表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
少尉ですが何か?  作者: 背徳の魔王 人と話すうちに性格から行動パターンを読み取り。隠された本性を暴き。時に未来を予言することからリアル魔王と呼ばれ。材料と調味料の分量で味がわかるので、絶対味覚と本人が詐称する一般人
20/99

閑話ピュアラブかも


プロローグ



最初の記憶は……、何時も父を気遣う優しい母と、何時も母を気遣う優しい父、二人が娘の誕生日に、ケーキを買ってくれた日が……、とても幸せで、忘れられなくて……絶望した。



顔をひきつらせる母、異物を見るような父………、

「私………」

投げつけられた言葉……、母の……、父の……、拒絶の言葉……、二人の心が、うわべの優しい言葉以上に、心を切り裂いた……、



私は……生まれて来てはダメなんだ……、化け物だから……、不安で、悲しくて、悲しくて……、誰も私を見てくれない……、どうして……?、



私は……要らない子なの?。



拒絶の思い……、見知らぬ大きく広い場所、私は捨てられる……、要らない子だから、沢山の大人。異物を見るような眼差し……、私は、きっと生きてちゃいけないんだ……、絶望。



黒髪の優しい顔をした大人が現れた。まっすぐ私を見て、優しく笑ってくれた。

`大丈夫……、僕らは家族になるんだ´

「えっ?」

初めて……、拒絶、奇異、好奇、侮蔑、恐怖、それ以外の気遣う優しい思念。

`僕はケイタ、君の父親だ´



……そして……、壊れかけた少女を優しく抱き締めてくれた。



生きていていいの?



僅かな光明……。


新しい家族、厳しくも優しい母、可愛い双子の妹……、優しく強い父……、みんなが何時も私を気遣い、愛してくれた……、生きたい……、父を、母の笑顔がもっと見たい!。



嬉しい!、大好きなケイタ父さんが誉めてくれたよ。

「頑張ったのねエル。さすが私の娘です」

ギュッと抱き締めてくれた母の香り。

「ネ~、ネ~」

「ネ~タン」

「まあ~二人ともエルが大好きなのね」

可愛い二人の妹。不安だったけど、母が抱かせてくれた、

「柔らかい……」

フレアの温もり。バシバシ叩いてくる。甘えん坊なシアン……、私の大好きな場所……。みんな大好き……、


だから棄てられたくない。父も母もそんなことはしない人。でも不安だから……、父の側で見ていた、父が好きな魔法の本。母が好きな経済の本、


「ケイタ筆頭!、大変でございます、エル様が……」

二人内緒で、アレイ学園の試験を受けた。歳を誤魔化して……、試験官が結果と名前を見て……、血の気を失っていた、本来10歳未満が、アレイ学園の試験を受ける場合。親の許可と行政の許可が必要だからだ、結果不合格なら問題は無かった、 「合格なさいました……」

呻いた……、

「エルには早すぎる」

不安と心配な思念。父はエルを愛してくれてる。それだけで嬉しかった、でもね父さん……、このままだと父さんが危ないの……、異端児として、エルは排他的な貴族から、危険視され、父が窮地にあることを知った……、



大好き場所……、

「エル……、何時でも帰って来なさい、この家は貴女の家なんですから」 愛してくれる母、

「ネ~タン」

「ネ~ネ~」

可愛い妹……、私の大切な家族……、だからもう帰らない……。きっと大丈夫、大丈夫、私は、ケイタ父さんと、シルビア母さんの娘だから、




━━━外の世界は、大切な場所と違い、エルを嫌い、蔑み、罵り、奇異な眼差しで見られた、



それでも厳しいが、きちんと見てくれた先生に出会い。また少しだけ頑張れた。

「エル・フィアン貴女を『院』生として認めます。頑張りましたね。さすがケイタの子です」

初めて優しく笑いかけた先生は、鼻の上に小さな眼鏡をしていた、先生からケイタ父さんの思い出が、流れてきた。ほんわか優しい思念。だけど悲しみが、思念に渦巻いてた、時折父や母から感じた、大切な何かを失った悲しみに似ていた、


