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少尉ですが何か?  作者: 背徳の魔王 人と話すうちに性格から行動パターンを読み取り。隠された本性を暴き。時に未来を予言することからリアル魔王と呼ばれ。材料と調味料の分量で味がわかるので、絶対味覚と本人が詐称する一般人
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閑話不良軍人ですね何か?

プロローグ



━━━東大陸、アレイク聖王国、王都カウレーン。


朗らかな春の日差し、市場に。早くも宝石のように輝く朝露に濡れた、香しい香りの苺が、出回り始めた、金髪を短く刈り上げ、気難しげに、美しい果物達を、平眼する男に、初めて遭遇した、店番の女の子は、顔を青ざめさせ震える。

「何処の苺だ?」

「ひゃ、ひゃい……、ペルナーデ村のです……」

ペルナーデ村は、ターミナルの街に向かう途中にある。ウオルフの住む森に近い、小さな村で、南大陸で栽培されてた苺をいち早く、輸入して国内で栽培した、村と知られている。

「見事な苺だ……」不器用に笑み、愛しい我が子を愛でるような食材を愛する料理人特有の気配に気付いて、最初の怖さが薄れてゆき。

「あっありがとうございます」

朗らかな、ぼくとつとした、嬉しそうな笑みを浮かべた、

「君は初めて見るが、朝市は初めてかい?」

女の子が露店を構えるのは、人通りの少ない、林道の外れだからだ、

「はっはい……、良い場所は高くて……」

朝市は、中央公園の南にある。林道の並木道で行われる。週二回、月8回の朝市は、毎月出店の場所決めが行われ。人気の露店は、人通りが集まる。並木通りに出店する。その代わりある程度の金額が必要になるが……、並木通りから外れる。林道の中に店を出すのは、小さな露店が多く、規模や出店物も少ない、個人で、こじんまり営業する。人気の苺だが、まだ数も少なく、高値な為。人の足も遠退き、意気消沈してた女の子の前に、男は現れたのだが……、

「これで全部か?」

「ええ……まあ…」 失礼だが、苺を買うような料理人には、見えない、それほど裕福そうにも……、落胆を押し隠して、笑みを浮かべた、世の中そんなに甘くないか……、ベルナールは嘆息した。

「一つ幾らだ?」

品定めする鋭い眼差しに、ちょっと面食らいながら、

「えーと……。一つ……、銅貨二枚で、12個金貨一枚です……」金額を聞いて、落胆が浮かび、男は帰るだろう……、諦めにも似た、そんな顔を浮かべたベルナールに、

「ほーう、此だけの物。随分と安いな」

「へえ?」

ニンマリ嬉しそうに笑う男の姿に、きょとんと目を丸くした、

「全部貰おう!」

そしてとんでも無いことを言うのだ、とてもそんな高額の金額……、そう言おうか迷ってると、

「ファミイユさん!、こちらでしたか」

軍服を着た仕官が、小走りに、安堵の顔を浮かべた、

「おう!、レヴァか、ちょっと待ってろ、今仕入れ中だ」

ニンマリ人の悪い顔を向ける。

「お嬢さん、急用がありそうで、自分で持ち帰れないから、仕方ないが……、俺はブルー・ファミイユ、その苺を全部、中央公園のカフェ・ブルーに届けといてくれるかい?」

ちょっと驚きが浮かぶ、ベルナールが、朝市初めてでもブルーの店は有名だから、聞いたことがある。

「ほっ本当に!?」唖然とするベルナールに、綺麗な男の仕官は、苦笑しながら、

「この人ブルー本人だから、安心して、お店にもってくといいよ」

「はっはい!、ブルーさん助かります」

本音をポロリ……、確かに苺は美味しい、希少で、高額な為。市民には手が出しづらい。コネが無いベルナールのような小さな、農家は、王都の店に卸せればと、何度も苦心して通い断られ、足元を見られ。買い叩かれる。悲しみを何度も味わい。なけなしのお金で、最後の望みを繋げていたのだ……、感謝で涙すら浮かべるベルナールに手を上げ答え。不器用に笑いながらブルー・ファミイユとレヴァは城に向かった、


