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緋の鬼―アケノオニ―  作者: 唯菜美
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君の名を 参

文字間を開けてみました。ちょっと見やすくなったかな?

「…あん?」


佐渡は片眉をあげ、思わず問い返す。


「ですからっ!もう一回自己紹介をさせて下さい!」


キラキラした瞳で見つめられるが、佐渡は鼻で笑って一蹴した。そういう目は女子に向けてやれ。


「却下」

「何故にっ!」


大袈裟に驚く想真。それに反して佐渡は冷めきった表情。


「何故にっじゃねぇよ。昨日しただろぅが」

「してないっ!」

「…教科書開けー。楽しい楽しいお勉強タイムだ」


これ以上のやり取りは無駄と判断したのか、想真を完全に意識から消して手にした教科書をパラパラとめくる。


「センセー」


今度はなんだと、渋々声の主を見る。

栗色の髪をツーテイルにした美少女が、いつもの仏頂面に磨きをかけている。


佐渡は零れそうになるため息を呑みこみ、愛姫の言葉を促す。


「なんだー」

「席替えを希望します」

「……何でだよ」


愛姫は今の席を大層気に入っていたはずだ。後方の窓側、加えて朱里の隣。本来ソコに座るはずだった生徒から、極上の笑顔を餌にして奪取したその席を。


「変態が後ろにいるから」


そう言ってギッと想真を睨みつける。

堪えたため息が、疲労を濃くして漏れた。

嫌な予感はしてたんだよなぁ。と火花を散らす想真と愛姫を見る。いつもなら愛姫を諌めてくれる朱里はと言うと、何故か放心状態。

何があったのか?などと、絶対に聞かない。聞いたら、非常に面倒臭い事に巻き込まれる気がする。

そう決意を新たにし、佐渡は口を開いた。


「席替えは無し」

「変態を野放しにするの!?」

「我が校風は自由に伸び伸びと。俺の教育方針はなるようになれ。だ」

「そういうのは責任放棄っつーのよ!!」


ビシッと正論をぶつけてくるが、痛くも痒くもない。


「放棄はしてない。見守ってるんだよ。生暖か〜い目でな」

「変態を見守ってどうすんのよ!?」

「警察沙汰になる前に止めるんだよ。で、その変態はいつまで手を挙げつづけるんだ?」



佐渡が最初に見放してから、ずっと挙手している想真を無視しきれず声をかけるも、すぐさま後悔した。


「自己紹介させてくれるまでです!」

「…一人でしてろ」

「有難うございます!」


突き放したはずの言葉に、想真は満面の笑顔で礼を述べた。予想外の反応に唖然とした佐渡の沈黙をどう受け取ったのか、想真は席を立って佐渡の隣で黒板にデカデカと名前を書き出した。


「っ待て待て!何勝手に自己紹介しようとしてんだっ」


そんな佐渡を想真はキョトンとした顔で見返す。


「だって、一人でしてろって言ったじゃないですか?だから一人で自己紹介してるんです」

「……」


そう言ってニコリと無邪気な笑顔を佐渡へ向ける。その様子にまたもや女子が可愛い〜と騒いでいるが、

どこが可愛いもんかっ!と佐渡は頬を引き攣らせる。

笑顔の想真の瞳は、無邪気どころか邪気まみれだ。上辺は笑っているが、瞳の奥が黒い。

きっと佐渡が何を言っても、無邪気さで魅了した女子の援護を受けて、更に嘘臭い演技で自分の要望を押し通すに違いない。


「…腹黒エセ王子」


どこかでボソリと聞こえた声は愛姫。青筋を浮かべて想真を睨みつけている。

きゃあきゃあ騒ぐ女子達にはそんな様子は見えていない。そして昨日の想真の失礼極めりない無関心っぷりも、この営業スマイル全開の王子様に上書きされて既に忘却の彼方なのだろう。


「…まじ誰か担任変わってくんねーかなぁ」



天を仰いで小さく漏らした言葉は誰の耳にも届かず、虚しく宙を漂った。


作者「どーでもいい設定その1。佐渡先生は既婚者です。」

想真「教え子と結婚とかベタな話?」

作者「NO。相手は幼なじみの島子サン。特に波風なく順風満帆に結婚してます。」

愛姫「…つまんない」

佐渡「黙れガキ。平凡が一番なんだよ」

作者「佐渡先生は島子サンにベタ惚れです。ちなみに奥さん妊娠中で、佐渡は禁煙中」

愛姫「ほんっっとに、どーでもいい設定ね」


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