アレイ学園を僅か一年で卒業した稀代の天才エルは、最年少で宮廷魔導師の試験に合格。僅かな7人しか存在しない宮廷魔導師になった。まだ7歳で、それから二年……、様々な部署をたらい回しにされ、父からカレイラ師団に出向するよう頼まれ、第1分隊に配属された、



それから半年のある日、何時もの如く。カレイラ師団の陣地を散策していたエルは、

「えっ………」

膨大な魔力を持った存在を感じた。エルが目を向けた先から、とても優しい思念を感じた、


━━それは深く、世界中を満たすほど、癒す優しい気持ち。人を真摯に思いやれる。不思議な感覚、何故か行かなきゃ、そう思った、



エルがたどり着いたのは、見覚えのある第1分隊の隊舎、中からえもいわれぬ甘い香りがして、

グウ~、空腹を意識すると、我慢が出来なくなった、



そっとテーブルの下から手を伸ばした瞬間、ピシャリ叩かれた、

「痛い……」

「エル・フィアン少尉!」

恥ずかしくなり、つい思ってた本音を言ってしまった、どんよりするクエナに、悪いと思いつつ、もう一人、新人の少尉、オーラルと呼ばれた男は、エルの思念の能力を一瞬で見抜き、怖がる処か、楽しそうに自分の読ませたい思念だけわざと飛ばし。読ませる事が出来る。変わった実験をした、僅かなヒントから、エルの能力に使い方があると示した、興味が沸いて来た、エルが読もうとしてもまるで、読みきれない膨大な経験の記憶、

`光の民なら知り合いがいる´

「うお。本当に」 興奮して立ち上がったエルに、

`アップルパイと紅茶がある。食べるならちゃんと座るように´

「わっ分かった」

素直に従う、ちょっと不機嫌そうな思念が向けられ、身体を強張らせると、

「二人で、内緒話か……」

エルの能力を知ってたクエナは、仲間外れにされた気分になったようだ、 「内緒です」

わざとからかうような思念が、オーラルから流れてきた、思わず吹き出したら、きつく睨まれた、首をすくめ。慌ててアップルパイを食べ、紅茶で流し込んだ、

「美味い………」

ビックリするくらい美味かった、そこでまた余計なこと言って、クエナを凹ませてしまった、また来ても良いのかな?、少し不安に思ってると、

`明日は夕飯前に来なさい´

外に出た瞬間立ち止まり、涙を拭った、必ず明日も来よう、久しぶりに嬉しい気持ちになった、



翌日━━、第1分隊の隊舎近く、新しい本を読みながら、時間が立つの待った、驢馬に乗って買い物に出かける様子を見送り、しばらくしたら、中隊長とやたら不機嫌女がやってきた、ぶうたれた思念がエルを少し不機嫌にする。

「あいつ嫌い………」

私に似てるから、



しばらくして、買い出しに出てたオーラルが戻った、中隊長の歓喜の思念。凄まじいあの女から怒りの思念が流れてきた。 でも深い失望……、あの女が……、弱くなったから?、意味が解らない。エルは知ってる。あの女はエルと真逆の天才だと、オーラル……大丈夫なのかな?。心配していた、



それが杞憂処か、勘違いだと思い知った、あの女が一方的に負けた……、オーラルはまだ本気になって無いのに……、エルは知った、自分以上の……、父以上の天才がいることを、『オールラウンダー』そんなちゃちな称号では計り知れない、何かを彼から感じ。生まれて初めて、彼と同じ物が見たいと考えた、それに……、あの料理の腕前は反則……、けっ決して料理に釣られたからではないぞ。