ブルー・ファミイユとは、元近衛連隊隊員で、学生時代。カレイラ・バレスと『オールラウンダー』の称号を争った、ライバルだったと言われている。詳しい内容は部外秘で、知るものは僅かな重鎮のみ。ただ一つ言えるのは……、軍席にありながら、王都に店を構え。軍務を放棄してるのに……、除籍される様子がないのだ、重鎮からは疎まれ、民から愛される。カフェ・ブルーのオーナー、ブルー・ファミイユとは、不良軍人と呼ばれ。疎まれるも、仲間ら愛される。不思議な魅力のある。変わり者だ。


「城に上がるのは、半月振りか……」

ほろ苦く苦笑する。まさか……、カレイラが死ぬとは思わなかった、


今までのブルーの立場は、目の上のたん瘤。それは今も変わらない、並みいる重鎮が、怪我で、軍務。政治に多大な遅滞を生んだ、聖騎士ナタクの侵略は、アレイク王国に暗い影を落としたからだ……、新たに第1師団長に就任した、オーラル・ハウチューデンの手腕は見事で、誰しも認めるが、ブルーは苦手である。押しが強く。のらりくらり巻き込まれるのだ、厄介この上無い……。


カレイラが密かに作った。王族護衛ロイヤルガーデンはブルー含め6名。

隊長は何故かブルーがやらされている。迷惑な話だが……、断る理由を、失っていた、オーラル曰く、

「普段通りで良いので、それとなく王族を守って下さい」

それで良いのか?、突っ込みたいが、言うと無理難題を、押し付けられる気がして、諦めた。あいつは隙を見せるとヤバいからな……、嘆息した。


同僚は一癖、二癖あるメンバーだらけ……、よくもこれだけと感心した、

ミラ・バウスタンは、あのミレーヌ姫を護衛した、第1分隊のメンバーの1人。起伏が激しく。気難しい女性で、扱いが難しい。


ヴァレ・カルバンは、オーダイ将軍の子息で、弓の名手。気が弱く。慎重過ぎる気性は、集団で行動する軍には向かない人物だ、


レヴァ・ピオレーテ。中級貴族の出で、女性に間違われる容姿に。強いコンプレックスがある。軍のそっちの気がある男女に人気があるが、見た目と違い。人に厳しい、頑固者。セレスト・ブレア連隊長のお気に入りだが、近衛連隊に居場所を失ってた所。カレイラに拾われた口だ。


オーラルが師団長就任で、中途半端だった、王族護衛部隊を正式に設立して、異色の人事には……。さしもの王ですら驚かせた……、


黒衣こくいでありながら、王族護衛の任に着いた。レイカ・エンディ、北大陸との国交を開いた功績により。下級ながら貴族の地位を与えられている。

ベールに包まれてた、アレイク王国の闇。黒衣に、当初ブルーも緊張もしたが、天然系で、生真面目なレイカ……、彼女のことを知るごとに、皆から好かれて行くのを感じた。闇に生きてたが、可愛らしいレイカに、ブルーとてオーラルの人事を誉めてやりたくなった、特にミラと姉妹のように、気が合うようで、二人でいるのを見掛ける。非番時レイカは、カフェ・ブルーの店員をしてもらっていて、ミラが働いてると知ると、一緒に働くようになった、ミラは苦手な菓子作りを教えてくれと頼まれた、田舎で暮らす姉にプレゼントすると聞いて、がらでもないが、カフェで働いててもらう替わりにと、お菓子作りを教えたのだが……、二人が店員としている日は、わりと男性客も増えたのは嬉しい誤算でだった、


