思ったが義母は言った、

『貴方は私の子供として、甘えなさい。甘えて良いのよ』

そんな恥ずかしいこと……、平気で言える養母に、びっくりして、思わず笑っていた。この人と話してると、肩肘張ってた自分が馬鹿な気がした。

『良いのかな?』

つい口に出たのは、素直な気持ちだった。

『良いのよ。だから私の息子になってね』

『……うん』

いつ以来だろう……、こんなに嬉しい気持ちになって、素直に返事をしていた……、この時決めたのだと思う。だから養母の為に……、養父の為に……、自分たち家族の為に。レノンは自分の武器を磨いた。知識を得るためひたすら勉学に励み。アレイ学園に入学して、二年で『特待生』に選ばれた。リブラも来年からアレイ学園に通うが、あいつは勉強向きではない。養父さんの職場近くにある。鍛練場があり。日がな1日見てると言っていた。養父さんの仕事に興味があるようだ……、あいつは妙に喧嘩が強い。あの子……、ララの事が、気になってるのだろうか?、



養父から聞いた話だがララの養子先は、養父の同僚だと聞いた時。リブラの顔を思い出して、小さく笑う。

『あらあらレノンちゃんたら、にやけちゃって、楽しいこと思い出したのかな?』

『うっ……、まっまあ~』

養母に見られてたか。気恥ずかしい。




━━それから十年……、二人を養子にしてくれた、シノメ養父さん。ベリー義母さんは、二人がアレイ学園を卒業して、独り立ちしたのを見送り。早くに亡くなった……。



あれほど悲しい思いをしたのは。生まれて初めてだった……、レノアは人目も幅去らず号泣した。




半月の間。悲しみの底にいたレノンだが……、養母の言葉を思い出す。

『あなた達は、私達の大切な子供達ですからね』

日だまりのような笑みに。レノンの心は救われていた。



レノン・ハウチューデンは、自分の力を確かめるため。機械の国ジエモンに渡り。職人の修行を始めた。リブラとはそれ以来何年も会うことはなかった……。



━━レノンは、持ち前の力を認められ。機械の国でも5本の指に数えられる。技術者となっていた……。



ジエモンの長サノエに呼ばれたのは━━。ジエモンに渡り。8年の歳月が過ぎていた……、

『どうだ、そろそろ一人でやってみるか?』

『本当ですか!?』サノエは言った。高齢の技術者が引退するからと、紹介で、地下迷宮の分岐の街で、工場をやってみないかと言われた。自分の実力を試したいと感じていたレノンは、

『やらせて下さった!』

2つ返事で、工場を受け継いだ。




それから職人として、レノンの名が知られるようになったのは……。数年の月日がたってからで……、



忙しく毎日を過ごしていたある日のこと。リブラがレノンの名を聞いて、訪ねて来てくれたのにはとても驚いた。あれから10年が過ぎ、本当に久しぶりの再会である。

『よお~義兄貴』

リブラの奴はいきなりフラリ現れて、長い年月を感じさせない様子に。安堵したのも束の間。土竜騎士になっていたのには驚いた……。本当に相変わらずで、

『レノン、俺ララと結婚したんだぜ』

唐突に近況を告げ。自慢そうに笑う。子供染みたガキ大将が、大人になったような笑みに、懐かしい気持ちを抱いた。『おめでとうリブラ、活躍は聞いてた、養父さんも鼻が高いだろうな』

素直な気持ちを口にすると、真っ赤になって、照れ臭そうに笑い。

『お前だって義母さんが知ったら、喜ぶぜ、流石は私の息子ですってさ』

『ああ~義母さんなら、そう言いそうだ~』

二人は顔を見合せ。笑いあった、あの日のように……。



それから……色々な事があった、サノエに呼ばれて、ギル・ジータ王国で、海中船を作り。昨年までは移動国クラベリアの巨大船リバイアサンの再建に携わってた。また風の噂で、サノエが中央大陸に渡り。さらに北大陸に渡り。なにやら新しい試みを始めたと聞いて、中央大陸に渡ったレノンは、サノエを追い掛け。導かれるように、北大陸に渡っていた。