今日の料理も旨かった、段々眠くなって来たから、クエナに泊めて貰おうと聞いたら、私の部屋があると聞いて安堵していた。`、ここが君の居場所になるから´

オーラルの優しい思念と、暖かなクエナの心、案内された部屋のベッドに潜り込んで、声を殺して嬉しくて泣いていた、



━━不覚にも安心して。昼まで寝てしまったエル、お昼にまた上手すぎる飯を食べた後、城の図書館に行って、新しい本を読むからと外出した、

「明日のお昼は何かな♪」

つい楽しみにしてしまったエルだった。



━━久しぶりに休暇をもらったエルは、家に帰ることにした、少し不安だったエルを、

「エルねぇ!」

「エル姉さん」

綺麗になった二人は、そっくり可愛らしく笑いながら、抱き着いて来た、 「ただいま」

二人に最近食べた美味しいお菓子の話や、ドタバタなつい笑ってしまった話を聞かせながら、夜遅くケイタ父さんが帰宅した、

「お帰りなさい……」

「ただいま……エル」 おずおずながら、娘の声を久しぶりに聞いた、柔らかく微笑む優しい顔が、大好き、明け方母も帰宅して、エルを見付けると、抱き締めてくれた、 「元気そうで良かった……、ちゃんと食べてるのエル」

顔を挟まれ、真っ直ぐ見詰められ、照れた、

「うん……、オーラルが作ってくれた」

ピクリ母の顔に驚きが広がった、

「オーラルてまさか……、オーラル・ハウチューデン?」

「そっそうだよ……」 母の剣幕に、慌てて頷いた、何か不味いのかな?、とても不安になった、珍しいことに、母が嬉しくて仕方ない、喜びの思念を受けた、

「クスクス……、多分見たと思うけど、あの人が一番尊敬してる人よ」 父を助けてくれた人……、息を飲んだエルの手を優しくつかんで、

「悔しけど、オーラルが一緒なら、何があっても貴女を守ってくれるわ」 母の信頼する安堵の思念は、とても深く、いつも私を気にかけてくれてたのが分かる……、

「お母さん……、ありがとう」

初めてちゃんとお礼が言えた、恥ずかしくなり俯いてたら、小さな嗚咽が聞こえた、驚いたエルが見たのは、ぼろぼろ泣き出した母の姿、

「初めて……、気持ちを聞かせてくれたわね」

「あっ……」

母の寂しかった気持ちが、次々とエルの心に流れてきた………、

「私………」

「大丈夫……、貴女は私の自慢の娘よエル」

「お母さん……」

生まれて初めて、母にしがみついて泣いていた、 「良かった……、本当に良かった」

ケイタは二人が気になって見てたのだが、思わずもらい泣きしていた、



━━それから沢山の出来があった、最初に彼が気になったのは、第1分隊が初めての任務をしたときだ、自分を軽く軽薄に見せる不器用な男……、


何時からかな……、彼の事ばかり見るようになってたのは、少しづつ、本当に頑張って、頑張って、誰にもそんな姿を見せない、かっこ付け屋なカール、


オーラルが英雄と呼ばれ、やがて中央大陸に行くことか決まった日━━。 カールに呼び出された、

「エル……後、何年かして、お前が成人して……気持ちが変わらなければ、一緒にならないか?」 「……いいの?」

困ったように、でも真っ直ぐ私を見つめる真面目な顔。

「ああ……、お前が好きだ、こんな俺で良かっ……」

決まってるわ、そんなの最初から……、カールの気持ち知ってた……、私がまだ子供だから、迷ってたのも、今日オーラルに私を守ってくれるよう、頼まれたことも……、本当にみんな優しいんだから……、



エピローグ




━━数年後、私が24なって、カールと結婚した……、本当はもっとはやく結婚したかったけど、父が中央大陸に単身赴任したり、カールが第1師団の准将になったり、私が宮廷魔導師筆頭になったり、忙しかったから、と言うのは言い訳で……、不安だった、カールは私より一回り年上で、モテるから……、



大聖堂━━、



純白のウェディングドレス。二人の妹が祝福してくれ、恥ずかしいけど、沢山の友人と、私を娘にしてくれた父と母、私を愛してくれた人々。


大丈夫……、


きっと私は幸せになれる。

だって……、

`俺は誰でもない、お前が好きだエル´



愛されてるから……、



カールの胸に飛び込んでいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