歩きながらレヴァに話を聞く。

「姫様は公務で、ラトワニア神国に訪問する事が、先ほど正式に、決まりました、つきまして、第1師団から護衛と、うちから二名護衛に付くよう、言われまして……」

ちっ舌打ちしていた、また面倒事を。王妃の護衛に、一名残すとして……、結婚が決まったヴァレを、向かわせる訳にはいけない……、


王族護衛部隊の執務室は、城の地下にあった、カビた香りは、オーラルが城で飲むワインやエールを使われない物置で、造るよう進言して、何故か国王、王妃が酷く乗り気だった、それも仕方ない。異変が各地で起こって、手間暇掛かる。酒はその分高くなり。財政を切り詰めるため。舞踏会。宴会の機会まで制限された、僅か一月で造られる。エールに国王はいたくおきに召して、貴族に振る舞った所。一緒にエール造りに貴族まで、興じるようになった、呆気にとられたが、ブルーのお菓子だって似たような物から始まった、自らの楽しみの為に働く分は、好感が持てた。更にオーラルは、近隣の農家に、干した野菜を作らせ。保存技術を向上させた。新鮮な野菜は美味いが、日持ちしない、兵士の健康を考えれば有効である。酒の摘まみにとチーズ用の貯蔵庫が造られた。王族護衛部隊の執務室は、貯蔵庫の隣にある。


既に4人は来ていた、皆を一瞥して、

「俺が、王妃の護衛に付く。レヴァ、ミラは姫の護衛を、レイカは待機」

まだ入隊したばかりのレイカでは、王妃や姫様の相手は厳しいとの配慮である。みんな頷いたところで、不器用に笑いながら、

「旨そうな苺が手に入った、俺は急いでケーキ作りに戻る。王妃には、後程顔を出すとミラが伝えとけ」

不器用な笑みを残して、ブルーは足早にカフェに戻った。



間もなく昼……。露店が店じまいを始める時間から、カフェは忙しくなる。並ぶお菓子をチェックしてると、若い職人が、ベルナールから届いた苺で、タルトと苺シューを作り販売していた、悪くない判断だ、

「あっ、あの……」ぼくとつとした女の子。ベルナールはわざわざブルーが戻るのを、待ってたようだ、

「丁度良かった、君来週も同じ量の苺を頼めるか?」

パッと顔を輝かせ。

「はい!大丈夫です」

「ベルナールこの先も頼んだよ」

肩を叩いて、カフェの工房に入る。輝く笑顔から。そっと目を逸らせる。自分には……、眩しすぎる……。


その日の夜……、店の片付けを頼み。城に上がる。王妃に久しぶりに会うのだが、緊張を強いられる。

「はい、お入りなさい」

「失礼します」にこやかな笑みに出迎えられ。ブルーの笑みは仏頂面になっていた。


ブルーとレイダ王妃は困ったことに。常連のお客様と店長と言う間柄。誰にも言えないが、レイダ王妃は、密かにカフェ・ブルーに通いつめ。隠れファンでもある。

「新作作ったんですが……」

「まあ♪、お茶入れましょうね。ブルー」

嬉しそうに頬を弛ませる。美しい銀磁器に、宝石のルビーのように艶やかに輝く苺が、目にも楽しく。あまりにも美しいから、王妃の目も輝いた。

「新しい仕入れ先見付けたので、来週はまた新鮮な苺を使ったケーキを出す予定です」

「あらあらそれは楽しみですわね。エレーナ大司教様やカレン=ダレスに教えましょう」

子供のように目を輝かせながら、

「ブルー……、貴方には感謝してますのよ」

改まり。艶やかに微笑むレイダ王妃の言葉に、酢を飲んだような顔をした。「フフフ貴方は本当に不器用ね。オーラルに言われて通いつめたかいがありますわ」

にこやかにとんでも無いことを告白した。

「彼奴は……」一国の王妃に、カフェに通えと言ったのか、一歩間違えれば、大問題であろう。

「あら心配無用なんですよ。私を影から護衛してくれる者もいますから」

鈴を転がすように。楽しく笑われ。渋面を作る。

「護衛の件お願いしました」

唸りながら、嘆息して、諦めたように肩をすくめ。

「来週は、苺シューお持ちします」

「まあ~それは楽しみですわ」実に嬉しそうに、笑うのだ、

ブルーはレイカを補佐にして、ひっそり護衛して、数人の暗殺者。二人の貴族を密かに捕らえ。無事に任務を終えた……、


……週末。


ベルナールが、みずみずしい宝石のように輝く。苺を持って来てくれた、ブルーは不器用に笑いながら。

「今日も忙しくなりそうだ」

腕捲りして、苺を自分の大切な物を扱うように愛でると。若い職人たちに。命じて、

「苺のタルト、苺シューを作る」

「はい!」

あわただしくなるカフェ・ブルーの何時もの光景である。ご来店お待ちします。

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