本当は迷った……、ちょっとした出会いもあったからだ。結局自分は1人を選んだ。義弟のようには生きられないから。土竜の乗り合い馬車に同乗して、北大陸にようやく到着したのは昨夜である。



昨夜は夜中だったから。土竜ギルドの仮眠室を借りて、一夜を明かした。固いベッドだが、疲れもありよく寝れた。



ギルドの受付に。昨夜荷物を預けてたのだが、それを受け取って。今日は上の街でゆっくりしようと考えて、歩き出した時だ。たまたま見たこともない巨大な土竜の前を歩いた瞬間。レノンに抱きつくように。鼻を押し付けてきて……、

「なっ……、どうしたお前」

目を丸くしたレノンから離れないもんだから……。戸惑うばかりで、周りの職員らしき人に助けを求めた、この土竜のことを知ってるのか、苦笑して、

「もう少し待ってください。そいつの騎士が間もなく来ますから」

「参ったな……」

でっかい鼻がレノンに優しく付けられ。片目だけの円らな優しい目で、見詰められては無下に出来ず。土竜のゴワゴワした毛を撫でていた。



そう言えば━━昔を思い出していた。

「俺は、リブラとは違うんだぞ?」

義弟の名を口にした途端、やっぱりてなタイミングで。土竜は鳴いた。

「おっ……、暴君が鳴くなんて珍ら……、なんだよレノンじゃないか?」懐かしい声を耳にして、レノンは苦笑していた。

「もしかして、こいつはお前のか?」

「そうだ。俺の相棒の暴君だ、会うのは二度目だろ?」

言われてみれば……、土竜には珍しい白い毛をしていたな~。改めてみると。爪は二本なくなって……、まあ~いいさ。久しぶりに義兄弟の顔が見れたと思えば。こいつのお陰だな。再び土竜を撫でると自慢そうに胸を張る。

「義兄さん紹介するぜ。妻のララだ」

「あっ、お久しぶりですレノンニイ」

懐かしい響き……。そうだ……ララだけは、レノンをいつも。そう呼んでたな……。

「エレーナ母様が、会いたがってましたよ」

「そうか……。母さん元気かい?』

「クスクスそれはもう……、今は孫のシンクがお世話になってます」

まさかあの小さな女の子が、孫の話をするとはな……。しみじみ思いつつ。思い出したように。

「オーラルには、何度か会って、話をしてたんだが……、あいつの子供か……」時の流れは残酷であり。それだけにいとおしい。

『おいおい義兄貴、オーラルと会ってたのかよ?、聞いてないぞ!~」

憮然とした義弟に。にやりと笑い。

「この間まで中央大陸にいたんだが、名前しか言ってないからな~」

意地悪い笑みを浮かべる。レノンの性格を思い出して、小さく嘆息していた、

「相変わらずだな~レノンは」

懐かしい掛け合いである。二人は昔を思いだして、懐かしいように笑いあった。




エピローグ




久しぶりに。義兄レノンとの楽しい会話のあと……、

リブラは気が付いた。そうか……土竜は、ゆっくり確め。自分に言い聞かせるように。

「暴君……、今までありがとう、お前との契約は、今日までだ……」

悲しみを噛み締め、ようやくつむぎ出した━━。



……暴君は、長年の相棒である。片目だけの目を潤ませ。優しくリブラに鼻をくっ付けて。済まなそうに目を細めた。

「お前は……、最高の相棒で。俺の生涯最後の土竜だったぜ……」

巨大な鼻を抱き締め。暴君は、リブラとララに別れを告げる。



そして……、

最後の旅に出た。




古土竜になるための。王の試練の旅に……、



出会い……、



そして……、別れを経験して、人は成長する。



土竜も家族である。騎士と別れることで、成長する。

「またな暴君……」 囁くような呟きに。


『キュイー……♪』答えて、暴君は走り去った━━。



久しぶりに鳴き声を聞いて、目に寂しさの涙が浮かぶ。そっとララが夫に寄り添い。二人は家族の旅立ちを見送った。

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